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「動物の赤ちゃん、この春限定」のCMに思うことと法律~動物は物なのか~


私が住んでいる兵庫では、動物園かなんかの「動物の赤ちゃん、この春限定」なんてCMがよく流れている。要は「この春にしか会えない動物の赤ちゃんたちに是非会いにきて」ってことなんだけど、言い方がどうも気に食わないから、今日のnoteはこのCMに抱く超個人的意見を書くことにした。それに派生?して、法学部卒なので動物と法律のことも簡単に触れてみようと思う。

気に入らない点

”○○限定”は物が対象のことが多いのに、それを動物に使っているということ
巷で”〇〇限定”のワードを目にすることがあるのは、或る時期限定のドリンクだったり、本店限定のオリジナルTシャツだったりと、もっぱら”物”がそのワードの対象であるときだろう。じゃあ今回のCMの”この春限定”の対象はというと、もちろん”動物の赤ちゃん”である。では、動物の赤ちゃんは”物”だろうか。普通に考えると、絶対に違う。普通、物ではないとされる動物の赤ちゃんが、ほぼほぼ物を対象とするときにしか使われないだろう○○限定というワードの対象になっているという点が、どうも気になるのである。
しかもそれが動物園のCMだということ
もう1つ、違和感の原因がある。それは、これが動物園(的ポジション)のCMだということである。動物園は動物に思いやりを持って大切に世話しながら、人間に触れ合わせさせてくれる場所だと個人的に思っている。だから、個人でペットを飼う人とそのペットみたいな間柄と同じで、動物園とそこで飼育されている動物には愛情だったり信頼関係だったりが構築されているものだとも思っている。そんな動物園が、動物を物と思っているわけがない(と思いたい)よね。なのに、だ。その動物園が自ら、動物は物です、商品に過ぎません、とでも言わんばかりの”この春限定”の言い回し。確かに、動物を見るために人はお金を払って動物園に行くし、動物だって自然で暮らしたいに決まってるのにこんな檻に入れられて可哀想に、とも思うから、動物園はそんなに綺麗で純粋なものでもないという認識も持ってはいるけれど、だからって、この言い回しは無いだろう、よりによってあなたが言ってはいけない、という気持ちになるのである。完全に個人の意見なんだけどね。

言いたいことも分かる

勿論、私がこんな捻くれた考え方をしてしまっただけで、動物園側がこんな意図を伝えたかったわけじゃないのも十分に分かっている。冒頭にも述べたように、要は「この春にしか会えない動物の赤ちゃんたちに是非会いにきて」ってことを言いたいんだよね(動物園に話しかけるように)(は)。多分、秒数的にもシンプルで文字数少なく、一番視聴者に伝わりやすいフレーズを考えた上で「動物の赤ちゃん、この春限定」という言い回しが適用されたんだろう。実際CMを見てなかった私にもこの言葉が耳に残ったわけだし(最初はテレビつけっぱにして料理してたときに出会った)、気に留めてもらうCMにはなっているから、この表現が気にならない人たちにとっては良いCMだと思う。うん、完全にそんな人たちの方が多いんだろう。私が気にしすぎただけだろうな。動物の赤ちゃん、会いに行きたいな

法律上、動物は物

大学は法学部だったので、せっかくだから動物と法律の関係についても書いておこうと思う。めっちゃ簡単に。
実は、法律においては動物は物なのだ。刑法で器物損壊罪(刑法§261)について学んだとき、動物を傷つけた場合器物損壊罪にあたるということを知った。幼い頃犬(ポメラニアンの女の子で名前はメラちゃん。めっちゃ太ってた)を飼っていた私からするとショックだった。法律は、責任が取れるか取れないかという考え方の下で”人(法人も)”と””の2つの区分しかないから、人以外は物にあたることになる。自分で書きながら悔しいけれど、仕方がない。動物を逮捕して懲役刑や罰金刑を科したりできるわけないのだから、法律はそういう考えで人と物を分けているのだから、しょうがない、のだけれど辛い。ちなみに動物に関する法律は、刑法の器物損壊罪と動物愛護法がある。

器物損壊罪

(器物損壊等)
第261条
前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

器物損壊罪は、人のために制定された法律であると考えておくと整理がつきやすいと思う。
厳密にいうと、器物損壊罪の対象となる動物は”ペット(所有者のいる動物)”である。野生の動物(所有者のいない動物)は器物損壊罪にはあたらない。器物損壊罪は”他人の物”が対象であって(人のために制定されている法律なので他人の物になっているかどうかが重要)、飼い主のいない野生の動物は他人の物ではないからだ。”器物”の文字に、動物も含まれるということに心を痛める人もいるかもしれないが(私もそうである)、注目すべきはこの条文にある「又は傷害した者は」という部分である。心を痛めた人、これによって少し救われてほしい。この文言は言うまでもなく動物に対する文言である。動物を物だとはしながらも、命あるものだと認めている証拠だ。ちょっとは、救われたかな。

動物愛護法(動物の愛護及び管理に関する法律)

第44条
1 愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処する。
4 前3項において「愛護動物」とは、次の各号に掲げる動物をいう。
 (1) 牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる
 (2) 前号に掲げるものを除くほか、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの

文字通り、動物愛護法は愛護動物のために制定された法律である。そのため、”ペット”と”野生動物(全部ではないけれど)”が対象の法律となる。ペットは物扱いで器物損壊罪(と動物愛護法)、野生動物は物扱いはされずに動物愛護法というのは少し気になるかもしれないが、器物損壊罪は人目線の法律なので仕方がないといえば仕方がない(飼い主が存在する以上は所有下にあるということなので)。

ペットは両法律の対象になるが、どっちが適用されるのか

以上から考えると、ペットを殺傷してしまうと両方の罪にあたることとなる。この場合、両罪のうちの「最も重い刑により処断」されるのが決まりである(これを”観念的競合”という。以外と簡単な考え方なので興味を持った人は調べてみてほしい)。よって、懲役刑が重い器物損壊罪とされることもある。ペットが器物かあ・・(まだ納得いってない)。

終わりに

「この春限定、動物の赤ちゃん」という文句のCMに疑問を持ったところから、法律での動物の扱いにまで派生してしまったけれど、結局は動物は私たち同様に生き物として扱われてほしいのになって言いたかっただけである。CMは文字数少なく、伝わりやすくシンプルに!と考えられた結果、こんなフレーズでいこうとされただけなんだろうけど、法律の件に関してはいくら趣旨が違うから、といってもなかなか理解しがたい。世の中もっと簡単に楽しく皆がハッピーにならないかなあと思うよね~~。


ここまで読んでくださってありがとうございます。普段はもっと適当にあることないこと(ないことは書いてないけど)書いてます。良かったら他のnoteもどうぞ。


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