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『星を編む』

凪良ゆう著
講談社

前作「汝、星の如く」の続編と言うべきか。

夫婦、親子、兄弟そして家族とはなんだろう。
なぜ、こうあるべきでなくてはならないのか?

常識とか普通とか、一般的にはとか。ひとりひとりはみんな違うのになぜか型にはまっていないと不安になる。

多様性という言葉を耳にすることが増え、そういう生き方もあると認めている気になっていても、果たしてどこまで許容できているのだろう。
凪良ゆう氏の作品にいつもあるテーマだ。

みんなそれぞれで良いんだというメッセージ。


前作で、主人公たちの救世主的な存在だった北原先生の真実から始まるこの続編では、稀有なヒロインを受け止めた彼もまた、ひとかたならぬ道を選んでいたことが明かされる。

先生の娘、結の結婚をきっかけに真実を知った暁美は自分を受け止めてくれた互助会のような生活が彼の過去の上に成り立っていたことにきづく。

それは、恋愛ではないけれど一緒に暮らし、いつもそこにある温もりに自らも安らいでいることを知ることだ。

激しく胸を焦がすことはなくても
穏やかな日々を送る中での共通の記憶が積み重なって、それはかけがえのない宝物になっている。


互助会夫婦が本当の夫婦になって行く姿は、とても羨ましいし、微笑ましい。


もう一度、前作をよむ勇気はないけれど、暁美と北原先生の結末が静かな海の凪のようでよかった。

素敵な物語に感謝。

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