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『今昔ばけもの奇譚』五代目晴明と五代目源頼光のバディ誕生!

峰守ひろかず著
ポプラ文庫ピュアフル


ここ数日『陰陽師』のキーワードに引き寄せられて、手にした一冊。


時は平安末期。
京都宇治に赴任した源頼政は、豪傑として知られる源頼光の子孫だが、和歌が好きなお人好しな武士である。
宇治の治安を守るため最初の任務はなんと、怨霊退治だった…?
途方にくれる頼政の前に現れたのは
年の頃は15、6。涼しげな眼差しと色白の頬。しかしその口から放たれる言葉は歯に衣着せぬ辛辣さ。
「怨霊など、この世にはおりませぬ。私が証明して見せましょう」
なにを隠そう、この少年、かの有名な安倍晴明から数えること五代目、安倍泰親であった。
かくして同じ五代目同士のふたりが宇治の都で珍事に挑む‼️

朴訥でお人好しの頼政と理路整然と事を見極める泰親のふたりは、かつて陰陽師として名を馳せた晴明と博雅を彷彿とさせ、そのやり取りも楽しい。

一を聞いて十を悟る泰親に、ふたりに絡む、白拍子の玉藻がまたはすっぱな反面世話好きで、良い塩梅だ。

数々の怪異を解き明かしてゆくのだが、それぞれのエピソードの巻末には、元となった歌や古文書が紹介されていて、改めてそちらを読んでみるのも面白い。




こちらは第二巻。
京の都に舞台を移し、幻と言われる「源氏物語」の『雲隠六帖』をめぐって繰り広げられる奇怪な事件。
なぞの天狗とは誰なのか?
高平太と名乗る少年に憑いていたものとは⁉️

一難去ってまた、一難。行く先ざきで災難に巻き込まれる泰親と頼政だが、別々のエピソードの大元は悲しい因習の犠牲となった者たちの復習だった…?


こちらも、それぞれのの事件の元となった資料が挙げられていて、興味深い。

高平太少年が、後の平家を担う人物だったとは!

峰守氏の作品に共通するのは、巻末に参考文献を細かく挙げているところ。
「興味があったらこれを見よ」と暗黙の示唆を感じる❗

✨️✨️✨️✨️✨️✨️

作者のあとがきにある、朝日カルチャーセンター中之島教室の「怪異学入門」は、是非参加してみたいものである🎵

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