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自分の限界を知って「ほどほど」を手に入れる


稲垣えみ子さんの、「魂の退社」、「寂しい生活」の2部作を読んだ。

「魂の退社」では、会社というシステムに、「お金」と「人事」で縛られて、どこまでいってももっともっと出世したいという渇望に振り回される会社員の心境が語られている。

ご自身も、周りが昇進していく中で相当な怒りや苛立ちを感じられた模様。

「ほどほど」、であることがいかに難しいかが切実に語られる。

そんな中、稲垣さんは会社員を卒業するという大きな決断に至る。

同じ会社員として、的確に会社員の心境を表現してくれていると感じて、どんどん読み進められる。

一方で、会社員でなくなったときの日本社会での不都合も語られる。
家を借りる、クレジットカードを作る、会社員であれば当たり前にできるいろいろなことに対して、とてもハードルが高くなる。

日本は会社員のためのしくみで回っている。その輪から外れる不便はかなり大きい。

「寂しい生活」では、東日本大震災を経験して、電気を使わない生活を決意し、高級マンションから築40年のお風呂のない部屋に引っ越し、TV、掃除機、洗濯機、電子レンジ、冷蔵庫までも手放した生活の毎日について、生き生きと語られている。

当然のように持っていたものを手放したことで、むしろ自由と充実感を感じられる、そのことの素晴らしさがこれでもかと語られる。

冷蔵庫を手放すことで、食材の保存ができず、今食べるものしか買わない生活は、過去や未来に縛られず今を生きる、という仏教の悟りに通じるものではと考察される。

確かに一理ある。とても共感できる。
軽快な筆致に共感とともにこちらのテンションも上がっていく。

とここで、それでは自分が同じことができるだろうか、と考えてみる。

自分には、マンションでゆっくりとお風呂に入る時間がとても大事だ。
ロボット掃除機やツインバードのコーヒーメーカーを手放す気にも、とてもならない。
これらがなくなってしまったら、自分にはその方が大きなストレスになる。

とはいえ、着るるものや食べるものは毎日同じようなものでもいいし、それらについてもっともっと、と思うことはない。
家具も家電も、必要ではあるけど必要以上ではないと思っている。
会社はどうか。収入については、やっぱり減ることに大きな不安がある。

稲垣さんが難しいと書いている「ほどほど」であることは、やっぱり無理なんだろうか。

もし「ほどほど」であることを実践することができれば、すべてを手放さなくても、幸せになれるんじゃないかな。

ほどほどであるためにはどうすればよいか。ChatGPTに聞いてみた。

  1. 自己認識を高める:自分の限界やニーズ、行動や判断の基準を理解する。

  2. 優先順位をつける:自分にとって何が重要かを見極め、余計なことに振り回されない。

  3. 休息をとる:常に全力で何かをすることなく、適度な休息で心身のバランスを保つ。

  4. 断ることを学ぶ:全ての要求や誘いに「はい」という必要はない。自分の限界を尊重する。

  5. フレキシブルでいる:すべてが思い通り、計画通りに進まないことを理解し、受け入れる。

なるほど。いいこと言うね。落ち着いてやれば何とかできそうな気がする。

結局のところ、自分の心、感情の大きな揺れに振り回されない自分を作ってそれを保つ、そこなんだろうと思う。

自分には特に「自分の限界を知る」が大事だと感じる。

自分の限界を理解することは、物事をありのままに見る、という仏教の教えにも通じる。
自分の見たいように、ではなく、ありのままに見る、それが安穏、幸せにつながると思う。
やってみる。