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いい仕事をするために必要なもの


今回の撮影ばかりは緊張した。

この撮影の写真集を、ぼくの写真に期待して予約してくれていた方が2名もいたからだ。

撮って出して「いい写真ですね」という反応をいただくことはこれまでもあったが、

未だ撮る前から写真を心待ちにされるのは今回が初めてだった。

いいものが撮れるかどうかは、撮ってみないとわからない。

今回の個展撮影のような、人が動く現場では特に。



写真集の撮影依頼を受けたのは初めてではない。

前回も同じく点描画家hiromiさんから、個展の写真集の撮影依頼を受けた。

前回は自分でもグッと来る瞬間を何枚も収めることができ、たくさんの方から写真を評していただいたものだが、

今回はどうだろうかと、当日を迎えるまで緊張が止まなかった。



その前の撮影が反省点だらけだったのだ。

先日は名古屋で、表皮水疱症という難病患者さんの交流会を撮影させてもらったのだが、

そのときは氣を遣ってしまって仕方なかった。

会議室のようなところで、横並びの机に患者さんや関係者さん、前方で講義者さんが代わり代わりお話しするという構図だったのだが、

どうしても「人の邪魔にならないように」と、自分の動きを制限してしまうのである。

例えば、前に出過ぎると座っている方々の邪魔になってしまうものであるから、なかなか前に出られない。

といった具合に、どうも体が思うように動かないのだ。

氣遣い小心大魔神である。

今まで、「自分は無価値」と思って生きてきたからであろう。せめて人の邪魔にはならないようにと、自分を雑に扱ってきた反動なのだと思う。

兎に角そのことを、撮影を終えてから猛烈に反省していたのだ。




個展当日、

夢中で撮っている自分がいた。

よほど楽しかったらしい。

あれほど抱いていた緊張はすっかりほぐれていた。

そればかりか、人に一切氣を遣っていなかったのである。

いつもの個展撮影なら、人の邪魔にならないように場所を譲ったり、お客様の大きめの手荷物を預かったりと、終始周りに氣を使いながら撮影をしていたものだが、

今回の自分にそんな様子は微塵も表れなかった。

心の〝撮りたい〟が反応すると、その場を陣取ってしまうのである。

両足を断固として床から離さない。

撮りたい瞬間を逃したくなかった。

背側面に氣配を感じても、荷物のお客様を見かけても、「撮りたい」が反応している間は決して足を離さなかった。



おかげでいい仕事ができたものだ。

写真を整理し終わって思う。

私はいい仕事をした。





これは紛れもなく、ぼくに期待をして今撮影の写真集を予約してくださった2名の方のおかげである。

お仕事をくださった点描画家hiromiさんのおかげもそうであるが、この2名の方の〝期待〟が、ぼくの心情に変化をもたらす大きな材料だった。

期待されたことによって、私の中に、私の役目を果たさなければならないという使命感が芽生えたのである。

期待をされている状況下では、私にできること以外のことに氣を向けてはならず、私にしかできない仕事を全うしなければならなかったのである。


この〝期待〟があったから、私は私の仕事を全うできたのだ。

まさに、人の間と書いて〝人間〟である。



私は写真家としてはペーペーもいいところだが、今回の現場で、ペーぺーなりに大きく成長したように思う。

プロとはこういうことなのだろうと、自分の中の価値観が深まった。

プロとは、自分にしかできないことに徹する人のことである。

プロの定義は人それぞれ様々であるとは思うが、今回私が感じたことはこんなところ。


日々経験し、成長している。

だから、今がどんなに未熟でも大丈夫なのである。



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「しんこきゅう展 in KUSUNOKI」写真集
12/30 販売開始予定

点描画家hiromi
@kumagoma
@hiromi1_6_3_
https://lit.link/aokihiromi


【撮影場所】
カフェ&キッチン KUSUKUSU
ギャラリー KUSUNOKI
@ck_kusukusu
@gallery_kusunoki

〒810-0042
福岡県福岡市中央区赤坂3丁目6−37
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