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古家付き土地の売却について

古家付きの土地を売却する場合、家を残したまま「古家付き土地」として売却するのと、建物を解体し「更地渡し」として売却するの2つの選択肢があります。
古い家をスムーズに売却するためには、どちらのパターンで売却するのが良いでしょうか。
今回は、古家付き土地での売却と更地渡しの違いについて解説。
どんな場合にどちらが良いか、それぞれのメリット・デメリットもご紹介します。

〇「古家」とは?
建物がどこまで古くなったら「中古住宅」ではなく「古家付き土地」で売るのかという決まりはありませんが、建築物の法定耐用年数を超えると「古家」と扱われることが多いです。
たとえば、木造住宅なら築20年以上です。


〇中古住宅の流通量は増加中。リノベーション人気も後押しに
日本ではマイホームといえば「新築」であり、土地は更地のほうが売れやすいとも言われてきましたが、マンションや一戸建てと比べると、ゼロの状態から建物を建築するため、買主にとって自由度が高い反面、ハウスメーカーとの打ち合わせなど時間的な負担も大きくなってしまいます。すでに建てられているマンションや一戸建てならば、気に入ればそのまま住むこともできるため、意思決定しやすいことが少なくありません。
さらに、政府は消費型社会からストック型社会へと転換するべく、住宅に関する政策を大きく変えており、安心・安全な中古住宅の供給を促進するためのさまざまな施策が行われています。実際のところ、全住宅流通量(既存流通+新築着工)に占める既存住宅の流通シェアは約14.5%(平成30年)と順調に増加傾向にあり、これからもシェアを伸ばしていくと予想されます。
また、近年のリフォーム&リノベーション人気も中古住宅の流通量増加にひと役買っていると言えるでしょう。法定耐用年数を超えて、査定では建物価値がゼロといわれても、メンテナンス次第では住宅としてまだまだ利用価値が維持できるケースも増えていくのではないでしょうか。

☆「古家付き」で売る際のメリット・デメリット

メリット①解体費用がかからない
解体費用がかからないことで売主の負担を大きく減らすことができます。
 そして解体費用がかからない分、売却価格を下げて、買主が購入しやすくすることができます。その一方で、買主からは解体費用分の値引きを求められる可能性があります。

メリット②固定資産税が安くなる
建物が建っている状態では、固定資産税は「住宅用地の軽減措置特例」が適用されます。これによって固定資産税を敷地面積の200㎡までの部分は6分の1、200㎡超までの部分については3分の1にできます。そのため、ゆっくりと売却活動を進められます。

メリット③買主が住宅ローンを利用できる
古家付きの土地だと金利の安い住宅ローンの融資対象になるため、買主側の資金繰りに有利な条件が整います。土地を購入してから家を建てるといった新築計画にも住宅ローンは利用可能ですが、家の設計が完了して、施工会社と工事請負契約を締結した段階からの利用に限定されますので、まずは土地の購入に必要な代金を「先行融資(つなぎ融資)」で用意するといったプロセスが必要となります。

また、古家付きの土地を購入して住宅ローンを利用する場合、借入期間が短くなるケースがありますので注意してください。

デメリット①価格が相場より安くなりがち
古家付き土地として売却すると、解体の費用や手間を買主に託すことになるため、その分を見込んだ価格設定が求められます。売主は解体工事を依頼する時間や手間、費用を負担することなく、土地を手放すことができるので、そのメリット分が価格に反映されるともいえます。場合によっては更地価格よりも安くなってしまうこともあるので、希望価格で売りたいときは解体工事を行ってからの売却を検討しましょう。

デメリット②買い手が付きにくい場合がある
建物が建っていると、買主にとってはすぐ住めるなどの利点がある反面、土地の用途が限られてしまう可能性があります。また建物が古すぎると悪印象につながり、なかなか買い手が現れなくなる場合も。建物の状態だけでなく、埋没物の有無や地盤の固さなど土地の状態についても判別がしづらいため、買い手が付きにくくなることもあるでしょう。

☆更地で売る際のメリット・デメリット


メリット①流通性が高い
更地は、買主が新築を検討している場合、全体の大きさをイメージしやすく、また、すぐに着工できるなどの理由から、古家付き土地のまま売却するよりも売却は容易です。そのまま住んだり、貸したりするための家として活用できるかどうかで、解体するかを決めるとよいでしょう。

メリット②土地の状態が確認しやすい
古家を解体した土地は、地中埋没物の確認、土壌調査、地盤調査などが容易な状態となります。住宅を建てるには、地盤調査をして、地盤が緩い場合には地盤改良する必要がありますが、古家付き土地は建物が建ってから数年は経っていることもあり、地盤が固くなっている可能性があります。

地盤改良は、浅い部分を改良する表層改良で30万円~、深いところまで必要な時に行う柱状改良で50万円~、柱状改良でも足りない程深いところまで改良が必要な場合に行う鋼管杭で70万円~ほどかかります。特に、過去ずっと田んぼだった土地等と比べると買主としても安心を得やすく、成約につながるポイントになりうるでしょう。

デメリット①解体費用を負担する必要がある
更地にするには売主の責任で建物を解体しなくてはならず、解体費用がかかります。
解体費用は土地の価格に転嫁するのが一般的で、解体費用分だけ売却価格が高くなってしまいます。

デメリット②固定資産税が上がる
住宅を取り除けば、「住宅用地の軽減措置特例」はなくなります。
土地の固定資産税が最大6倍に。
更地にしたもののなかなか売れない状態が続くと、固定資産税の負担も大きなものとなってしまいます。

更地渡しを行う際の注意点
1. 契約内容にある売主の責任と負担についての記載をしっかり確認する。
 売買契約書には「売主の責任と負担のもとで解体すること」「解体する物  件の抹消登記に関する取り決め」「土地の瑕疵担保責任は追わない」といった内容について書かれているか、また間違いはないかをしっかり確認しましょう。
2.「ローン特約の解除期限」の設定を決めておく。
 ローン特約とは、買主の住宅ローンの申請が承認されない場合に、売買契約を白紙として、売主は買い主から受け取った手付金を返金する仕組みです。
 買主は住宅ローンの融資を受けることが多いので、その場合、これについても決めておきましょう。
3.解体工事着工は買主の融資が承認されてからに。
 買主に金融機関の融資の承諾が下りなかったり、ローン特約の期限内を過ぎたりすると売買契約は解除されます。そのため、解体工事の着工は融資承認されてからにしましょう。
4.円満な引き渡しのために、近隣との関係も円満に。
 近隣トラブルで解体工事が遅れ、引き渡し日に間に合わなくなると、法的なトラブルに発展することがあります。また、違約金の発生や契約解除となる可能性もあります。そうした事態を避けるためにも、工事に際しては近隣の方々への挨拶や配慮をしっかり行って、円満に終えることが重要です。
5.固定資産税を清算するタイミングに注意。
 固定資産税はその年の1月1日時点での所有者に課税されるものですが、更地になると固定資産税は高くなります。そのため、年をまたぐ場合には、解体工事や決済、引き渡し日についてよく検討し、相談する必要があります。
6.解約手付金と違約金の取り決めに注意。
 この2つの言葉は似ていますが、意味が異なります。契約に際しては、十分に理解しておきましょう。
 解約手付金とは、買主から売主に支払う手付金の1つです。売主や買主が契約履行に着手するまでの間に契約を解除する際、買主は手付を放棄し、売主は手付の倍額を返すことで契約を解除できます。
 更地渡しでは、売主が解体工事に着手した時点で契約が履行されたことになり、契約解除はできなくなります。その後に解除するには違約金が発生します。
7.解体工事中は地中埋設物の存在に注意。
 今のように産業廃棄物の処理について規制がしっかりしていなかった以前は、廃棄物を地中に埋めていたことがありました。解体工事をしていると、その残骸が出てくることがあります。これらを残したままにしておくと、後からトラブルの原因になりかねません。解体工事をきっかけに、地中埋設物の有無をしっかり確認し、できれば取り除くといいでしょう。

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