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Twitterは2chより怖い

昔、2chが怖かったんですよ。あの独特な雰囲気。独特な口調。独特な文化。そして匿名という仮面。2chはたまに読むことはあっても、ついに一度も書き込みはしなかった。せいぜい、まとめサイトで見るくらい。電車男とか、笑ったスレタイとか、秀逸なコピペとか、そういうのね。

で、当時の2chの怖さの原因が匿名性にあると思ってたの。自分を自分であると主張するものは、一日に一度変わるIDだけ。まぁトリップとかあったけど、基本的にはアイデンティティは毎日リセットされてしまう。だからどんな暴言を吐いても良い。誰からどんな敵意を向けられようが構わない。明日には違う自分になるんだから。そんな、毎日輪廻転生する世界で、独特な口調で喧嘩をする世界を、率直に言って、ある種の地獄に近いイメージで見てた。

2chを見てて、匿名でなければ、実名でなくても、「明日も同一の自分でいる」とわかっているなら、毎日「自分」がリセットされないなら、そこに秩序が生まれると思ってたの。匿名でさえなければもっと住みやすい世界が広がるんだろうって。

でね、今のTwitter見てるとさ、正直、当時の2chよりよっぽど地獄なんだよね。一度でも誰かに敵認定されてしまったら、過去の発言全部掘り返されるんだ。過去の「いいね」を全て調べられるんだ。過去だけじゃなくて、未来も監視されるの。ずっと「ウォッチ」され、自分が気に入らない発言がある度にそれを引用RTで晒すの。

2chはそんなことできなかったじゃない?ある人が痛い発言したとして、その人が過去にどんな板でどんな発言してたかは、トリとかつけてない限りわからない。もしずっとコテハン使ってたとしても、炎上したら明日から別の人になればいい。「誰かの敵意」は次の日まで続かないんだ。

Twitter見てると、匿名性は良心を失わせるものだけじゃなかったんだな、と思う。匿名性には赦しもあった。過去と未来を断ち切り、「今」だけのつながりを用意してた2chは、ある意味Twitterより優しかったのかもしれない。

今、あらためて思う。Twitterは当時の、あの頃怖がっていた2chより、ずっと怖い。

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