貝谷嘉洋

NPO法人日本バリアフリー協会代表。筋ジストロフィーのため24時間介護が必要。日本で大…

貝谷嘉洋

NPO法人日本バリアフリー協会代表。筋ジストロフィーのため24時間介護が必要。日本で大学卒後、カリフォルニア大学バークレイ校で修士取得。現地でアルバイトの介護者を雇い自立生活。その後、一本のレバーで運転できる車で北米大陸一周。国士舘大学講師。各種委員、著書、講演多数。

最近の記事

  • 固定された記事

貝谷嘉洋 バリアフリーを語る

 1970年、岐阜県生まれ(現在49歳)。筋ジストロフィーのため24時間介護が必要。  10代前半で歩けなくなり、志望の高校から受験・入学拒否をされるなど、受け入れが悪い日本の学校生活で苦い思いをしつつも何とか大学を卒業した。だが、車いすに乗る障がい者が生きていくうえでバリア(障壁)だらけの社会に嫌気がさして渡米した。  20代のほとんどを、カリフォルニア州バークレイで過ごした。私のような重度の障がい者が介護者を雇用して1人で暮らす自立生活で有名な街である。親の経済的支援

    • バリアフリー論1 「自立生活の街、バークレイ」

      「バークレイを実際に見たい!」  関西学院大学時代のことだ。授業の中で、 「重度の障がい者の自立生活が最も発展している街」  と聞いていたからだ。母親の全面的な介護のもと暮らしていた私は、同年代の人に介護してもらえる自立生活に憧れていた頃であった。 1992年、米国はカリフォルニア州にあるバークレイを訪れた。大学を中心とした人口約10万人の小さな街である。 「何だ。この電動車いすの数は!」 街中を行き交っている電動車いすを見て驚いた。そして、 「こんな小さなお店も段差なく入

      • バリアフリーとは?

         バリアフリーとは、バリア(障壁)が取り除かれた状態のことだ。ではバリアとは何か。  まず、多くの人が最初に思いつくのは、建物や道路にある段差ではないか。私は電動車いすを使用しているが、5センチメートル以上の段差が1段でもあれば、安全に超えることはできない。これがバリアだ。または、狭くて入れない通路もそうだ。これらは「物理的なバリア」と呼ばれる。  もう1つは「社会的なバリア」がある。私は志望の高校から、受験・入学を拒否された。それは車いすが必要なほど重度の障がい者は、入学さ

        • ライフワーク「ゴールドコンサート」

          「グリーンコンサートの日本版を開催するぞ!」  1999年、デンマークでそれを視察した時の思いが、ゴールドコンサートを立ち上げることにつながった。  4年後の2003年、都内の小ホールで産声をあげた。NPO法人を設立し立ち上げたのだ。初回のゴールドコンサートでは13組の障がいをもつミュージシャンがグランプリを目指して、その表現力・技術の高さを競った。なお、ここでは音楽のジャンル、プロ・アマ、オリジナル・コピーは問わない。 「高いクオリティーの音楽コンテストを目指したい。」

        • 固定された記事

        貝谷嘉洋 バリアフリーを語る

          新型コロナウィルス禍における生活

          「ちゃんと玄関で消毒してくれたよね」 「もしかしてもう感染してたらどうしよう」 「どっちかが罹ったら、濃厚接触者になるね」  これが最近よくある会話だ。新型コロナウィルス禍の緊急事態宣言の下、ほぼ常時介護が必要な重度の肢体不自由者である私が、どのような暮らしをしているか紹介すると同時に、「もし自分が感染したら」ということに踏み込んで論じたい。。  外出は週1回だ。近くに住む親族か、親しい友人と散歩をする。ちょっと暖かくなってきたので、公園でパンやおにぎりを一緒に食べる

          新型コロナウィルス禍における生活