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ニンテンドースイッチの「生活系CM」が凄く怖い

任天堂のいわゆる生活系CMというのがある。

家族が楽しくニンテンドースイッチを通して生活する様子を映したCMである。

これ。僕はメチャクチャ怖い。

目をこらして見ると、あれだけリアルだと思われた部屋の中に著作物や商品が無いのである。


アクエリも無い。サンリオのグッズも無い。あるのは無地のタイルと著作物が意図的に排除されたにも関わらずそこにある「生身の人間の部屋」として映るこの感じ。

凄く怖い。


家族という共同体。そしてその中で産まれるリアルな会話。思い出。

それらが全て嘘であるという事がリアルであればあるほど怖くなる。


攻殻機動隊の偽の記憶ってこんな感じなんだろうな。って思う。リアルだけれど虚構にすぎない感じ。僕は毎季節ニンテンドースイッチの生活系CMが来るたびに異様にゾワッとするのである。

しかもこのCM。季節が更新されるとyoutubeチャンネルから消えるのである。そこも怖い。使い捨ての嘘の記憶。それらが更新され、偽りの家族と偽りの部屋によって形成された嘘の記憶が更新され、最新版以外は消えていく。すげー怖いよ。攻殻機動隊みたいだよ。


日本映画のスーパーマーケットのシーンでもこの怖いという感情は湧き起こる。

そのスーパーに並んでる商品全てが、キッコーマンだったり味の素だったり永谷園だったりの惣菜や調味料風で、よく見ると架空の商品である事が確認できたりする。

その度に、パラレルワールドをうっかり見つけてしまったような怖さがある。

ハリウッド映画の時には「まぁ、嘘でございますし・・・」というある種のメタ的な安心感が働くのだけれど、任天堂のCMはとにかく胸がざわつく。

私達が現実だと思っている世界そのものが嘘なんじゃないかっていう、そういうニューロティックな不安を誘うのだ。

フィクションと現実の境界線が極めて曖昧になって、全てがわからなくなるような怖さがある。僕はそういう目線で任天堂の生活系CMを見ている。

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