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Mountain stream fishing mid game. Episode「シュレーゲルの季節」#16

 「シュレーゲルアオガエル」皆さんはこのカエルを知っていますか?
アマガエルより大きく、見つけるとこの鮮やかさに目を惹かれます。「コロロ」みたいな鳴き方をするこのカエル、自分の住む地域だと探そうと思うと中々見つけられません。日本の固有種ですが、名前の由来はオランダのライデン王立自然史博物館館長だったヘルマン・シュレーゲルに由来するそう。

鶸萌黄色を纏い腹部にかけて鮮やかなグラデーションのその体は日本の色彩感覚を彷彿とさせます。よく似たアオガエルにモリアオガエルがいますが、目の虹彩で見分けがつき、シュレーゲルアオガエルは金色の虹彩をしています。
今回は2023シーズン、このカエルに出会った8月中旬から9月初頭にかけての記録です。

8月はコンディションの良いヤマメに多く会うことができました。
個人的にヤマメ釣りは7月頃からめちゃくちゃ楽しくなってくると思います。ホーム河川は人的プレッシャー・天候・渇水といったタフな環境になりますが、それでも賢く生き抜いた個体は存在します。そしてそういった個体は特に独特な模様を纏っている気もします。

ツル、ヌメっとした感じ。夏の日差しに輝く魚体。
基本カバーに入っている魚が多い河川の釣りはゲーム性が高く夢中になります。

釣った者だけに与えられる儀式「リリース」。魚体を愛でてリリースする時間は自律神経が整う至福の時間。自然の恵みに感謝です。

場所を変え、標高を上げたイワナ釣りにも足を運びました。
毎シーズンどうしてもヤマメを狙いに最近は行きがちでした。時間を作って改めてイワナを釣りに行った時間は案外新鮮でした。
ブナが多くなってきた広葉樹林は空気がすこぶる良い。鼻通りが良くなります。

ハルゼミが鳴き終わり、朝晩はヒグラシ。昼間は「ミーンミーン」と賑やかになる季節。イワナも太く良い魚が多くなります。

木陰から飛び出して来た黒い魚体。久々にいいイワナに会えました。

釣ったルアーはイワナの皮をあしらったもの。
このエピソードもなかなか個人的には深いものがあります。話し始めると長くなるのでまた別に機会に。
それにしても、頭から背中にかけた虫食い模様は素敵。あんまりイワナについて詳しくありませんが、今シーズンはホーム漁協のイワナを追いかけるのも楽しそう。

そんな中、リールの新調をしました。
メイドインフランス「ミッチェル304s」。408に続きフランスリールです。

1970-73年のとても少ない製造期間の希少なこやつ。円形デザインはまさにグッドデザイン。スプールが304でハンドルが314のもの。大体今から50年ぐらい前に製造され、今なおこの世に存在するこの子。僕は道具は使ってこそ意味があると思っています。ただのゴミにならないよう、必要最低限の機能で魚と向き合う。そんな釣りが好きですし、ビンテージリールにはそこに魅力を感じます。魚は昔とそんなに変わってないと思うからこそ、道具に持たせる意味を考えていきたい。

かねは商店さんのロッドに組み合わせた304s初釣行は8月後半。
ファーストフィッシュは2023シーズンで出会ったヤマメで1番印象深い魚でした。

この尺ヤマメの長さ、太さ、模様が完璧でした。
304sで釣った最初の魚がこれですよ、もぅね痺れちゃいます。自分のホーム河川では本流ではそこそこいいサイズのヤマメは釣れます。しかし、細い流れで釣るヤマメはその何倍も難しいです。だけど、そんな流れで釣れる尺ヤマメがこれです。個人的にはすごい価値があるもの。毎シーズン目まぐるしく変わる河川・自然環境の中、この一匹を追い求める為には通い詰めるしかありません。自然には勝てない。だけども知ろうとしながら、自身の体・精神を自然に同調させようと通い続ければ、答えに辿り着ける気がする。「現場に立つ」ただそれだけ。非常にシンプルなことだと思う。
ここに釣りを通したアウトドアといった遊びの本質があると感じています。

自然に足を踏み入れる意味、そんなこと考えながら出会えたこの魚に感謝をした8月でした。ご近所の果樹園ではうまい葡萄がなり始め、夏から秋へ季節の移り変わりをちょっぴ感じる9月の初め。さて、次回で2023シーズンの振り返りの記事はラストです。
またそれも、自身の釣り人生の中で震える体験をした数少ないお話です。お楽しみに。

ではでは。

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