白雪サメ【創作童話】

 ある国の王家に、白雪のように美しいサメが生まれました。『白雪サメ』と名付けられたサメは、心優しい可憐なサメに成長しました。

 しかし、白雪サメの母である王女は、白雪サメの美しさに嫉妬していました。
 王女は魔法の鏡に訊ねます。
「鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰?」
「王女さま、世界で一番美しいのは白雪サメでございます」
 ついにブチ切れた王女は、白雪サメを殺そうと画策します。白雪サメは森へ逃げ、七人の小人たちに助けられました。

 白雪サメは楽しく暮らしていましたが、ある日、魔女に化けた女王から渡された毒リンゴを食べてしまいました。
 するとどうでしょう、毒により白雪サメは巨大化し、サメとしての本能を解放され、めちゃくちゃに暴れ出しました。小人の家を破壊し、七人の小人たちや女王を食い千切り、それでも暴れ足りない白雪サメは街の方へと巨体を向けました。

 魔女に化けた女王は、今際の際でほくそ笑んでおりました。白雪サメは醜い怪物に成り果てたのです。ポケットタイプの魔法の鏡を取り出し、女王は訊ねます。
「鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰?」
「王女さま、世界で一番美しいのは白雪サメでございます」
「何故だ⁉ 白雪サメはあのような化け物になったのだぞ⁉」
「サメは、凶暴で残忍な本性を出した時が一番美しいのです。それがサメとしてのあるがままの輝きなのですから」
 女王は遠ざかっていく白雪サメの巨体を見上げました。「美しいわね…」女王はそう呟き事切れました。

おわり

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