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あの空はどこにある

「あの空を駆け抜けたい。」そう口にしてみた。あれ、なんだかすごくカッコつけた感じ。でもそれしか言葉が出ないくらい鮮やかな青だったんだ。

そう思った朝の今日の天気予報は晴れ。最高気温18℃。昼間は春の気温でハーフコートでも良さそうだ。

その日は友人と会う約束をしていたので身支度をしてスマホの電車の時間を時折確認しながら駅まで足早に歩いた。

ああ、あの夢の空は現実ではどうなんだろう。また考えていた。ふと空を見上げた。うーん、朝の東京の空色は薄い水色だった。

春は高気圧に覆われる事が多く、下降気流が発生し、それが発達すると逆転層というものが大気中に現れる。それは空気の層という謂わば地上を蓋する空気となり、塵やほこりや水蒸気は上昇することができずに、地上に溜まりやすい。ましてや花粉や黄砂、なんていうのもあるので太陽の光が散乱してしまい春の青空は霞みがかった薄い水色になりやすいそうだ。

まだこの時期じゃないんだな。そう思った。

って何の時期だよ。ちょっと自分に笑ってしまった。

そういえば去年ロックダウンで世界的に人々が自宅待機となった時、大気中の一酸化炭素の濃度が2019年3月と比べてほぼ半減したというニュースがあった。

ロサンゼルスのPM2.5が40%減少し、光化学スモッグで霧の様になっていた空がはれて摩天楼がはっきりと見えていた。

イタリア・ヴェネツィアの水路は依然は濁っていたがなぜか水路の底が透き通るくらいの水になった。現地の人々は自然が人間にリセットボタンを押した、と語っていたそうだ。

インドでもPM2.5がロックダウン2週間で30〜50%減少し、今までスモッグで見えなかったヒマラヤ山脈が、近くの北部パンジャブ州の都心部から見えるようになったそうだ。生まれて初めて見た、という若者もいたそうだった。

東京も去年3月、緊急事態宣言で自粛申請となった時、過去と比べて鮮やかな青になった。そういえば星もちょっと見えるようになったんだっけ。けれどもその2ヶ月後、5月には例年通りに戻ったそうだ。

簡単な分析だと人々が活動しなければ地球環境はよくなる、という事かもしれないがそう言いたいわけではない。

不安になる人もいるけれど、空気が、空が、水がきれいになって人々はそのニュースに純粋に喜んだ。

きっと共存できるはず。何かヒントになりそうだ。

なんとなくあの夢で見た空に近づいたような気がした。

つづく


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