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#20 ぶどう山椒の夜明け「山椒産地に光り」

7月初旬、ぶどう山椒の収穫が最盛期を迎えました。この時期の収穫物は主に粉末山椒に加工され、料理の香りづけやアクセントとして用いられます。


「5年ぶりの豊作だ」と話すのは、荒れた農地から山椒園を築きあげた就農12年目のきとら農園代表の新田 清信(しんだ きよのぶ)さん。
山椒の一大産地である和歌山県の有田川町ですが、2018年の大型台風が産地を直撃したことを受け、山椒の樹が倒れたり、強風により樹の根が痛んだことが要因で枯死したりしました。新田さんもご多分に漏れず、数百本もの山椒を失ったのだとか。

「台風前の収穫量には及ばないが、生産量が戻ってきていることは喜ばしいこと」と新田さんは安堵の表情を浮かべられました。


新田さんはご自身で粉末山椒の加工を手掛けられ、生産から加工までの品質管理を徹底されています。香りの高さ、色味の美しさから、ミシュラン2つ星の料亭など高級店と取り引きされるなど好評を得ています。また、飲食店に限らず香辛料会社、食品メーカーなど多くの会社からの問い合わせが殺到します。

人気を博す新田さんの商品ですが、当初は用途や品質など山椒に対する理解が市場に浸透しておらず、苦戦を強いられました。地道な営業活動を続けることで、和のイメージに引っ張られがちな山椒の用途をフレンチ、イタリアンなどへ拡大させたり、全国的にも珍しい山椒の有機栽培にチャレンジされたりするなどして、じわじわとファンを獲得してきたのだとか。また、新田さんの活動は本年6月に環境省主催の令和5年度環境保全功労者等表彰制度において「環境大臣賞」を受賞するに至りました。新田さんの活動や本賞については次号の記事に続けて紹介します。


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