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【演劇】アンナ・カレーニナ

2023年3月15日(水)、渋谷のシアターコクーンで、演劇の『アンナ・カレーニナ』を観てきました。主演は、宮沢りえさんです。

■はじめに

 反省を込めて一番に書くと、トルストイの小説を読んでから行くべきでした。恋愛物であることと、小説のラストは知っていたのですが、深みを持って観ることが出来なかったように思います。少し消化不良ですが、メモを残したいと思います。

■概要

(1)簡単なあらすじ

 1870年代後期のロシア帝国、アンナ・カレーニナは、政府高官の夫カレーニンがありながらも、若き将校ヴロンスキー伯爵と恋に堕ちてしまう。
カレーニンとの離婚も進まないなか、三角関係はもつれていく。
 他方、農地経営を行うリョーヴィンは、キティと地に足のついた愛を育んでいく。
 愛について、アンナとリョーヴィンを対比的に描いているようです。

(2)作、演出など

・原作 レフ・トルストイ
・上演台本・演出 フィリップ・ブーリン
・アンナ 宮沢りえ
・リョーヴィン 浅香航大
・ヴロンスキー 渡邊圭祐
・キティ 土居志央梨
・カレーニン 小日向文世

■印象に残った点

(1)美術

 美術は、マックス・ジョーンズさんとなっていて、舞台が子供部屋となっていました。パンフレットから引用します。

両親の関係に亀裂が生じ、家庭内に嵐が吹き荒れた時、最も苦しむのは大抵は声をあげない子供たちです。だからこそ私たちはこの物語の感情的、道徳的な面を強調する子供たちの存在に重きを置き、「子供部屋」という設定を選びました。

パンフレットより

そこで、今回私の画像も、木馬にしてみました。

(2)場面転換

 3時間45分の舞台ですが、アンナのパート、リョーヴィンのパートなど、割と細かに場面転換がなされ、冗長にならない印象を受けました。場面転換で流れる音楽(音?)も良かったです。

(3)上流社会の視線、空気、噂話

 アンナや他の登場人物に対する上流社会の視線や噂など、不特定多数の演者が声を出す感じで、上手く演出されているように思いました。

(4)スティーバとドリーのパート

 スティーバ(アンナの兄)とドリー(キティの姉)夫妻のパートも時間を割かれ、興味深く観ました。スティーバ役の梶原善さんの声がよく通って、良かったです。

■消化不良だった部分

(1)第二幕でのアンナとヴロンスキーの会話

 第二幕で、二人の関係がこじれていくのですが、ここは原作を読んでおけば、もっと丁寧に二人の気持ちを追って行けただろうな、と思いました。アンナのラストの下りなども含めて。

(2)第二幕でのリョーヴィンとキティの会話

 少しコミカルに演出され、会場から笑いも漏れていました。ここも原作を読んでおけば、なぜこのような演出にしたのか、もっと分かった気がします。

 反省も含めて、本日は以上です。

■追記(鑑賞から一夜明けて)
・自分で自分の人生をコントロールしながら生きていく現代ですが、己の思うがままに、というのは行き過ぎなのかもしれません。一夜明けて、アンナの葛藤に思いをはせる部分がありました。
・また、アンナが「私を愛して」と言い、ヴロンスキーが「愛していると言っているじゃないか」と繰り返す場面など、恋愛としては、重要な場面なのかもしれないなと思いました。
・最後に、ラスト付近で、「あ〜っ!」と叫んで、アンナが打ちひしがれる場面や、ヴロンスキーの従者が手袋だけ取りにもどる場面は、名場面だと思いました。
・農園経営を行い、自然と共に生きるリョーヴィンのような生き方は、ある意味羨ましく思えました。また、キティとの婚姻関係において、結婚前の異性関係も含めて包み隠さずという姿勢に面白さがありました。

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