中学生の作文で見られるよくある間違い
2023の冬。
この季節になると、中3の担任として膨大な量の作文を点検することになります。生徒会誌の作文、高校の推薦入試のための自己推薦文、面接試験のために準備する原稿・・・冬休み前はこれらの作文を預かって、冬休み中に少しずつ添削しています。
自分も、ものを書くということは得意というわけではなく、何回も推敲しながら書きますし、通知表の所見や職員会議の原稿なども管理職の点検を受けると、赤ペンで真っ赤になって返却されてきます。内容を直されているわけではなく、日本語として文法や言葉遣いがおかしいという部分が直されてくるわけですが、指摘されれば「あ、なるほど確かに・・・」と自分でも思うことがしばしば。「正しく、分かりやすい文を書く」って難しい、高度な作業なのだと思わされます。
さて、教師として生徒の膨大な量の作文を点検することになるわけですが、その中で気になったことを何点か。
1.私は高校では学習と部活動の両立を頑張っていきたいです。
一見、普通の文かなと思いますが、何年か前の学年主任から指摘されたことです。文末の「~したいです」は普通の終わり方かな、と思っていましたが、「こどもっぽい印象を与えてしまう」のです。
生徒はよく「~したいです」構文を使います。
・私は高校では弓道部に入りたいです。
・私はボランティアを頑張っていきたいです。
・ラグビーに所属して、全国優勝したいです。
上記の文は間違いではありませんが、大人の文章としては
・私は高校では弓道部に入りたいと考えています。
・私はボランティアを頑張りたいと思っています。
・ラグビー部に所属して、全国優勝したいと決意しています。
と、した方がいいようです。このことについてちゃんとした文献は見たことがないのですが、確かに与える印象はぐっと大人の文章になっています。
2.私は好奇心が多いです。
こういった間違いもよく見られます。名詞を説明する形容詞は、組み合わせが決まっていますが、その形容詞を判断するのがなかなか難しいようです。
ここでは「私は好奇心が強いです。」や「私は好奇心旺盛です。」とすべきでしょう。
英語にもこのような組み合わせがあり、コーヒーが濃いことを、This coffee is strong.と言います。コーヒーが強い!!?と思うでしょうが、それは感覚的なものなのでそう言うのならばしょうがないですね。
3.中学校での思い出は、合唱祭でみんなで一生懸命歌って、金賞をもらった。
主語と述語(述部)のねじれもよく見られます。中学生はとにかく一文が長くなる傾向があります。100文字なんてざらです。中には原稿用紙半分(200文字)が一文だったなんてことも。そのうち主語と述語(述部)がねじれてしまい、日本語としておかしな文になることが。
上の文は「思い出」が歌って金賞をもらったことになってしまいます。
「中学校での思い出は、~ことです。」とするべきでしょう。
4.私はキャプテンとしてみんなに声を掛けたりしました。
この「たり」は中学生が好きな言い回しです。直接的なものの言い方を避けたいのでしょう。意味を和らげるために「たり」を使います。しかし、「たり」は「~たり、~たり」と2回続けて使います。
したがって、「私はキャプテンとしてみんなに声を掛けました。」とするべきでしょう。または「私はキャプテンとしてみんなに声を掛けたり、自分から率先してボール拾いをしたりしました。」とするといいですね。
5.なので、私は数学を頑張ります。
この「なので」の誤用も多いです。「なので」は「この部分は大事なので、よく聞いてください。」といった形で使われます。したがって、上記の間違い例は、「だから、私は数学を頑張ります。」の形にするか、「だから」をい省いてもいいかもしれません。
もっとも「ことば」とは時代とともに変わるわけで、だんだん「なので」も文頭に来てもよい方向になってきているらしい。辞書にも例文として掲載されるぐらいに。
他にもいろいろありますが、今回はここまで。あまりにも作文を読みすぎると、自分が間違っているのかなという感覚に・・・。(笑)
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