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『Chants of Sennaar』にでてくる言語のモデルは何か考えてみた。

フランスのインディー系ゲーム会社Rundiscが作った、バベルの塔をモチーフにした言語謎解きゲーム『Chants of Sennaar』にめちゃくちゃはまりまして、オタク気質ゆえにゲームをクリアするだけでは満足できず、あれこれ考えたので、それを記録しておきたい気持ち半分、誰かと話す材料にしたい半分で、ブログを書くことにしました。

【おことわり】これを書いている私は、言語学の研究をしている訳ではい、ただの素人なので、そのことを念頭に置いて読んでください。

ブログの内容は、ゲームをクリアしている前提で書くので、まだクリアしていない人や、これからゲームを始める可能性のある人は、先にゲームをすませてね。下記リンクはNintendoSwitchのものだけど、PC(Steam、Epic Games)、PlayStation4、Xbox Oneでもプレイできて、体験版もあるよ。


おさえておきたい公式情報

ゲームの説明文には「『バベルの塔』からアイデアを得た」とありますが、それ以外の公式情報として、ゲームクリエイターがフランスのゲーム情報サイトのインタビューに答えた記事があります。

自動翻訳をかけて読むと、モデルとなった古代言語については、だいたいこんな説明をしています。

  • 発想を得た言語はあるが、複数の言語を組み合わせた空想言語である。

  • 各民族には独自の文化があり、それが彼らの会話や文章に表れている。

  • 言語は人々の声であり、スペルだけでなく文法や語彙も情報を提供する。

って訳なので、各フロアの言語ごとに単一の正解は存在しないようなんだけど、具体的に実在の言語を複数あげているので、実際の歴史や文法を参考にしている可能性が高いとみて、そこは自由に解釈していこうと思います。

教徒(DEVOTEE)の言語

開発者インタビューには、ラテン文字とフェニキア文字の融合で少し楔形文字の側面もある、と書いてありますが、個人的にはヒエログリフがモデルだと思っています。
教徒の言語の一番の特徴は、物の形をかたどって描かれたパーツを組み合わせた象形文字です。

教徒の文字の仕組み

また、複数形の名詞は、同じ単語を2回並べるといった表現があります。

教徒の複数形表現

これらの特徴は、ヒエログリフにある、表語文字を組み合わせた文字、名詞を3回繰り返すと複数形、などに似ているので。以下は、参考サイトです。

開発者インタビューで言及されている、ラテン文字の要素はローマカトリック教会で使われている言語って意味かな?でも、開発者インタビューには、特定の宗教との関連性は否定しているので、違うような気も。あと、フェニキア文字と楔形文字の関連性については、手がかりがつかめず。情報求む!

兵士(WARRIOR)の言語

開発者がインタビューで、フサルク(Futhark)=ルーン文字と明言しています。これは、私も、そのまま受け取っていいかなと思います。
ルーン文字は、騎士がでてくる中世ヨーロッパ小説・ゲームなどによく使われ、船によって広範囲を移動したヴァイキングが武器に刻んだことでも知られているので。
ただ、他の言語の文字と比較した時の最大の特徴である、「私」「あなた」を意味する文字が存在しない理由が、ルーン文字だけでは解明できないので、他にも何かモデルになっている言語がありそうな気がします。

吟遊民(BARD)の言語

開発者インタビューでサンスクリット語とアラビア語と明言していて、これもそのまま受け取って良いと思います。

サンスクリット語については、文章を横線でつなげる書記法が、デーヴァナーガリー文字に似ています。デーヴァナーガリー文字は、現代だとヒンディー語やネパール語が使っています。以下は参考サイトです。

日本人には馴染みがなく苦戦した人も多い、目的語+主語+動詞のようでその限りではない文法は、アラビア語の動詞文と名詞文を左から読んだ場合だと解釈すると理屈があうような気がします。以下は参考サイトです。

また、文化や語彙にはギリシャ語が意識されていると思います。古代ギリシアの象徴である、広場(AGORA)があり、劇場で喜劇が上演されているので。

※2023/11/27追記
疑問文の最初と最後に疑問詞がつくのは、スペイン語っぽいですね。

錬金術師(ALCHEMIST)の言語

わかりません。図書館がある=活版印刷が発明された後、吟遊民=古代ギリシアとの繋がりをもとめたルネッサンス時代のヨーロッパ系言語?…なのかなー?ただ、元素って概念があることや、各種機械があることを考えると、産業革命以後?
言語としての特徴は、数字があること、会話の量がかなり少なめってのがあるんだけど、それだけではなんとも……情報求む!

※2023/9/30追記
シトー修道会で14〜15世紀に使われていた数字が、ゲーム内のあの数字記法に似ているっぽいです。


孤独の民(EXILE)の言語

デジタルの文字コード的な何か?…だと思うのですが、確証はなく。
余談ですが、各階の扉をあけてるのと通訳を全部おわらせた後から、感動的なエンディングの間にある怖いシーンは、どう解釈したら良いんでしょう?

おわりに

そんなわけで、上層階に進むにつれグダグダになってしまいましたが、最後は、私がちょっと拡大解釈で作った吟遊民の文章でお別れを〜

クリアした人なら読めますよね?

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