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親の老人ホーム入居が決まるまでに、相談・活用した窓口・サービス等まとめ

親の介護に関するノウハウ本はいろいろありますが、老人ホーム探しは保育園探しと同様に、地域差が大きく、場合によってはバッドノウハウが求められることがあるので、自分が経験したことを残しておこうと思います。私の親は横浜市に住んでいたので、横浜市に関する情報が基本になります。根拠のない曖昧情報も多く含まれるので、正確な情報は役所からもらった冊子(横浜市の場合、ハートページ)を確認してね。

また、老人ホーム入居するのは、あくまでもスタート地点でありゴールではないです。入居したら施設に全部おまかせ、って出来る施設もあるにはありますが、基本は月1〜2回くらい家族が会いに行くことが想定されているので、そのつもりで探しましょう。

星印は、★★★は絶対に相談・活用すべき、★★はたぶん相談・活用することになる、★は場合によっては相談・活用することになるかも、です。


地域包括支援センター(○○地域ケアプラザ、通称:包括)★★★

だいたい中学校区に1カ所の割合である公設民営の施設で、介護に関して無料で相談できる場所です。
公設民営ってところがポイントで、役所より柔軟な案内をしてくれます。
具体的には、介護保険の申請を代行してくれたり、地域や家族の事情にあった具体的な介護サービスの提案などをしてくれます。今のところ問題ないけど将来が心配かも…ってタイミングでも相談は可能で、自宅訪問して介護サービスの利用を促してもらったり、いざという時がきたら即申請の手続きをとってもらう、などができます。また「親は大丈夫って言うけど…」「やること沢山ありすぎて、何から手を付けていいかわからない…」みたいな漠然とした相談でも、親身に状況にあったアドバイスをもらえます。
ちなみに、包括はとても良い仕組みなのですが、行政関連の介護・福祉系のお仕事あるあるとして、担当者が1人あたり抱えてる案件がとても多いようなので、勝手に気を利かせて動いてもらえることは期待しない方が良いです。状況が逼迫している時は、自分から積極的に困っている状況を訴えて相談や依頼していくことが大事になります。また「こんな身内の恥をさらすのは…」「これは家族の問題のような気が…」と思っても、介護を進めていくうえで必要なことだったら、包み隠さず相談していくのが良いと思います。文字通り、包括的に支援してくれるので、使わない手はないと思います、無料だし。介護関係では、よく「困ったらケアマネに相談」と聞きますが、「ケアマネが決まるまでは包括の人に相談」です。個人的には、ケアマネが決まるまでが、一番大変だと思いました。

親のかかりつけ医★★

介護サービスを利用する場合、まずは介護保険の申請をするのが基本となり、そのためには主治医意見書というものが必要になります。入院している場合は入院先の担当医に書いてもらうよう依頼できますが、そうではない場合は「かかりつけ医」にお願いすることになります。世の常として、年寄りはお医者さんの前ではシャキッとしがちなものらしいので、事前に予約をとって家族から介護保険の申請に至った状況を伝えておくと良いらしいです。
また、老人ホーム申込には健康診断書が絶対に必要になるので、その点でもお世話になります。ちなみに、健康診断書の内容は、成人向けの一般的な内容+認知症の有無+胸部レントゲン(結核感染がないか確認)+血液検査(B型・C型肝炎の検査含む)が求められます。小さな診療所の場合、設備のある専門医や大きな病院にいって検査することになったりします。急いで老人ホーム入居を目指す場合は、介護保険申請の主治医意見書をお願いしにいくのと同時に、その旨を伝えておくとスムーズかと思います。
もし「うちの親は、ずっと通ってるお医者さんいないと思う…どうしよう…」って方については、諦めずに包括でその旨を相談してみましょう。包括には、その地域で介護に協力的なお医者さんを知ってたり、定期通院をしていない人の申請に関するノウハウがあるはずなので。

入院先のソーシャルワーカー(通称:SW)★

入院している場合、退院後に自宅で暮らせそうか?自宅に戻れなさそうな場合は、どういった施設に移るのを考えるのがよいのか?入院中に介護保険の主治医意見書や認定調査をおねがいできるか?などについて相談や調整をしてもらう人です。
病院でのケアは退院したら次の施設か包括に引き継ぎになるからか、たまたまの担当者の人柄か、ざっくばらんに現実的な選択肢についてお話できるのが良かったです。横浜市は、生活保護受給者が老人ホームに入る場合は月15万円まででるので、それ以下の費用負担で入れる施設は基本的にない、すぐ入れる施設は月25万円位からって、現実を端的に教えてくれたのも、SWの方でした。
また、病状によっては、リハビリ系の病院に転院したり、系列法人や付き合いのある施設に対して斡旋してもらう、など病院側に次を探してもらうケースもあるようなので、家族の事情や希望は早めに伝えるようにした方がよいと思います。

小規模多機能居宅介護のケアマネージャー(通称:ショウタキのケアマネ)★

「え?『居宅介護』って家で介護することでしょ?うちでは無理なんだけど…」と思った、そこのあなた!……老人ホームに入ってもらうつもりでいても、本人が決断できなかったり介護保険制度の手続きの関係などで、数週間から数ヶ月の待ち時間が発生する可能性がありますよ!なので、老人ホームに入れるまで、本人と家族の負担をなるべく軽くするため、自宅での居宅介護サービスをつなぎで使いましょう!介護保険で使える居宅介護サービスにはいろいろな種類がありますが、1日でも早く介護サービスを沢山使いたい…って切羽詰まっている状況の場合、小規模多機能居宅介護(以下、小多機)って種類のところにお願いするのが良いよ、と包括の担当者に言われ、確かにその通りだなと思いました。
小多機のメリットは、ケアマネが自動的につくことになる、小規模なのでフットワークが軽い傾向があり、多機能=ホームヘルパー・デイサービス・ショートステイなどのセットでお願いできて、料金体系が月額固定+食事代等の実費負担なので沢山使いたい人にお得な費用体系です。デメリットは、介護保険の点数をけっこう使うのと組合せ不可の業態があるので小多機以外のサービスを選びにくい、あまり介護サービスを必要としない人には割高、みたいです。
小多機は、独居がかなり困難な状況でも本人の希望や経済的な理由などで老人ホームには入らないケースを支えることが多いそうで、うちの家族は相当面倒…と思ってても、現場ではあるあるな展開だったりすることが多いっぽいので、つまびらかに状況を開示し相談していくのが良いと思いました。

自治体が発行している介護保険に関する冊子(横浜市の場合、ハートページ)★★★

インターネットには老人ホームを探すためのサイトがいろいろありますが、あれらは基本的に広告宣伝費をかけてPRしたい施設の情報しかないので、入居を検討しているエリアの老人ホームについて、すべての情報が得られる訳ではありません。介護保険を利用して入るタイプの施設については、自治体が発行している介護保険に関する冊子に、施設種類ごとに施設名、住所、電話番号のリストが掲載されているので、それをもとにひとつずつ電話をかけて、親が入居できる施設を探してる旨をつたえ、空き状況などの諸条件を確認し、申込を検討するようなら見学のアポをとる…みたいな流れになります。
話が少しそれますが、介護に使える予算が潤沢で有料老人ホームやシニアマンションを中心に考えている場合は、斡旋業者に頼んで条件にあうところを探してもらう、といったことも地域(ある程度の都会?)によっては可能なようです。その地域に強い斡旋業者については、包括の担当さんに聞けば情報をもらえると思います。

厚労省の介護事業所・生活関連情報検索★★

対象になりそうな施設にひとつずつ電話かけるって言われても、すごい沢山あるんで全部は無理とか、電話かけて見学にいく前に施設について概略だけでも知っておきたいのだけど、って人にオススメなのは、このサイトです。

施設ごとに厚労省に報告した、施設の内容や運営状況について確認することができます。例えば、入居時にかかる費用や月々の費用、入居者の介護度や退所理由、従業員の正規比率や平均経験年数、行政処分や指導をうけたことがあるか、などが掲載されています。施設ごとの公式webサイトや介護施設情報サイトと違って、写真がなく文字ばかりなので読みにくくはありますが、良いことばかりではなく悪いことも含めて全部同じフォーマットでまとまっているので、比較検討の材料としては一番良いと思いました。

高齢者施設・住まいの相談センター(通称:上大岡)★

これは横浜市独自の取り組みなのですが、公益社団法人がやっている相談窓口です。市内の介護関係者の間では、特別養護老人ホーム(通称、特養)の入所申込所を提出するところとして認識されていますが、特養以外の介護保険施設等(老健、療養型病床群、高齢者グループホーム、有料老人ホーム等)に関する案内もしています。半分役所みたいなものなので、どうしても曖昧で一般論的な回答になる傾向はあるのですが、特養の申込を検討しているなら一度は行ったほうがいいと思います。すごい立派な市内全部の特養が紹介された冊子をもらえますし、各特養の紹介パンフレットのコピーもすべて置いてあります。また、入所申込書の書き方のコツや、申込前の問合せや見学についてなど、明文化されてはいないが暗黙の了解でおこなわれているアレコレについても、教えてくれます。相談は1回1時間の予約制ですが、わりとすぐ予約がとれます。

老人ホームの生活相談員(通称:相談員)★★★

そんなわけで、いくつか老人ホームの候補があつまったら見学しにいくわけですが、その際に電話でアポをとり、見学当日に対応してもらうことになる人は、生活相談員という肩書きの人になることが多いです。(小規模施設だと、施設長やケアマネの場合もあります)この生活相談員という役割は、見学や申込の対応だけでなく、入居後に本人や家族からの要望や困りごとを対応している職員なので、いろいろな入居者や家族についての経験があるので、申込を検討している理由や入居後の懸念事項などについて正直に全部話しましょう。話し方のコツとしては「この施設に入りたいんです!」ではなく、「うちの家族がかかえている介護の問題は、この施設に親が入居すると解決すると思うのですが…どうですかね?」という姿勢で相談員さんに話すことです。そうしなくても相談員さんは「うちの施設があっているかな?」といった観点で話を聞いているのですが、こちらから情報を積極的に開示することで、より詳しい話ができると思います。そうすると、場合によっては「うちでは難しいかもしれませんね…」と言われてしまうのですが、入居してから問題になるよりマシなので、これはWin-Winな展開です。で、そうなると、ただお断りするだけではなく、ちょっとしたアドバイスをくれる人が多いです。「うちの系列の施設で○○があるので、興味があるなら連絡しておきましょうか?」「よく知られていないので申請しない人が多いけど、こういった制度があって…」みたいなかんじで。ってわけで、見学や説明を聞いている時に「ここは絶対に申し込みはしないな…」と思った時は、見学時間をとってもらったことに感謝を伝えつつ、その旨をちゃんと伝えることをオススメします。

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