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オランダサッカーはどうなるんだろう

 22歳の僕にとって、はじめてきちんとテレビで観戦したW杯は、2010年の南アフリカW杯だった。
 サッカーにきちんとハマったのはそこからだと言っても過言ではない。だから僕はその大会で準優勝したオランダ代表が好きだし、当時スタメンのスナイデルが好きで、彼の所属するインテルも好きになった。

 しかし不思議な事に、なぜかオランダサッカー及びエールディビジには、いかんせん興味が湧かなかった。

 それは触れる機会がなかったから、と言ってもいいかもしれない。テレビやゲームでも、強いチームとして脚光を浴びるのはスペインやイタリア、そしてイングランドのクラブばかりで、オランダサッカーの日本における人気度みたいなものは、当時小学3年生の僕からしてもイマイチなものだと理解できた。

 アヤックス、PSV、フェイエノールトなどの名門がそこにあることは知っていたが、なにせ見る機会とビッグプレイヤーがいないことは、サッカーミーハーの少年にとって、少々興味の取っ掛かりを掴みづらい。
 周りの大人たちはクライフや小野などの名前を出してエールディビジの魅力を語るものの、メッシや本田の時代にその名前のもつ力は薄れていた。

 あれから数年、エールディビジはどうなっただろうか。

 結論としては、素晴らしい若手が輩出されるリーグというイメージが先行する。

 2010年から2023年までの13年間で、サッカー界は変容した。金の暴力と戦術家の登場により力と魅力をつけたプレミアリーグ。メッシとクリスティアーノ・ロナウドが去り、新たなスター発掘が渇望されるラ・リーガ。没落から再生への曲線の真っただ中に立たされるセリエA。そしてパリ・サンジェルマンの強大さが目立つリーグ・アン。

 このように目まぐるしく変わる欧州サッカーという荒波のなかで、エールディビジがもつスタンスや魅力のようなものは、13年間ほとんどそのままの位置で佇んでいる。

 今ではオランダサッカー、エールディビジと聞けば、少しニッチなマニア向けリーグという印象さえ与えてしまうほどで、個性的な土壌がそこでは育まれている。

 だがしかし、はたしてエールディビジはこのままでいいのだろうか。

 サッカーを観る者が減少し、ほかの娯楽も充実している現代において、多くの優秀な若手プレイヤーを輩出し続けるためには、そのリーグが魅力的であり続けることが必要不可欠である。

 今季、アヤックスは降格圏内に沈んでいる。

 もちろん、アヤックスがオランダサッカーのすべてだとは言わないが、エールディビジの雄がそのような状況にあるということに、僕は一つの危機感を覚えると同時に、オランダサッカーは一つの転換点を迎えるべき時期に差し掛かっているのかもしれない。

 サッカー界のインフレ化が進み、オランダサッカー界で活躍する若手も、青田買いのように買い漁られている。もはやエールディビジがもつ、若手の活躍する舞台としての権威は失われはじめているのかもしれない。

 オランダサッカーが次の世代でも魅力的であり続けるために、エールディビジは新たな自分たちの魅力を再構築する必要があるのではないだろうか。




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