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言い返したら特大のカウンターが飛んでくる

 言い返したら特大のカウンターが飛んでくる。いつもそういう状況に立たされているから、なかなか人に言い返しません。「怒ること、あんまりないでしょ?」なんて言われることもあるけど、それはすべて自分のためです。

 ぼくの信条としては、どんな相手だろうとも、その人にとっての最大の悩みであるようなことであったり、コンプレックスを刺激したくはないということがあります。たとえそれが喧嘩中だったり、相手にムカついたときでも、必ず急所からすこしズラシてボディーブローを入れます。どちらかというと、それは優しさかもしれません。

 でも世の中には、急所打ちばかりを狙ってくる人もいる。やられたらトコトンやり返す。思春期真っただ中に半沢直樹が放送されていたからか、「やられたら、やり返す」ということが、当たり前だと思っている人が、案外と多い気がしています。

 ぼくはそういう人、センスがない人だと思っています。自分がやらないから言っているのではなく、いままでぼくが見てきたセンスのある人たちは、必ずどこかに他者を想う心を持っていました。どんなに優しいと言われていて、普段パンチの一つも打ってこないような人でも、時たま小さい針を急所にプスッと刺してきたりすることがあります。そういう人を、ぼくは優しい人だとは思わない。

 優しい人とは、なにもパンチを打ってこない人のことではないです。すこし語弊が生まれるかもしれませんが、ほんとうに優しい人は、どんな状況でもルールみたいなものを遵守したうえで、パンチを入れてきます。そしてぼくも、もしも拳を振り上げるべき時がきたら、そのような態度でいたいのです。

 ほんとうに優れたボクサーは、決して人を殺さない。

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