vol.84 『Autour du monde 世界のその辺り』

角田陽一郎のメルマガDIVERSE vol.84 2021年11月5日New Moon
『Autour du monde 世界のその辺り』

ユニバースUNIVERSE(単一の世界)からダイバースDIVERSE(多元的な世界)へ
多視点(バラエティ)でみると、世界はもっと楽しくなる。
それが角田陽一郎の考えるバラエティ的思考です。まさにいろいろなことをバラエティに多元的に多視点で紐解くメールマガジンです。

■CM■「糸くず・ミジンコ・トンビ」

おはようございます!今日は蠍座の新月です。新月は始まりのタイミングです。
といってももう11月。今年もあと残りわずか二月になってしまいました。ボクはよく思うのですが、11月って毎年1年の最後のちゃんと何かにがっつり取り組める最後の月なんじゃないだろうか?って。というのも12月になるとなんか年末に向かってバタバタして、気持ちも忙しなくて、ゆっくり作業をするってわけにはなかなか行かないからなんです。
なので、このボクは、この11月をいつもにもまして、結構ゆったり本腰を入れて自分の創作の月間にしようか、などと考えております。なので、この今日の新月は、まさに始まるタイミングです。その始まりのオープニングを飾るために、この文章を書いているといってもいいのかもしれません。
そういえば昨年は、12月頭の締め切りに向けて、修士論文を差し迫った気分で書き続けておりました。それと同時に東京からこの海の町への作業場の引っ越しも同時に行っていたののでした。あれから、1年か。なんか感慨深いです。そんな海の町に拠点を移して1年になります。それは、このコロナ禍での2019年―2021年の自分の中での停滞と変化の象徴的な出来事で、ボクの中ですごく変化した、特に心境が激変した出来事の顕現でした。
例えば、今年の1月にショックなことがあってボクはそのストレスで突然左眼に大きな飛蚊が現れたのでした。それは言うなれば、眼の中を漂う糸くずのような、顕微鏡で見るミジンコのような、青い空を翻る黒いトンビのような、そんなシミが左眼の中に現れたのでした。すぐ眼科に行って診察してもらうと、医師曰く「治らない」というのです。気にしないで生きていくしかないと。その《糸くず・ミジンコ・トンビ》と付き合って生きていくしかないと。その言葉に従うしかない自分としては、その時のショックをずーっと引きずったまま、そのショックの刻印として、その《糸くず・ミジンコ・トンビ》を左眼の中に死ぬまで棲まわせなくてはいけなんだと思っていたのでした。
そしたら、それは先日11月2日の昼間、ムーミンの作家トーベ・ヤンソンの伝記映画『TOVE』を観に行こうと、新宿の路上を歩いていたら、ふと気付いたのでした。
「左眼の飛蚊が無い」
その《糸くず・ミジンコ・トンビ》が、突然消えていたのでした。一生そのショックの刻印を左眼に抱き続けなくてはいけないと思っていたボクとしては、そのショックの刻印が消えたんだと思いました。それはそのショックからの解放を意味しています。つまり、ボクの中では、2019年―2021年の変化と停滞からの、解放がようやくやって来たんだなと悟ったのでした。


■DM■「絵を描く」

そしてボクは映画を観終わったあと、(映画の中で絵を描き続けるトーベ・ヤンソンに刺激されたわけでは無いですが)ボクも油絵を描こうと思い、その足で足りなくなった画材を世界堂まで買いに行ったのでした・
この油絵というのも、最近のボクの変化の顕現です。というのも友人から8月の自分の誕生日に油絵セットをプレゼントしてもらったのです。美術に興味のあるボクは、絵画は好きなものの、自分で描くなんてほとんどやっていません。油絵なんて中学1年生の時のクラブ授業で半年やってみたことがあるくらいです。でも、この海の町にせっかく拠点を移したわけで、その拠点をアトリエとかスタジオとか自称しているわけだから、なんか文章以外の創作的活動をやってみてもいいのかと思い立ったのでした。
そして、翌日の11月3日の文化の日、晴れの特異日であるこの日の海の町のスタジオは素晴らしい秋晴れの陽光でキラキラしていました。ボクは朝起きて、洗濯をして、朝ごはんを食べて、コーヒーを淹れて、好きなレコードをかけて、そしてキャンバスに向かいました。自分の記憶中で浮かんだ光景と、かつて経験した風景の写真をスマホから選びながら、なんとなくそれらをミックスして、インスピラシオンで選んだ色で描いていきます。ほとんど描いたことなんかないので、下手とか上手いとかはあまり気にぜず、想像を創造します。
数時間描いて、乾くのを待って、夕方には海に行きました。そして2時間ばかりしてスタジオに帰って来て、ちょこっと仕上げをやって完成です。海に行く途中に想いついたこの絵のタイトルは、『Autour du monde 世界のその辺り』です。

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