vol.85 『ボクはボクを好きになる』

角田陽一郎のメルマガDIVERSE vol.85 2021年11月19日Full Moon
『ボクはボクを好きになる』

ユニバースUNIVERSE(単一の世界)からダイバースDIVERSE(多元的な世界)へ
多視点(バラエティ)でみると、世界はもっと楽しくなる。
それが角田陽一郎の考えるバラエティ的思考です。まさにいろいろなことをバラエティに多元的に多視点で紐解くメールマガジンです。


■Cm■「満月と紅葉」

今日は満月です。昔、写真家の方に聞いたことがあるのですが、旅行をして、夜に歴史遺産、特に宗教施設を訪れるならば、西洋でも東洋でも、満月の夜が良いと。それらが昔造られた時に、当時の人は今より月の明るさを気にして造っているから、満月の光で一番美しく映えるように造られているからと。
今、ボクは京都にいます。秋の京都。紅葉の盛りの京都に、ほぼ満月の昨夜に永観堂に行ってみました。

もみじ

ライトアップされた紅葉が、水面に映る光景が、とてもとても素晴らしかったです。そして御堂の上にはほぼ満月が輝いていました。とてもとても幻想的で、ボクは月に紅葉に心を奪われてしまいました。

もみじ2


この紅葉が美しい時期の京都の夜はさまざまな寺社でライトアップが行われています。でも確か数年前に訪れた時は、どの場所に行っても多くの人が訪れていてあまりの混雑で、美しかったけれども辟易したのを覚えています。もうこの時期のライトアップに訪れることもないかな、と思ったくらいなのですが、たまたま京都にいる昨夜のボクは、意を決して訪れてみたのです。今年はコロナ禍も沈静化し、観光客は戻ってきているとはいえ、例年よりは遥かに少なく、この永観堂もちょうどいい頃合いの人出でした。人の往来が復活するのは嬉しいことですが、そんな気持ちよく紅葉を満喫させてくれたタイミングの幸運に、コロナ禍の人々の辛酸を消してくれるような兆しも感じられたのでした。
そして、今少子化、人口減が続いている日本ですが、そんな風に人が減っていくことも悪いことじゃないと思えました。緩慢に衰退していく日本。でもそれは決して衰退なのではなく、むしろこの社会が“ちょうどいい頃合い”になって行ってるんじゃないかとも思えるのです。
そして、ボクはといえば、こんな風に各地を訪れることもまた復活してきました。今日はこのまま広島に向かいます。広島の府中市のスニーカーメーカー“スピングル”のメディアプロデューサーを9月から拝命致しまして、普段は定期的にオンラインでミーティングを行っているのですが、今日は皆さんと対面でミーティングをするからなのです。直接お会いするのも初めての方もいらっしゃいます。そんな方々とお会い出来るのは、なんていうかとても嬉しいことなんだって、今までコロナ禍でかなり移動制限され、対面を停めていたわけですから、そんな感慨もグッと込み上がって来ます。もしコロナ禍がなければ、ボクは永観堂の紅葉を満喫することもなかったでしょうし、スピングルの方達との対面を心待ちにすることもなかったわけですよね。ベタに言えば“塞翁が馬”とでも言いますか、悪いことは悪いだけじゃないんだと、悪いことがあるからそれが反転した時に良いことを引き連れてやってくるんだって、そんな気持ちの反転も体感しているわけです。


■Dm■「ちょうどいい頃合い」

そんな風に気持ちが反転することは、皆さんもよくあると思うのですが、ボクにとってこの11月はまさに、そんな風に気持ちが反転するタイミングだったように思えるのです。この連載を読んでいただいている方は、この2020年、2021年と、何かしらずーっとコロナ禍の呪縛と拘束の中で、ボクが逡巡する思いを綴っているのを読んできたと思うのですが、このコロナ禍でボクは、ある意味コロナ禍とは直接関係ないところでも、父が死に、人間関係も変化し、なんていうかとてもとても気持ちが沈んでいることが多かった期間でした。それにも関わらず、むしろ仕事面では、小説を出版したり、プロデュース案件ではどんどん新しいことにチャレンジできて、順調といってもいいくらいなのですが、コロナ禍で引きこもりながら、むしろその好悪のギャップという反転攻勢に苦しんでいた時期だとも言えるのです。でも、なんていうか、その苦しみも開けてきているような気がしてなりません。それは、事態が好転したというよりも、むしろ自分の気持ちの持ちようの変化なんだとも思うのです。それはまさに自分の気持ちも、“ちょうどいい頃合い”になって行くとでもいうような。
そしてそれは、うまく言えないのですが、ヒトモノコトにそんなに執着しないようにしようと思えるようになったとでもいうか。
そう思えるようになったきっかけも、これもたまたまなのですが、

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