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【議員面会実施報告】三鷹市議会議員  髙谷真一朗議員(立憲民主党)

核のち晴れでは、核兵器廃絶をめぐる課題は何か、有権者としてどのような行動を起こすことが可能なのかを模索することを目的に、議員面会をおこなっています。

10月23日(土)には、三鷹市議会議員の髙谷真一朗議員と面会を実施しました。
事前に送付した質問票の内容を中心に、核兵器廃絶についての意見を伺いました。

質問票

  1. 核兵器廃絶を目指すべきだとお考えですか。

  2. 日本が核兵器禁止条約に批准することに賛成ですか。

  3. 2023年11月には、ニューヨークで核兵器禁止条約の第二回締約国会議が開催される予定です。日本が当該会議にオブザーバーとして参加すべきだとお考えですか。

  4. 日本から核兵器廃絶を目指すことへの課題について、どのように認識されていますか。


議員面会

核兵器廃絶に係る考え(質問①)

玉木(核のち晴れメンバー):本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、核兵器廃絶は、市議会議員ではなく国会議員に聞くべきだという意見もあります。今回面会を引き受けてくださった背景など聞かせていただけますか。

髙谷議員:突然の連絡だったが、みたか平和資料コーナーを設置したことに言及していたこともあり話を聞こうと思った。市議会議員のレベルで何ができるのか、というと難しいこともあると思うが、草の根レベルでの声を受け入れなければ、核兵器廃絶に繋がっていかないと考えている。「はだしのゲン」をこどものとき見て衝撃を受けたというメンバーがいたと思うが、私も同じく小学校の時に読み、描写の残酷さに2、3日食事が食べられなかったことがある。広島市の平和教育の教材から「はだしのゲン」がなくなることはどうかと思っている。衝撃的なことも漫画という媒体でこどもの頃から学べることが大切だと思う。

玉木:ありがとうございます。では事前に送付した質問票の質問に移りたいと思います。一点目について、髙谷議員ご自身は核兵器廃絶を目指すべきだとお考えですか。

髙谷議員:当然そう思う。三鷹市としても、鈴木平三郎氏の市長時代、世界連邦宣言平和都市宣言を出し、坂本貞雄氏の市長時代の昭和57年には非核都市宣言が市議会で可決されている。過去に尽力された方々がいたからこそ今の三鷹市がある。

玉木:原爆の被害を受けた広島や長崎のまちが非核都市宣言を出すことはある意味自然なことですが、三鷹市が非核都市宣言を出していることに驚きました。背景をご存じであれば教えていただきたいです。

髙谷議員:詳細な背景はわからないが、当時の議事録を調べればわかることがあるかもしれない。宣言の背景には、当時、安保闘争や学生運動を経験した世代が議員になったこともあったと思う。三鷹市は近年でも、核兵器禁止条約の第一回締約国会議に日本が参加するよう政府に意見書を提出している。

核兵器禁止条約の批准(質問②)

玉木:質問票の二点目について、日本が核兵器禁止条約に批准することに賛成ですか。

髙谷議員:批准することに賛成する。岸田首相は核兵器国と非核兵器国の架け橋になりたいと発言しているが、締約国会議に参加せず、人々の声を聞かずに、架け橋にはなりえないと思う。
また、日本は核兵器禁止条約の締約国会議にオブザーバーとして参加すべきだと考える。日本は核の傘に入り、北朝鮮も中国も核を手放そうとしない現状ではある。ロシアなどの常任理事国も核で脅している。ソ連の崩壊時、核で脅さないという約束のもとウクライナはロシアへ所有していたミサイルを全て返したが、今やロシアはそれを破って暴挙に出ている。こうした状況から考えると、国防という観点では、日本政府は今すぐに核の傘から出ることを躊躇しているのだと考える。しかし、NATO加盟国でアメリカとの同盟国であるドイツをはじめとした国も締約国会議にオブザーバー参加をしている。また、核兵器禁止条約に批准している国もあることを考えると、日本も会議に出席し、多方面で連携を取るべきであると考える。

第二回核兵器禁止条約のオブザーバー参加(質問③)

玉木:質問票の三点目(2023年11月には、ニューヨークで核兵器禁止条約の第二回締約国会議が開催される予定です。日本が当該会議にオブザーバーとして参加すべきだとお考えですか。)についてもご回答いただいたと思います。
三鷹市は核実験への反対の抗議文を出すなど、核兵器関連の出来事に対してアクションをおこなってきたと思いますが、どのような効果があったと感じますか。

髙谷議員:三鷹市としては、アメリカが未臨界核実験をする度に、三鷹市長と議長の連名で抗議文を提出している。しかし抗議の効果について実感は持てない。総理大臣宛に提出した文書は、1枚1枚が吟味されるわけではなく、「同じようなものが何件来ているな」で済まされるのが実態で、提出した先のことを探ることは難しい。ある国会議員によれば、省庁の廊下に積まれているだけだとも言われる。ただ、全国で核兵器廃絶の意見書が届くようになれば、国会議員や省庁も認識すると思う。

玉木:抗議文や意見書などが政治に与える影響が少ないのは、声をあげているまちが少ないからなのでしょうか。

髙谷議員:先日、第11回平和首長会議が姫路市で開催された。この会議には世界中の自治体が加盟しており、日本では三鷹市も含む約99%の自治体が加盟している。これは世界レベルの取り組みで、4年に1度開催されている。その会議で核兵器廃絶に向けた取り組みの推進に関する要望をあげていた。こうした動きが広がってくれば、国も無視できなくなり、効力もあるはず。また、自分たちの意見を反映させるためにも若い人が選挙に行くことが重要だと思う。

核兵器廃絶をめぐる日本の課題(質問④)

玉木:質問票の四点目について、日本から核兵器廃絶を目指すことへの課題について、どのように認識されていますか。

髙谷議員:日米安保が課題として大きい。今年G7ヒロシマサミットが開催されたが、広島出身の首相は本当は核兵器の廃絶を訴えたいはずなのに、語弊があるかもしれないがアメリカの顔色を伺っているように見えた。アメリカに頼らざるを得ないという古い認識から脱却しない限り、世界をリードできないと思う。11月に開催される核兵器禁止条約の締約国会議にも日本がオブザーバー参加をしなければ、G7サミットの意味もなくなると思う。

玉木:G7でのヒロシマアクションプランをご覧になったのであれば、どのような印象を持たれましたか。

髙谷議員:アメリカの顔色を伺っているように見えた。こういった状況でも、若い人たちが声をあげ続けることが、遠回りに感じるかもしれないが平和への一歩だと思う。参考までに、先ほど言及した平和首長会議が2025年に東京都武蔵野市で開かれるため、参加を検討するのも良いかもしれない。

三鷹市の核兵器廃絶の取り組み

玉木:三鷹市基本構想の改定に関するパブリックコメントを10月27日まで受け付けていることについて、改訂版には三鷹市の柱として平和・人権のまちと記載され、とても共感できるのですが、核兵器廃絶についての言及はないようです。このことに関してどう思われますか。

髙谷議員:基本構想から抜けていた観点だと思う。ただ、入れられない事情もあるかもしれない。最大与党が不賛同ならダメかもしれないが、三鷹市は非核平和都市宣言であるため、筋が通る提案だと思う。

シモゾノ(核のち晴れメンバー):みたか平和資料コーナーについて、設置した背景、また効果について伺いたいです。

髙谷議員:背景としては、三鷹市に在住する、戦争をテーマに作品を描く画家である長谷緑也氏から絵を寄贈する話をいただいたことを契機に、広く市民に戦争を知ってもらうため、戦争の遺品を保管する取り組みをおこなうようになった。みたかデジタル平和資料館もオープンし、広島で被爆し、先日お亡くなりになられた大岩孝平さんの体験談も掲載している。本来であれば、直接こどもたちへ体験談を届けたかったが、コロナの影響を受け、オンライン上で体験談を届けようという流れとなり、アーカイブ化されたものがみたかデジタル平和資料館で見られるようになっている。また、国内で戦争の被害に遭われた方だけでなく、中国帰国者の方など国外で戦争を経験された方のお話しも掲載している。
みたか平和資料コーナーの効果としては、訪問した市民の数の把握がしきれないため、実際市民にどのように効果があったのかは見えにくいが、今後も周知は続けていきたい。

市民の声を届けること

サトウ(核のち晴れメンバー):質問票四点目について再度お伺いさせてください。核兵器の廃絶が進まない課題について、日米安保に言及され、その枠組みに囚われている政治家が古い認識から脱却する必要があると発言されていました。課題としては政治家の認識の問題が大きいということでしょうか。

髙谷議員:党派によらず、多くの政治家が古い認識に囚われていることが問題だと思う。市民の方が認識を改めていると感じる。日米安保の枠組みの中でも、政府としては一歩踏み出して、アメリカや他国とも対話をできる外交力を身に着けることが重要だと思う。国は外交に力を入れ、地方の行政については各地域に任せてもらえれば良いと思っている。

サトウ:市民と政治家の間に認識のずれがあるということですが、市民の声を政治に反映するために、市議会議員としてどういう手法が有効だとお考えですか。

髙谷議員:今回のように穏やかな雰囲気で意見を交わす機会が有効だと思う。

玉木:三鷹市の市議会議員、都議会議員、国会議員の間で繋がりはあるのでしょうか。その中でのコラボレーションをおこなえればと思っています。

髙谷議員: 繋がりはある。市議会議員でも党に所属している議員は国政の顔色を窺うことが多いため、そういう意味での繋がりもあるのが現状。

玉木:今回が第一回目の議員面会でしたが、今後も継続し、多様な立場の方にお話しを伺いながら、核兵器廃絶に向けた一歩を踏み出したいと思っております。お時間いただきありがとうございました。

※本議員面会の内容は文字起こしを基に一部再構成しています。

編集後記

今回の面会を通じて、三鷹市の核兵器廃絶に関係する取り組みの背景を知ることができました。また、核兵器廃絶への思いが共有可能であるという希望とともに、平和を願う有権者として、これからも核兵器廃絶に関する課題に向き合いたいという思いがより一層高まりました。

核のち晴れでは、今後とも議員面会を継続し、核兵器をめぐる「なぜ」について向き合っていきます。


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