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家探しのコツ【第四弾】~私道~

「来月から、私道通行料を払ってください」

「え!?掘削工事ができない!?」

「最近、車が停まっていて邪魔」

買ってから知るのでは遅い、私道の話です。「私道の物件は買うな」って親から言われている人も少なくありません。それくらいトラブルがあるのですが、しっかりとした認識があればそれほど怖いものではありません。

道路がどれほど大切なものなのかは、【第三弾】~道路~でご確認くださいませ。

私道とはそもそもなんでしょうか?
これ実はわかってない人多いのです。不動産屋もわかってなかったりするので、当てにしてはいけません。

道路の所有者は個人で、維持管理を行政が行っている道路があります。
これは公道でしょうか?私道でしょうか?

見た目は、一本の道ですが、行政所有地と個人所有地が混じっています。
これは公道でしょうか?私道でしょうか?

役所でも見解がわかれるところです。

実は正解は「無い」のです。

不動産業界団体の一つ「不動産流通経営協会」通称「FRK」では、その所有者が行政の場合を「公道」、その他を「私道」と定めています。
それが正解ということではなく、そのように言葉を取り扱っているということです。「所有権者が誰か」という観点で分別しています。

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では、どのようなトラブルがあるのでしょうか?自分(私道使用者目線)と地主(私道所有者目線)でそれぞれの意向を記してみます。
異文化コミュニケーションと一緒で、お互いの視線を共有できれば、問題解決も早いでしょう。

A「通行承諾料を求められた」

■自分(私道使用者)■
親の代から使用してきた道路であり、所有者など意識したこともなかった。親の代から継続して道路上に車を停めている。駐禁も切られないし。
突然地主から、私道の通行承諾料を支払うよう、申し出があった。そういえば私道だったなあ。それにしても今まで無償利用してきたのにいきなり費用請求なんてひどい!ひどすぎる!

■地主(私道所有者)■
親同士は仲良しだったかもしれないけど、はっきりいって、今の私道使用者のことはよく知らない。いつも無断駐車していて、気分が悪いけど親の代で決めたことかもしれないから文句も言えない。親が亡くなって莫大な相続税も発生して、親族とも揉めている。これも親があいまいにしてきたツケだ。自分の代ではあいまいなことは無しにしたい。うちの道路を我が物顔で使っているのもムカツクし、あいまいにしているといいこと無いので、通行承諾料を請求しよう。

どちらが正しいのでしょうか。

答えは出ませんが、感情的になったら平行線になりそうな話です。最初にアクションを起こしたのは地主、つまり地主側に今までとは違うことが起きたと自分は感じ取らなければなりません。したがって、被害者意識で地主を責めるのではなく、まずは、地主の話をよく聞きましょう。地主としては、今までの駐車行為などを謝ってくれれば、気がすむのかもしれません。「あいまい」を解決したいだけかもしれません。所有権の無い自分は不利なので、感情的にならず、とにかく傷口を広げないよう工夫をしましょう。
あいまい解決が真の目的ならば、しっかりとした覚書を交わし、道路以外に利用しないとか書面で決めれば収まる話なのかもしれません。

B「道路掘削を認めてもらえない」

■自分(私道使用者)■
今から20年前の話。前面道路の水道管が破裂した!最初に気がついた自分が水道局に連絡し、応急措置をしてもらったが、個人の所有物なので、修理はしないという。イライラしながら地主に連絡し、至急修理してもらった。
時が経ち、家を建て替えすべく、水道工事を行おうとしたところ、地主から私道の掘削承諾が得られない。既存の水道管では古すぎて不安だし、なんとか地面を掘らせてもらい新しい管を入れたい。

■地主(私道所有者)■
私道使用者が家を建て替えるらしい。水道管工事をするから道路を掘らせろだと?ふざけるな!20年前に水道管が破裂したとき、怒鳴り込んできた輩じゃないか!「あんたの水道管なんだから早く直せ!!」ってさ。確かにうちの水道管だけど、あいつもその管に繋いでいるのだから、修理費の一部でも負担するのが常識だろう。道路の掘削なんか認めたら、埋め戻し費用を求められるかもしれないし、非常識なあいつがやったとしても綺麗に仕上げてくれるか不安だし、認めたくない!

どちらが正しいのでしょうか。

こちらもAと一緒で、どうしても所有権の無い「自分」は立場が弱いです。

まとめ

結局のところ、人間関係がものを言う話なのです。人間関係が良好であれば、私道であっても心配はいらないのです。とはいえ、人間関係がいつも良好っていう保証はないので、しっかりとした覚書を仲良しのうちに取り交わしましょう。不動産用語ですが、要役地と承役地の設定、地役権の設定登記を行うっていう手段もあります。私道の物件を購入するときはしっかりとした覚書があるのかどうかがポイントです。あるなら恐れることはありません。

「覚書なんて裁判では役に立たない」なんていう意見もあるかもしれませんが、役立つかどうかは裁判にならなければわかりませんし、少なくとも裁判にならないうちは、十分役立ちます。

地主になにか求められたり、こっちの希望が通らないときは、人間の感情が根幹にあるとご理解いただければと思います。「憂い」があるのです。自分(私道使用者)は、すなわち益を受けている側で、地主(私道所有者)は益を提供している側です。益を受けている側は、道路を使用させてもらっているということを忘れがち、益を提供している側は、使わせていることを上から目線でとらえがち、という傾向があります。年月とともに互いに思いがかけ離れていくのです。
些細な出来事がボタンの掛け違えを生み、気が付かずに一番下のボタンまで閉めているのです。

購入しようとしている物件が私道物件で、覚書がある場合は、その内容を確認しましょう。
覚書に必要な文言は、

①無償通行(車両も含む)
②無償掘削
③第三者継承

この三つは最低限必要です。

内容のチェックでしたら、私にご依頼いただいても構いません。

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以上、「私道の特性」のご紹介でした。
家探しをしているあなたの参考になれば幸いです。
■「物件の種類」については【第一弾】
■「未公開物件」については【第二弾】
■「道路の種類」については【第三弾】
で触れておりますので、ご参考に。

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カクレ

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