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冬の終わりの始まり

デリーは首都ということもあり、イギリス人やら何やら各国の人々が流入してきた歴史もあり、比較的、我々のような外国人がウロウロしていても寛容な雰囲気がある。

とはいえ、やはり何らかのコミュニティに属していないと、ローカルの相互扶助的な恩恵を受けたり宗教的なイベントに参加したりするのは難しい。ガイコクジンということで、いろんな行事を覗き見させてもらえないかなーという下心を持っていたが、住まいが本気でローカルなので、かえってなかなか難しい。それにいったん何かのコミュニティに加担すると、ずーっと負担(経済的、時間的、労力的)を要求される可能性があり、また、それ以外のコミュニティと関われなくなってしまうという恐れもある。

私の住まいの団地的アパートでは100世帯ほどが暮らしているが、敷地内にヒンドゥー礼拝所もあり、おそらくほとんどがヒンドゥー教徒だ。が、イスラム教徒のカーンさん(仮)一族も、何部屋かにわたって住んでいる。(なお、カーンさんは部屋の前に表札を出していない)そして、ターバンのシク教徒は見かけないが、隣りのアローラさん(仮)はパンジャービーを喋るので、パンジャービー・ヒンドゥーな様子。
毎週土曜には「シャニ〜〜デ〜〜ヴッ、ジャイ!」と唱えるシャニ神(土曜の神様)信者?がアパートの通路を巡回する。(古紙回収の呼び込みとちょっと似てる)シャニ神のお賽銭は10ルピーくらいなので、差し上げようかな…とも思うけど、一度渡したら最後、毎週やって来て、なんならピンポンされちゃいそうなので今のところ敬遠している。

さて、1月14日は लोहड़ी ローリーという、主にパンジャーブ地方で祝われるお祭りの日だった。詳細はWikiにお任せ。

要するに、冬の終わりを祝うお祭りで、焚き火をしたり、そこにピーナッツを投げたりもするらしい。デリーでもさほど盛大ではないけれど祝われるようで、私の住まいのアパートでも、中庭に焚き木がセッティングされていた。焚き火自体は目撃できなかったけど。

そしてその翌日15日はヒンドゥー暦 मकर संक्रांति マカル・サンクラーンティの日。

『ヒンディー語-日本語辞典』(2006年大修館書店)

毎年、ローリーの翌日らしい。ヒンドゥー暦は諸説ありすぎてWikipediaを見てもさっぱりわからないのが辛い。
संक्रांति サンクラーンティの本来の意味は「移動」。太陽の日の出・日の入りポイントが、冬至(2023年は12月22日)の時点では最も南寄り(南回帰線上)で、地上に太陽が出ている時間が年間で最も短い。

(C) 国立天文台

それが冬至を境に北側(北回帰線方向)へずれ始め、日照時間が長くなっていく。その切り替わり(दक्षिणायन からउत्तरायणへの切り替わり)を祝うのだということだけれど、मकर संक्रांति マカル・サンクラーンティ と冬至とは、3週間ほどずれている。星との位置関係が…ということのようだ。いずれにしても冬至から3週間経っているので、昼間の日差しがほんのり暖かくなってきたようで、確かに冬が終わろうとしているのを感じる。

さて、KHSでは、話の脱線が多いけれども、歌やら映画やら、いろんなことを教えてくれるलिखित ライティングの講師が、冬のおやつを配りながらसंक्रांति サンクラーンティの話をしてくれた。

गज़क ガジャク、ゴマの飴がため
रेवड़ी レーヴリー、ゴマの飴がため、ちょっと生姜風味?
मुंगफली ムングフリー、ピーナッツ

こういう季節の移り変わりを肌で感じて、季節に応じた人々の暮らしをリアルタイムで目撃できるのは、現地留学の魅力的な点だ。と同時に、それ以外のことは、だいたい日本で学べるということでもある。

ところで、14日の朝、雇っていないメイドが家へやって来て、「お金ちょうだい」と言われた。なんかゴニョゴニョ喋ってるうちに、隣家に呼ばれて去っていったので曖昧になったが、何だったのだろう…。彼女は季節の節目ごとにやって来るのか。次はホーリーか。

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