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ヒンディー語を学びたいだけなのに

KHSの授業はアグラ本校編纂のテキスト、または各講師のノートや頭の中の記憶に基づいて行われる。アグラ編纂のテキストは、とても外国人向けとは思えない…というか、インドのことをまったく知らない、ゼロレベルから学習する人に対しては容赦ない仕上がりになっている。

例えば、リーダーのテキスト。第一章は、パンチャタントラで、その背景が簡単に書かれているのはありがたい。が、しかし、「歌うロバ」の物語で、ロバが「バイラヴィ・ラーガを聞かせてあげよう」なんて言うシーンがある。注釈には「a special song(raga)」と書かれている。うん、まあ、それで必要十分な情報といえばそうなんだけれども。
私もインド音楽のことは詳しくないけれど、ラーガは(特定の音階に基づく)メロディのバリエーションのことで、「バイラヴィ」はたくさんあるラーガの一つの名前。「バイラヴィ・ラーガ」の曲はいくつかバラタナティヤムで踊ったり聞いたりしているので、ちょっと物悲しいような雰囲気を醸し出すメジャーなラーガなので、なかなか風流なロバよのう、という程度には分かる。もちろん、KHSの講師はそんな説明はしない。

そして文学史。「クリシュナ・バクティ」とか、「リーラーにおいて子供への愛や友愛などを具現化している」とかって、クリシュナの絵姿の挿し絵があるわけでもなく、ヒンドゥー神話を知らない人には厳しいよね、と思う。だいたい私自身、バラタナティヤムを習い始めた当初は、「神様が女子の入浴シーン覗いて服を盗むってどういうことだ」と激しく混乱を覚えたものだ。KHS講師にとっては当たり前のことすぎるからか、根本的な部分の説明もない。インドの文化はヒンドゥー教と切っても切り離せないから、Wikipedia程度でいいから自分で勉強してね、くらいのことは言ってくれてもよさそうなんだけれど。クリスチャンの学生たちは、イミワカンネ、にならないんだろうか。

などと、明日の文学史の試験に向けて必死で暗記を試みつつ考えた。

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