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基礎からはじめるサッカー分析 "なに" を見て "どのように" 伝える?

サッカーの分析を勉強したい!と思っていても、なかなか手を付けるのは難しいものです。

書籍を手に取ってみても、実践に活かすハードルは高いです。
本を読んで内容を消化し、それを能力に変えていくにはかなりの時間を要します。

サッカー分析塾があればいいのに、と思ったことは何度もあります。

しかし、マンツーマンで手取り足取り教えてくれる先生はいません。

完全なる独学でハイクオリティのコンテンツを生み出す方もいらっしゃいますが、誰もがあのクオリティを出すのは正直無理な話です。


選手でも指導者でもないサッカーへの関わり方のひとつとして、分析があります。

この領域において人材育成のシステムを確立することは、「選手ではない立場でサッカーに携わりたい」と考える多くの人たちの選択肢を増やすことに繋がる、と私は考えています。


・プロにはなれなかったけれど、選手でも指導者でもない立場でサッカーに関わりたい。

・サッカーを愛する気持ちを、分析という形で表現したい。

・サッカーをもっとミクロな視点で捉えたい。


このように考える人は意外にも多いものです。

分析ができれば、現場に出ずともサッカーの面白さに触れ続けることができます。仕事としてでなく、趣味としての分析もかなり楽しいです。

そこで今回のnoteでは、そんなあなたがサッカー分析への第一歩を踏み出す手助けが出来たらと思います。

分析をするうえで必要な基礎知識と、それをアウトプットするための方法について書いていきます。

完全無料となっておりますので、最後までお付き合いください。

それではいきましょう。


基礎知識編① ~サッカーにおける4局面とは~

まずは基本的な考え方から学んでいきましょう。

サッカー分析をするうえで見るべき、「局面」についてです。

サッカーには局面というものが存在し、大きく4つの局面に分類することができると言われます。

①攻撃(ボールの保有権有り)
②攻撃→守備
(ボールロストの瞬間)
③守備
(ボールの保有権がない)
④守備→攻撃
(ボールを奪った瞬間)

これら4つです。
サッカーのゲームは、この4局面がグルグルと入れ替わりながら進んでいきます。

サッカーにおける4局面

実際に試合を観るときは、4局面を基準に戦術を理解することがベースとなります。分析をするうえで4局面の特徴を的確に捉えることは必須能力です。

しかし、4つの局面を同時に見るのはかなり難しいのも事実。

私もかなり苦労していますし、場合によっては注目する局面を絞って試合を観ることもあります。

最初は、「90分間を通してこっちのチームの攻撃に注目してみよう」などポイントを絞って分析をするところから始めるのをお勧めします。少しずつのステップアップでOKです。

攻撃はこんな特徴がある、守備はここが弱い、カウンターが強力、奪われたらすぐに奪い返しにくる、、などなど

まずは、4つの局面ごとに試合を観察し、現象を捉えられるようになりましょう。

※局面分けに関するもっと詳しい考え方は、以前私が書いたnoteにすべて記しています。もしよろしければご覧ください。(リンクは記事の最後に貼ってあります)


基礎知識編② ~ピッチを3つのエリアに区切る~

前章では、4つの局面について学んできました。

繰り返しにはなりますが、4局面で特徴を捉えることこそがサッカー分析の根幹といえます。

4局面の理解は必須です。しかし一方で、実際のゲームにおいては同じ局面だとしてもプレーエリアによっては特徴が大きく異なる、ということが起こります。

自陣ゴール前でボールを保有しているときと、相手陣のサイド深い位置でボールを保有しているときの振る舞いが異なるのは、当然のことといえるでしょう。

こういったエリアによる特徴を分類して捉えるために、ピッチを3つに分割して考えることが必要です。

相手ゴールに近いエリアから順に、アタッキングサード、ミドルサード、ディフェンシブサードの3つに分割して考えましょう。

かなり基本的な知識ではありますが、エリアによって特徴を分類する、という視点で試合を分析するのは意外とできていない人も多いですし、それでいてかなり重要です。

例えば、攻撃局面。

ビルドアップにおいて、ディフェンシブサードではゆっくりとボールを動かし、相手のプレッシングのかけ方によって出口を探す、という特徴があるとします。

しかし一方で、アタッキングサードにおいてはゴールに対するスピードを上げ、シンプルに手数をかけずゴール前にクロスを放り込んでくる、ということもあり得るわけです。

これは、同じ局面であってもエリアによって振る舞いを変えている良い例といえます。

大切なのは、「局面」という視点と「エリア」という視点の両方を持ったうえで試合を観察すること。そうすることで、試合において起こる現象をより細かく分類して捉えることができます。

見る基準は、「局面」と「エリア」

常に頭に入れた状態で分析をしましょう。


アウトプットの方法と手順

では次に、実際に分析した情報をアウトプットする方法について学んでいきましょう。

どれだけ試合を観察する眼が優れていても、それを伝えられなければ分析としては△です。

整理した情報を、正確に、分かりやすい伝え方でアウトプットすることが必要です。

それではいきましょう。


①局面ごとの特徴を言語化する

まずは、各局面ごとの特徴を言語化してみましょう。

このとき、ディテールについて言及しすぎないよう注意が必要です。まずは大枠を捉え、ざっくりとした言葉にしておくことが重要です。

初めから細かいことについて伝えようとしてしまうことで、プレゼンをされる側(選手、他のスタッフ)からすると「結局何が言いたいの?」とクエスチョンマークがついてしまいます。

「最終的に伝えたいことの方向性」を明確にする段階です。

順を追って具体性を上げていきますので、現段階ではまだ抽象的な言葉で結構。むしろ抽象的な方がよいです。

  • 守備局面では、ボールや人に対して強く出てきがち

  • 攻撃局面では、ボール保持というよりスピーディーにゴールに向かってくる傾向にある。

この程度で大丈夫なので、まずは各局面ごとの特徴はなんなのかを明確にしておきましょう。


②具体的にどういった振る舞いが見られるか言語化する

さて、ここから少し具体的な部分に入っていきます。

先ほど言語化した、各局面ごとのざっくりとした特徴について、

「なぜ自分はそう考えたのか」「なぜそのチームはそういった振る舞いをするのか」

という問いを立て、特徴が見られる「理由」について言語化していきましょう。

先ほどの例を使うと、

・守備局面では、ボールや人に対して強く出てきがち

→FWの選手が後ろの状況をそこまで気にせず、自分の意思決定のもとボールホルダーにプレッシャーをかけてきている。

→ライン間に入ってくるボールに対してCBが強く出てくる。背後のケアをもう片方のCBに任せて、ほぼ脳死で目の前のマークに対してアタックしてくる。

・攻撃局面では、ボール保持というよりスピーディーにゴールに向かってくる傾向にある。

→ディフェンシブサードでボール保持しているとき、近くにフリーの味方がいてショートパスを繋げそうだが、成功確率が低い背後へのロングボールを選択することが頻繁にある。FWもそれを狙っている。

→アタッキングサードではサイドに人数をかけて崩そうとはしてこず、とにかく早くクロス、シュートまでもってこようとする。

こういった具合です。

この過程を踏むことで、
「このチームにはこういう特徴がある。なぜならこういった振る舞いが見られるからである」
といったように、説得力のある伝え方をすることができます。


③根拠となる映像をピックアップする

次に、先ほど具体的にした相手の特徴について、根拠となる映像をピックアップしましょう。これはそこまで難しくないはずです。

なぜなら、あなたが分析対象チームの特徴を捉えた理由は必ず試合映像の中にあるはずだから。

あなたがそう分析した根拠となる映像をシーンで切り取る。それを見せられる状態にしておく。これで十分です。

映像を出せるようにしておくことで、
「このチームにはこういう特徴がある。なぜならこういった振る舞いが見られるから。では、映像で確認してみよう。」
という流れに繋げられます。

分析の説得力を増すためのツールとして、映像は必須といえるでしょう。


④「PREP法」で話す

最後に、伝え方の部分についてです。

話し方のスキルに、「PREP法」というものがあります。
ビジネスパーソンならほぼ誰しも聞いたことがあるかと思います。

「PREP」とは、それぞれ英単語の頭文字をとったもので、

P:Point(要点)
R:Reason(理由)
E:Example(具体例)
P:Point(要点)

それぞれこういった意味になっています。

つまり、「要点→理由→具体例→要点」の順番で話せ、ということです。
それでは、一度これまでどのような手順でアウトプット法について学んできたか振り返ってみましょう。

①抽象的な特徴を言語化し、要点を整理
②特徴がみられる理由具体例を言語化
③映像によって具体例を提示し、説得力を増す

そう、この章はここまで、PREP法の順番通りに進んできたのです。

実際に伝えるときも、このnoteで書かれている順番でアウトプットすることで、伝わりやすい分析プレゼンをすることができるでしょう。

「このチームにはこういう特徴がある。なぜならこういった振る舞いが見られるから。映像で確認してみよう。見てもらったように、こういう特徴があることが分かっただろう」

このような流れになります。受け手からしても理解しやすいアウトプット方法だと分かっていただけたと思います。


まとめ

今回のnoteでは、分析に関する基礎知識とアウトプット方法、手順について書きました。

本記事に書かれていることは極めて基本的な部分です。少し物足りないと感じた読者の方もいるのではないでしょうか。

ただ、何事も基礎がなければお話になりません。

本記事の内容をしっかり理解することで、分析を始めるための初期装備がそろった、といった段階でしょう。

逆に、これがなければ戦場に繰り出すこともできません。

まずはしっかりとした基礎を身に着け、サッカー分析をはじめる第一歩を踏み出しましょう。

最後まで読んでいただきありがとうございました。


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