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承認欲求

過去に言われて、
最近やけに思い出す言葉がある。

それは私が新米教師をしているときで、
担当する生徒の保護者に言われた言葉だった。

『大人は誰にも褒めてもらえないですからね。』

「そうですよね〜」と、その当時の私は分かったような相槌を打っていたけど、この言葉の意図を理解できたのは最近だと思う。

思えば、同じ保護者から
何度かさっきの言葉を言われていた気がする。
それはその生徒の対応に手こずっていたからで、
なにかと折り合いが合わずに問題が起きては
保護者に電話をかけていたからだった。
『かまboco先生も大変なんだよって子どもには伝えてるんです。子どもは褒めてもらえるけど、大人は怒られることはあっても褒めてもらうことはないですからね。』
そんなような文脈で、話をされた。

あの時の私は、たしかに承認欲求が満たされているとは言えず、成果がでないことや評価されないことに憤りを感じていた。だから、「大人は褒めてもらえない」って言葉にすごく共感した。
保護者にとっては子どもに諭した話を私に話しながら、「世の中ってそういうもんだからそれに対応して上手くやれ」って私に諭していたようにも思う。

今、あの言葉を思い出すたびに考えるのは、「大人は誰にも褒めてもらえない」と言っていた保護者があの時、どんな日々を過ごしていたのだろうということ。
当時は、私に向けられた言葉だと思っていた。
でも、もしかしたら「大人は誰にも褒めてもらえない」という現実を、その保護者自身に言い聞かせるために繰り返し口にした言葉だったのかもしれない。

きっと、あのお父さんは誰にも褒めてもらえない日々が辛かったんじゃないかな。
それでも頑張ってたんだろうな。
そんなふうに思えてしまう。

大人だからって誰にも褒めてもらえないことに慣れなくなっていいのに。
子どもも、大人も、
誰かに褒められたいし、認められたい。
それは恥ずべきことじゃない。

「大人は誰からも褒めてもらえない」と言われた時、私は「そうですよね」と大きく頷いた。
でもまた同じ言葉をかけられたら、「そうですか?」って首を傾げたい。