カメ先生

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理科教員をしています。 大学受験や理科の勉強、学校に関することについてつぶやきます。 受験生、学校の先生、ぜひフォローお願いします。

最近の記事

理論で説き伏せるのは簡単だけど、効果は薄い

相手を理屈でやり込めるのは楽だ。 楽な分、効果は薄い。薄いどころか逆効果なことがよくある。 理論で説き伏せると、相手の尊厳を傷づけ、納得してもらえず、怒らせることもある。 相手を自分より下だと見下し、正義はこちらにあるのにと被害者ぶる。 逆に、相手に心から納得してもらうのは困難な道のりだ。 相手の意見によく耳を傾け、心の底から相手のことを理解しようと集中し、相手が言語化できるような質問の仕方を考え、相手の意見がまとまるまでじっと待つ。 そうやって初めて、相手にこち

    • ダイパ主義の生徒

      最近、タイパ(タイムパフォーマンス)を気にする生徒が増えた気がする。 同じ時間で、どれだけ問題が解けるか、どれだけ教科書を先に進められるか、どれだけ本が読めるのか。 しかし、タイパが求められるのは(いや、タイパで測れるものはと言った方が正しいか)、誰がやっても、同じ出力しか生み出さないものだ。教師の仕事で言ったら、成績処理やテストの採点だ。 問題演習一つを取ってみても、解答を読んで満足してしまう生徒もいれば、なぜ自分は解けなかったのかを分析したり、新しい発見をしたりする

      • 言葉はバランスを取るのが難しい

        誰にでも伝えわる言葉にすると軽くなる。 複雑なロジックを排除し、文章を短くし、やさしい単語を選び、意味を持たせない。 そこには個性がないし、深さがない。 しかし、軽くなる分、誰も傷つけないし、誰でも扱えるようになる。 誰でも扱えるから、色々な解釈が生まれて、それぞれの人が意味を持たせる。 たくさんの意味を言葉に込めると重くなる。 たくさんの意味をつなげるためにロジックで縛り、文章を長くし、専門的な単語を用いる。 その言葉には発した人の知識や経験が乗せられる。

        • 教師こそ人を頼ろう

          割と無能な僕はよく人を頼る。 「頼ることはダメ」って価値観の人が多い気がする。 実際誰でも何かを人に頼って生きてはいるんだけど、「これは頼るべきではない」、「こんなことを頼っては情けない」、「これはこの人の仕事だ」と勝手にマイルールをつくって人を批判する人は少なくない。 人に頼るのは悪いことではないんだけど、人に頼るのが上手い人と人に頼るのが下手な人が確実に存在する。 そもそも学校という職場は適正に部署に仕事が配分されていない。引き継ぎ資料がほとんどない学校も多い(部署

        理論で説き伏せるのは簡単だけど、効果は薄い

          しょうゆ先生としん先生

          日清カップラーメンのしょうゆ味みたいな先生がいる。(以下、しょうゆ先生) しょうゆ先生の授業は分かりやすいで有名だ。生徒はその授業を面白いと言う。生徒の話をじっくりと聞く。生徒が困っているとき、相談されることが多い。大きな声で笑う。いつも生徒に囲まれている。ユーモアがあって、爽やかである。生徒は面白くて、優しい先生だと言う。 しょうゆ先生は自己主張をあまりせず、周りの空気を読むのがうまい。他の先生からの信頼が厚い。要領がよく、余裕を持って仕事に取り組む。重要なポジションを

          しょうゆ先生としん先生

          「どっちが正しいか」なんて考えても決まらない

          何かに迷ったとき、自信を失ったときに、あの時の選択肢は「正しかったのか?」と悩んでしまう。ある局面で、どちらの選択が「正しい」のかを考えてしまう。 でも、よくよく考えてみると、「正しさ」ってなんだ?って思う。 人は「正しさ」を考えるときに、きっと頭の中では、10人いたら7人くらいは「正しい」と言うだろうなって、無意識に考えている。 つまり、「正しさ」で物事を考えている時には、自分の基準で物事を考えるのではなく、他人がどう思うかで考えている。 何かを選択するときに他人に

          「どっちが正しいか」なんて考えても決まらない

          若さという才能を失う前に

          若さは武器だ。 若くて頑張る人を無償で応援してくれる大人はたくさんいる。 頑張っている若者の言葉に耳を傾け、誠実に答えてくれる大人はたくさんいる。 自分の頑張りを応援してくれる存在から、自分の言葉を誠実に聞いてくれる存在から得られるものは大きい。誠実に自分の言葉を聞いてくれる人さえいれば、どこまでも成長できる。 特に、探究活動の時間ではそのことをひしひしと感じた。生徒の才能を伸ばしてくれる人はたくさんいる。 若い頃にした失敗なんて、誰も気にしない。むしろ、何かを言ってく

          若さという才能を失う前に

          言語化されない価値に気づきたい

          今は言語活動ブームだ。 生徒にあらゆることを言語化させて、それを評価する。 正直言語化させることは評価をつける上でめちゃくちゃ便利だ。認知能力のほとんどは言語化させることで、測定可能だと思う。 しかし、だからこそ言語化が、上手くいかない生徒のことを、理解することも、意識していかないといけないと思う。 生徒から手紙をもらった。その生徒は話すのが苦手だ。きっと苦手ながらも自分の気持ちを言語化するために頑張ったのだろう。 もちろん言語化するための支援も必要だろう。しかし、

          言語化されない価値に気づきたい

          人を変えるのは難しい

          人を変えるのは難しい、でも自分を変えるのは簡単だ。 よくビジネス書なんかでみるフレーズだ。 だけど、人は人と関わっていく生き物だから、他者を無視して、自分だけ変わっていくのは虚しい。 この、自分を変えるというのは他者との関わりの中で変えていくものだ。 例えば、期限を守れない人と一緒に仕事をするなら、早めの期限を設定する。期限が近づいたら声をかける。 生徒が提出物を出せないなら、授業時間に提出物をやる時間を設ける。 口で言うのは簡単だけど、これは練習と計画が必要だ。

          人を変えるのは難しい

          僕は一人称に「先生」を使う

          よく学校教育あるあるのネタで、自分のことを先生と呼ぶべきか否か、という論争がある。 反対派の意見は、自分のことを先生と呼ぶのは偉そうだから、ということだと思う。 確かに自分に敬称を使う職業はなかなかない気がする。中には電話対応のときに、〇〇先生と相談しますね、と同僚に敬称を使う人もいる。だから教師は世間知らずと呼ばれるのだろう。 僕はそれでも自分のことを先生という。これは暗殺教室という漫画の影響が大きい。 しかし、改めて何故自分のことを先生と呼ぶのかを考えてみると、生

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          10年後の感情を想像しながら生徒指導をする

          生徒の進路指導をしているときに、本人が受かるかどうかギリギリなところに挑戦させるかどうかという問題が出てくる。 担任の先生によっては「落ちたらショックを受けてしまうので受けさせない」という人もいる。しかも結構多い。 確かに、わざわざ生徒を傷つけるような選択肢をしない方がいいという考え方も分かるが、生徒が10年後その挫折を思い出したとき、嫌な記憶として蘇るだろうか? 多分、あの時は落ちてショックだったけど、若さで挑戦したなぁぐらいの記憶になるんじゃないだろうか。むしろ教員

          10年後の感情を想像しながら生徒指導をする

          生徒に尊敬されたければまず生徒を尊敬しなさい

          誰でも自己の重要感を求めている。重要感とは自分が重要だと感じることです。 生徒に信頼され、言葉を聞いて貰うには、重要感を与えることが大切です。 誰でも自分を軽んじたり、雑な扱いをしたりする人の言う言葉など耳に入ってこないからです。この人は自分のことを信頼し、大切にしてくれると感じる相手になることが大切です。 よく教員は生徒とのラポールを形成することが大切であると言われますが、まずは生徒を信頼することが大切です。自分は相手を軽んじているのに相手から尊敬されることはありませ

          生徒に尊敬されたければまず生徒を尊敬しなさい

          盗人にも五分の理を認める

          生徒が言うことを聞かない時、ルールを破った時、約束を守らなかった時、みなさんはどのように指導をしますか? よくある生徒指導の失敗は、客観性という正義を用いて生徒を説き伏せようとすることです。 しかし、どんなに客観性という武器を使って相手を攻撃したとしても、生徒の行動が良くなることはありません。 それは、生徒の中には生徒のロジックがあるかです。このことを理解するところから生徒指導は始まります。 誰も自分のことを悪いと考えていないみなさんは人から何かを指摘されたときに何を

          盗人にも五分の理を認める

          愛着スタイルを生徒理解に役立てよう。

          みなさんはアタッチメント(愛着)という言葉を聞いたことがあるでしょうか。 教育学部を出ている人なら大学の講義の中で勉強したと思います。 心理学の世界では人の性格を分類する手法がいくつか存在します。 僕は生徒の性格を人間関係の観点から分類する時には、ボウルビィやエインズワースが提唱した愛着スタイルの分類が使えると考えています。 今回は愛着スタイルの分類についてまとめようと思います。 愛着スタイルとは? 愛着のスタイルとは「親密さを避けようとする傾向」(縦軸)と「交際中

          愛着スタイルを生徒理解に役立てよう。

          【HRの話のネタ】 「どうして〇〇を勉強しないといけないの?」への答え

          教師をしていると「なんで理科を勉強しないといけないの?」、「理科なんて人生で使わないでしょ」と言われることがあります。 授業の中でその必要性を感じてもらえなかったことを反省しつつ、今日は僕なりにこれがその質問への答えなんじゃないかという話を紹介します。 それはAppleの創業者スティーブ・ジョブズ氏が、スタンフォード大学の卒業式で行った「Connecting The Dots(点と点をつなぐ)」というスピーチです。 スピーチの内容スピーチの内容はこちらのブログにまとめら

          【HRの話のネタ】 「どうして〇〇を勉強しないといけないの?」への答え

          生徒を全肯定したら何が見える?

          人と人の意見が食い違ったときには、お互いに言い分がある。どちらかが100%正しいということはまずない。それが生徒が言うことであれば理屈に合わないと感じることをするのは当たり前だ。生徒に対して、あなたのここがおかしいということを指摘したくなることは多々ある。 だからこそ、生徒の気持ちや考えを徹底的に聴いて、徹底的に想像してこそ見えてくるものがあるんじゃないかと思う。 いろいろな場面を想定してみる どう見ても勉強を怠けていた生徒 3年生の受験間近になって「勉強をする時間が

          生徒を全肯定したら何が見える?