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びんずるさん、の哀しみ

見出し写真は、善光寺のびんずるさん。NHKニュースより。

びんずるさん、はなぜかお堂の外におられることが多い。

善光寺では、お堂の中ではあっても、入口ちかくにおられます。

日本では、なで仏として信仰され、自分の身体の悪い部位をなでると、病平癒のご利益ありとされる。

十六羅漢の筆頭で神通力に秀でるも、お釈迦様から奢るでないと叱責され、お堂に入れてもらえなくなった、という。解釈としては、庶民の近くにいて神通力を生かせ、という計らいともいわれる。

たいていのお寺では、なでられすぎてすり減り、骸骨みたいになっている。


四天王寺の万灯院では、紙衣(かみこ)さんとよばれ本尊十一面観音様の脇に祀られている羅漢が、おそらくびんずるさんです。堂内内陣におわす、例外といえます。

紙衣というのは、文字どおり紙の衣を着てられるからです。

内陣におられますから直接なでられませんが、年に一度衣換えをし、一年間着てられた紙衣で加持祈祷していただきます。すると、病で苦しむことなく人生を全うできる、と信仰されています。

この信仰が一時誤解を招き、ポックリさんと呼ばれた時期もありました。おそらくどのお寺もいまは、ポックリさんという呼び名は辞めておられるでしょう。

ある参拝者が、はよ死ねるご利益くれ、という言い方をしたのがきっかけで、四天王寺さんはポックリ信仰という表現をしないようになられたとか。

長年病に苦しむ老親の介護をし、早く死なせてやりたいという願いは切実ですが、それは意味が違う。

これが理解できない人がいることを、コロナパンデミックが浮き彫りにしました。死ぬのは多くは老人だから、それは寿命にすぎない。ほっとくべきだ!と。

恐怖です。


善光寺のびんずるさんを盗んだ犯人は、なにを考えたのか。

びんずるさんは庶民の苦しみをまっさきに受け止めてくださる羅漢さんです。

つらい思いをされたでしょう。
NHKニュース

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230405/k10014029471000.html


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