ウズベキスタン旅行記 #11:サマルカンド珍道中
2019年に訪問したウズベキスタンの旅行記です。
ウズベキスタンに来て早5日目。いよいよサマルカンドへ向かう時がやって来た。
元はと言えば、世界ふしぎ発見を観てサマルカンドのレギスタン広場を思い出したのがウズベキスタンに来たきっかけだったのだ。
ブハラからタシケントへは、アフラシャブ号という特急列車で1時間半程の距離となる。短い時間だったので今回は1000円程のエコノミークラスにしたが、十分に快適であった。
ブハラを出発したのは夕方に近かったため、外は徐々に夕空へと移り変わっていった。
心なしか雲行きが怪しいなと感じていたが、予想通りサマルカンドに到着すると雨が降っていた。
傘もないため交渉する余裕もなく、足早にタクシーに乗り宿へ向かう。
宿に着き一休みしていると、宿のオーナーが部屋を訪ねてきた。
3部屋程しかなさそうなこの小さな宿に、なんと日本人女性3人組が泊まっているらしい。
せっかくなので一緒にお茶をしたらどうかという提案だった。今までの旅に無いパターンの出会いである。
宿の中庭にある屋根付きのチャイハナで、その3人はお茶をしていた。
会社の同僚同士らしく、私と同じく今日サマルカンドに着いたばかりとのこと。話をするうちに、お茶を飲むどころかそのまま一緒にレギスタン広場へ向かうことになった。
しかし外はまだ雨である。全員防水の靴では無かったし、私に至っては傘も無い状態だ。
困っていたところ、優しい3人がビニール袋で即席の頭巾と靴カバーを用意してくれた。
こうして、シャカシャカとビニール袋を履き鳴らす4人組による夜のサマルカンド珍道中が始まった。
雨のレギスタン広場
路地裏を通りレギスタン広場に向かっていると、地元のおじさんに声をかけられた。
ここは偉い人の家だよ〜などと歩きながら教えてもらいつつ、レギスタン広場に入る秘密の裏口を教えてもらった。正面側にまわって入るよりも、こちらからの方が早いらしい。
これは翌日撮った写真だが、これがその秘密の裏口。
地元住民用なのだろうか? 確かにここから入るとあっという間にレギスタン広場にたどり着いた。
念願のレギスタン広場!
世界遺産であり、ウズベキスタンで最も有名な場所であろう。雨ではあるものの、そのおかげで人は少ないし、雨に濡れた地面の反射が美しかった。
いつもの一人旅であれば心の内で1人感動を噛み締めるのだが、同じ場所を味わった人たちとワイワイ感動を共有し合うのも良いものである。
嬉しくてビニール袋を履いたまま記念撮影しちゃう。
ライトアップされたレギスタン広場は細部まで美しい。
あちこちで記念撮影をしていると、突如大音量で広場一帯に音楽が流れ始めた。
音楽と共に建物の色がどんどん変化していく。
噂には聞いていたが、プロジェクションマッピングが始まったらしい。
音楽は初めて聴く曲なのだが、サビ的なところの
歌詞は「サマルカ〜ンド サマルカ〜ンド」と聴こえる。なんなら近くに口ずさんでいる人もいたので、国民がみんな知っている演歌的な曲なのかもしれない。サマルカンドのテーマ曲?
それにしても、先程までの幻想的なレギスタン広場が嘘のように派手な会場になってしまった。
劇的に変化してしまったレギスタン広場を見て我に帰った我々は、食事に行くことにした。
サマルカンドのビアバー
ウズベキスタンはイスラム教でありながらもお酒が飲める国ということを以前の記事でも書いたが、サマルカンドにはビール工場がある。
そしてビール工場の近くに複数のビアバーがあるとのことで、タクシーでそこへ向かうことにした。
訪れたのはBOCHCA。樽の形の入り口がかわいい。
中の装飾も凝っている。
食べものはショーケースの中から選ぶのだが、説明を聞くと普通に豚肉のソーセージもあった。
思わず「pork?!」と聞き返すもあっているらしい。ウズベキスタン、懐が広い…。
シャシリクとノン、そしてビール。最高である。
いろいろと食べられるのはやはり複数人だからこその良さだなぁとしみじみ思う。一人旅の弱みは食事量なので。改めて私のことを混ぜてくれた3人には感謝しかない。
楽しく飲み食べ、そろそろ宿に帰ろうかという頃、突如店員の青年に不思議なお願いごとをされた。
「実家にいるお父さんが誕生日なので、お祝いのメッセージビデオに一緒に映ってほしい」
どんなお願いごと??
ウズベキスタンでは写真を一緒に撮ろうとお願いされることがあるとは聞いていたが、バースデービデオは予想外だった。
そもそも芸能人でもない、どこの誰だか分からない我々が写ってお父さんは嬉しいのだろうか??
疑問はありまくるが、お祝いごとだしまぁいいかと快諾した。
さぁカメラに向かってお祝いだと意気込んだところ、ここでまさかのウズベク語講座が始まった。
ウズベク語のメッセージビデオだったのね。
しかもわりと長めの一文なのね。
テスト直前かのごとく必死でウズベク語のメッセージを覚え、謎の達成感とともにメッセージビデオを撮り終えた。
ハッピーバースデー、どこかにいるお父さん!
チャイハナで朝食を
楽しい夜のサマルカンド珍道中を終え、翌朝は宿のチャイハナで朝食をいただいた。
ノンと目玉焼き、ハム、チーズ、サラダ、ウズベキスタン産の蜂蜜と、そして自家製のジャム。飲みものはもちろんお茶で。
宿の朝食にもノンがあったのだが、その流れで3人がブハラで購入した三角形のノンをお裾分けしてもらった。
ノンもプロフと同じく地域色が出るとのことで食べ比べてみたかったのだが、大きさも質量もあるため1人ではなかなか手が出せなかったのだ。
これでヒヴァ・ブハラ・サマルカンドのノンをコンプリートである。
三人はこの日駆け足でサマルカンドを観光した後、トルクメニスタンへ向かうらしい。かの地獄の門を見にいくのだという。
翌年から起きたコロナ禍によりトルクメニスタンの国境が封鎖されてしまったことを考えると、なんて良いタイミングで彼女らは旅行したのだろうと思う。
宿を発つ三人に別れを告げ、再び一人旅に戻る。
にぎやかで楽しい昨晩の珍道中を思い出しつつ、この後はどこへ行こうか考えはじめた。
つづく
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