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ウズベキスタン旅記録 #2:世界遺産都市・ヒヴァ

2019年に訪問したウズベキスタンの旅行記です。
#1はこちら:ウズベキスタンへ


城壁に囲まれた街

ウルゲンチ空港から車で30分。
ようやく最初の目的地であるヒヴァのイチャン・カラへたどりついた。

壁に貼られた、タイル製のマップ
イチャン・カラのマップ

「ヒヴァ」はウズベキスタン西部に位置する都市で、「イチャン・カラ」はヒヴァにある小さな旧市街のことを指す。

レンガと土でつくられた城壁

街は周囲をぐるりと高い城壁で囲まれている。
こうした場所は他にもあったらしいが、長い歴史の中でほぼ無傷の状態を保っているのは西アジア・中央アジアの中でもここだけらしい。
そのため、今では街全体が世界遺産となっている。

城壁の中への入り口は東西南北にある4つの門のみで、さながら物語の世界に迷い込んだかのような場所だった。

歩く男性の後ろ姿と街の風景。向かう方角からは朝日が差している

朝焼けの中でみるイチャン・カラの町は美しく、スタスタと無言で宿へと案内してくれる運転手の後を追いかけながら、明日もう一度朝焼けの中のイチャン・カラを見ようと思った。 

アーカンチホテル

ホテルの入り口

宿泊したのは、イチャン・カラにあるアーカンチホテル(Arkanchi Hotel)。
チェックインは14時予定だったが、なんと5時間程前倒しで部屋に通してくれた。
ここまで横になれないまま移動し続けてきたので、非常にありがたい。。

シングルベッドがふたつ並んだホテルの部屋

シンプルなお部屋。2泊3日で約$57だった。
早く外を探索したい気持ちはあったものの、一旦睡眠をとってから活動することにした。

シュヴィト・オシュ

3時間ほど寝て回復したらお腹が空いた。
よく考えたら日本を出てからここまで機内食一食分しか食べていなかった。

朝昼ごはんは、事前に目星をつけていた「Terrassa Cafe & Restaurant」で食べることにした。

レストランの屋上の様子。木製のベンチとテーブルが複数並び、客が10名程いる。空は晴天で、左側にはマドラサと呼ばれる建造物が見える

最上階部分が飲食エリアになっているレストランで、目の前にはムハンマド・アミン・ハーン・マドラサが見える。

テーブルの上に並べられた料理とドリンク。料理は緑色の麺にトマトソースが絡められており、サワークリームが入った小さい器が添えられている。ドリンクはグラスに鮮やかな黄緑色のお茶とカットされたフルーツが注がれている

初のウズベキスタン料理は、気になっていた「シュヴィト・オシュ」にした。夏季限定な上、しかもウズベキスタンの中でもこの地域でしか食べられない料理らしい。
10月の下旬だが、まだメニューにあったので頼んでみることにした。

シュヴィト・オシュの特徴は緑色の麺。これは香草のディルがたっぷり練り込まれているためである。
その上にトマトソースとサワークリームをかけて食べる料理だが、ここのはサワークリームというよりヨーグルトのような感じだった。美味しい。

ちなみにドリンクはcold green tea。
想像以上にグリーンな上にフルーツまで入っていてびっくりしたが、普通に美味しい緑茶だった。

ジョルジュ・デ・キリコの世界

「ヒヴァはまるでドラクエの世界のよう」という感想を何度か見てきていたが、実際に見た上で思い浮かべたのはジョルジュ・デ・キリコの絵画作品「通りの神秘と憂愁」だった。

雲が無く濃い空と、強い陽に照らされてコントラストのはっきりした街。
あの絵はイタリアがモチーフだが、人の少なさも含めてなにか連想させるものがあった。

砂色の街並みと、道に座る野良猫。空には雲がなく、青々としている
ふたつの建物に挟まれた、道幅2mほどの道。空は青々としており、道には建物の影が落ちている。遠くには人が2人いる
建物に挟まれた狭い道に、大きな車輪が置かれている
レンガと土でつくられたお城のような入り口。空には雲ひとつなく、青々としていている

レストランやメインストリートには人がいるものの、それ以外の通りは人がまばらだった。
そのせいもあって、生きものたちに目が行く。

木陰に座り込むヤギ
道に置かれた水の入った器から水を飲む猫
建物の上に立てられたアンテナに、10羽ほどの白と黒の鳩がとまっている
片足を紐で結ばれた一羽のニワトリ

民家の軒先にはニワトリが一羽繋がれていた。
君は食べられてしまうのかい?

ヒヴァの工芸品

街の地理を把握するために、まずはイチャン・カラ内を探索することにした。

街角と露店、そこを行き来する人々の様子。中央の円柱型の建造物は、青色などのタイルで覆われている

青い円柱型の建造物・カルタミノル前の道は、人々で賑わっていた。
観光客が特に集う場所だからか、露店やお土産屋さんもこの近辺に集中しているような気がした。

道の脇に設置された露店。絵付けされたタイルやお皿などが置かれている
タイルをお土産として売っている
道の脇に設置された露店。たくさんのお皿が並べられている
繊細な絵付けがされたお皿もヒヴァの工芸品
繊細な柄が掘られた木製の扉

街中で見かけるこうした扉には、精巧な細工がされているものが数多くあった。これひとつで作品となりそうな完成度なのに、こんなのがそこかしこにある。

レンガ造りの壁に飾られたカーペット。カーペットにはKhiva Silk Carpet Work shopと書かれている

ウズベキスタンといえば「スザニ」という刺繍を施した布が有名なのだが、同じく絨毯も有名な工芸品のようで、ヒヴァでももれなく両者をお土産として売っていた。

レンガ造りの壁に飾られた絨毯やお皿
レンガ造りの壁に飾られた絨毯と、その前に丸めた状態で並べられたたくさんの絨毯
広げて並べられた絨毯

気になった小さめの絨毯の値段を聞いたら、100$とのこと。
カードも使えるよ! と店主のおばちゃんが笑顔で言う。
他の物価との落差がありすぎてこの時はやめてしまったのだが、今考えれば100$は破格すぎる。買うべきだった!
後悔。。

色とりどりに染色され干されている状態の絹の束
染色用の素材を説明するためのディスプレイ
絹を染色するところからやっており、染色の素材名が書かれていた
色とりどりの刺繍がほどこされたさまざなサイズの布
これがスザニ。ヒヴァでは購入しなかったが、後々…
色とりどりの柄が絵付けされた複数のお皿

ここで緑色の大皿と、小皿2枚を購入した。
この後まだ複数都市を移動するというのに、初日に皿を買う勇気。
3枚合わせて確か10万スムくらいだった。1200円くらい? 安すぎる…。

毛糸で編まれた靴下

ヒヴァでは手編みの靴下(ルームシューズ?)もよく見かけた。ブハラ、サマルカンドでは見かけなかった気がする。
写真のお店では見送ったものの、結局他のところで押しの強いお姉さんに負けて買った($2だった)

城壁の外と中

旅先での初日は、飲料&歯磨き用の水を買う。
城壁の外にスーパーマーケットがあるようなので、イチャン・カラの外を散歩しがてら向かうことにした。

スーパーの外観

その名も「コカコーラマーケット」。
大丈夫なのかねその名前。

たくさんの個包装のお菓子が並べられたお菓子売り場
お菓子の量り売り?
ウォッカが並べられた棚。2種類のウォッカが写っている

場所柄ウォッカには惹かれたが、晩酌用のお酒はビールにしておいた。さすがにボトルで持ち歩けない。
水と謎のスナック菓子ひとつ、そしてビール1本を購入した。

撮影者の人影と、道路と建物、街路樹が遠くまで並んでいる様子。高い建物はなく、全体的に砂色をしている

ついでにイチャン・カラの外、東側にあるヒヴァ駅まで歩いて行けるかなと試してみたが、砂色の道と果てしなさを感じさせる風景に心が折れて途中でやめた。

とぼとぼとイチャン・カラの東門から中に戻ろうとすると、チケット代を請求された。なぬ…?
実は城壁内に宿泊していても、外から中に入る以上はチケット代がいるらしい。
一日券と複数日使えるVIP券があったので、VIP券にした。VIP券だとイチャン・カラ内の有料観光施設でも使うことができるらしい。
しかし入り口の雰囲気も相まって、テーマパークの一施設に入る感覚になってきた。

門を通るとミニマートがあったので、アイスのショーケースを見てたら店員のお姉さんに絡まれた。

アイスを持つ手とアイスのパッケージ。パッケージに描かれたアイスと、実際のアイスにはサイズの違いがある

流れでアイスを買いホテルの屋上でウキウキと開封したら、パッケージと中身の落差になんともいえない気持ちになった。
味はずんだのようで美味しかった。

夕方から夜へ

夕日に照らされるヒヴァの街並み

10月末ともあり、日の入りは早い。
この時期のヒヴァは、18時頃には日が沈むようになっていた。

屋上と、地平線に沈む夕日

アイスを食べ終えた後、ホテルの屋上でぼんやりと日の入りを眺めた。
雲も高い建物もなく、照明も限られているためか、赤々と燃えるような夕空に溶け込みそうな感覚になる。
(写真じゃ全く伝わらないね)

テーブルクロスの上に置かれた米料理。炒められた黄色い米には、カットされ炒められたニンジンが混ざっている。米の上にはほぐされた肉が乗っている

日が暮れてから、ホテル近くのレストラン「Tea house Mirza Boshi」へ夕飯を食べに行った。
今回頼んだのは、ウズベキスタン名物の「プロフ」という料理。ウズベキスタン版ピラフのようなもので、地域によって微妙に入る食材が変わるらしい。
ヒヴァ版は肉とにんじん。味は濃いめだったが美味しかった。

ビールの缶と、その横に置かれたビールが注がれたグラス

ホテルに戻り、スーパーで買っておいたウズベキスタン産のビール「SARBAST(サルバスト)」で晩酌をした。
イスラム教の国が産地のビールというとなにか矛盾を感じるが、ロシアの影響もあるためか、ウズベキスタンでのお酒の扱いは比較的緩いらしい。
味はスタンダードで飲みやすいビールだった。

明日は早起きして朝焼けの中の街を見ようと思いながら、早めに就寝した。

つづく


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