見出し画像

「順算思考」で研究を進める

「順算思考」という言葉を聞いたことあるでしょうか。
もしかしたら、あまり馴染みがない言葉かもしれません。

では、「逆算思考」はどうでしょうか。
おそらくこちらは日々暮らす中でたくさん耳にし、実際に仕事や研究において、あなたも実践していることでしょう。
また、日頃から逆算で生きることをさまざまな場面で説かれることが多いため、逆算思考で生きていること自体あまり気づかないかもしれません。

順算思考とは、逆算思考の逆と考えるとわかりやすいでしょう。
なんらかのゴールと期限を設定し、
現状との間にあるゴールを達成する上でのやるべきことをリストアップし、
期限と睨めっこしながらやるべきことをこなしゴールに向かっていく方法
これが逆算です。

一方で順算は、
ゴールや期限を設定することを重視せず、
そのときそのときやるべきこと・できることを積み重ねていき、
現状とは違う状態に進んでいく方法です。

あなたは、逆算思考と順算思考、どちらのスタイルで研究を進めていくことが多いでしょうか?
少し考えてみてください。

研究という営みは、
仮説を立て、その検証のために実験や計算・調査をすることの繰り返しです。
一見、仮説 = ゴールであり、そこに辿り着くためにやるべきことをこなしていく逆算的なアプローチを取るのが自然だと思えるかもしれません。

しかしながら、僕は、研究こそ順算思考を主軸に据えるべきではないか、と考えます。

研究において「やるべきこと」というのが明確でない場合が常でしょう。
ゴールまで1つ1つやるべきことをリストアップし、それを全てこなしたら仮説が成り立つ、というものではないことは、あなたもよく知っていることだと思います。

仮説とは真逆の結果が得られることも多いですし、解釈に困るようなことも往々にしてあります。そもそも実験がうまくいかないこともざらだったりしませんか?
そんなとき、その時々に応じた一手が求められます。
仮説が間違っていた可能性を検討せざるを得ないときも出てくるでしょう。
解釈に困る場合は、もともと予定していなかった別の実験系を組む必要も出てきたり、文献にあたる必要もあるかもしれません。
実験がうまくいかないとしたら、その原因を突き止めたり、実験系を修正する必要も出てきますよね。

このとき、逆算思考を軸に研究していたら、
「もともと予定していなかったのに、やるべきことが増えてしまった」
と困ったこととして捉えてしまい「時間がない」という考えが生まれてしまうのです。
「時間がない」という感覚によって生まれる悪影響は、もはや取り立てて言うまでもないでしょう。

一方、順算思考だとゴールや期限よりもまず、「今」に集中します。想定とは異なる結果が出ても「今やるべきことはなにか」「次の一手は何か」に注力しようと思えます。
このときに生み出される次の一手は、順算思考の方がより良いものになる可能性が高いはずです。

順算思考では、ゴールは一旦脇に置いておいて、得られた結果に積み上げることにのみ集中して次の一手を考えます。不安や焦りではなく適度な緊張感を感じながら、集中して色んな手段を頭の中に巡らせることができます。

逆算思考では、実験結果が見えないうちに立てたゴールに、時間内になんとか辿り着こうという制限された意識のもとに次の一手を考えます。このとき、どうしても心の中に不安や焦りが生まれてしまい、早くなにか次の一手を打たなきゃと急いでしまうはずです。

次の一手としてどちらが良いものになるか、答えはきっと明白でしょう。

「今やるべきことはなにか」
「次の一手は何か」
という順算思考を元に、研究を進めていってはいかがでしょうか。

もしもしかめよ かめりんより

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?