【読書日記】1/4 仕事始め『日本永代蔵/井原西鶴』

新版 日本永代蔵 現代語訳付き
著者:井原西鶴,訳注:堀切実 /角川ソフィア文庫

 早いもので、もう仕事始めです。気持ちを仕事に切り替えて。
 例年職場でお参りしている神社の手水舎は、今年は「花手水」になっていました。コロナ禍以来、感染対策のために封じていた手水舎に色とりどりの花を浮かべるものですが、それぞれ工夫を凝らし、また門前町まで巻き込んで新たな観光名所となっているところもあるようです。社会にはコロナ禍で多くのものが壊滅していく中で、何かを生み出そうとする知恵と強靭さも健在です。
昨年の12月10日付の週刊東洋経済の特集『混迷の時代を生き抜く武器としての名著』の中で、法政大学名誉教授の田中優子氏が今読む古典として『日本永代蔵』を紹介していました。
 記事から引用すると『日本永代蔵』は「長者の教えといっても金儲け指南ではなく、商いを営み、さらにそれが継続するには何が大切かなのかを書いてある」のだそうです。
 学生時代に読んだのですが、理解力の乏しさで単純に商人が工夫をして儲けた話と欲張りすぎて失敗した話などが綴られているのだとしか記憶にありませんでした。
 社会人となり年を重ねてから読むと、江戸の町の人々が如何に家業に励んだか、身分制度など何かと制約の多い中で才覚と努力で自らの道を切り開いたか、そして何に躓いたのか、など含蓄の多い内容に考えさせられます。若いころ、あえて「金が何より大事!」と言って見せる表面を真に受けてちゃんと読まなかったことが惜しまれます。
 厳しさの増す状況の中で各事業所の永続的な発展のために何をなすべきか、温故知新、『井原西鶴』の読み直し、学び直しです。