見出し画像

【読書日記】1/31 本年は私の年、とつぶやいてみる。『私の部屋のポプリ/熊井明子』

私の部屋のポプリ
続・私の部屋のポプリ
続々・私の部屋のポプリ
 熊井明子 著 河出書房新社

「ポプリ」。漢字で書くと百花香。乾燥させた薔薇の花びらに各種の香料を混ぜたものをいいますが、つぶやくと馥郁とした香りが漂うことばです。
「赤毛のアン」にも登場するので、アンのファンは「ポプリ」にも興味を惹かれるのではないでしょうか。同じ世界の魂を感じる、というか。

本書は、ハーブやポプリの研究家、熊井明子氏が「ポプリの材料を集めるように」集めたエピソードを書き留めてきたものです。正編、続編、続続編の三冊。
日々、苦労もなく生きていける人は稀です。苦難の多い日々を明るく穏やかに生きるための知恵や、何気ないことに美しさや喜びを感じ取るコツを教えてくれるエピソードが瓶をあけたら香り立つポプリのように詰まっています。

 熊井氏は、これらのエピソードが「ポプリのそれぞれの成分のように香り、しかも全体として一つの感じを醸し出してほしい」と願いをこめたといいます。

たとえば、薔薇の花びらのように華やいだこと
ラヴェンダーのように一見地味でも忘れられないこと
ミントのようにフレッシュなこと
オレンジのようにさわやかなこと
白檀のように古めかしいけれど心ひかれること
オリスのように淡く長く思い出に残ること
そしてときには麝香や霊猫香の雰囲気のことも、ある種の木の香のように哀しみをさそうことも。

続々私の部屋のポプリ

まさにこの言葉の通りで、短い一編一編に、詩と知恵があふれています。
もともとは1970年代、80年代に書かれたものですが、その魅力はあせていません。
私にとっては、生きていく心がけを教えてくれた本の中の一冊。
私は、学びたい気持ちが先に立って能力・体力・気力が追い付かずなかなか自分の血肉にならないという残念な向上心の持ち主なのですが、本書の中で知ったことを折に触れて心がけたり、新たな学びのきっかけにしたりとしています。
 たとえば新年も早くも一か月が過ぎていきますが、年の初めにふさわしいことをふたつほど。
 
一つ目は心に抱く夢を実現する方法の第一歩として、スクラップブックを買ってきて表紙にMJITLOAAHと書くこと。そして、このスクラップブックに自分の夢に関する絵や写真を貼って理想の絵本を作り上げて視覚化するのだそうです。そして、目を通して意識するのが夢の実現の第一歩。なお、このおまじないは、My Journey Into The Land Of Abundance And Happiness(豊かさと幸福への私の旅)の略。元々はスイートランドという方の書からだそうです。
 新年で新しくした手帳もややこなれてきているころですが、新しい手帳には必ず書くようにしています。

 二つ目は佐藤春夫氏の新年の寿ぎの詩。

 わが門に新年来り
 あら玉の祝言言ひぬ
 おめでたう努め給へや
 本年は君の年なり

私の部屋のポプリから佐藤春夫氏の詩

「本年は 君の年なり」自分に向かってつぶやくと少し、運気が上向くような気がするのです。