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夜光おみくじ(#毎週ショートショートnote)

 事業を興して3年、全くうまくいかない。借金も返済の目処がつかない。この状態で年を越せたというのか、いや一般的には言わないであろう。

 年末も会社に泊まり込み。この仕事が本当に金になるかわからない。3月までに動きがなければ、倒産かな?

 元旦らしく雪が降ってきた。近くの神社に初詣とするか。

雪か降っているせいか、初詣の参拝客がいない。
ポケットに入っていた5円、賽銭箱に押し込んだ。今年はいい年でありますように。

振り返るとお守りを売っているテントに隅に「おみくじ無料」と書かれた箱。

無料なら引いてみるか。箱の中から一つひくと、おみくじがキラリと光ったような、いや間違いなく光った。

「迷わず進め」

 大吉とか凶とかはないんかいと一人突っ込みながらおみくじをポケットに忍ばせた。

 これが5年前の不思議な出来事だ。
今では倒産の心配もなく、幸せな時間を過ごしている。

今でもそのおみくじは大事にとってある。また、キラリと光った気がした。中はもう読まなくてもいい。

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