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助手席の異世界転生#毎週ショートショートnote

君が助手席にいないクルマを運転してもう5年がたった。

服装もスカートからパンツスタイルが多くなっても「乗り降りに便利なクルマがいい」と譲らなかった君。

クルマの中ではいつもビートルズを流していた。
「A Hard Day‘s Nightの邦題が何でビートルズがやってくるヤァヤァヤァなの?」といつも文句を言っていた君。

君がいないから、今日はラジオを流しているよ。

 「それでは最後の曲は、往年の名曲「Let It Be」、それではまた来週」
ラジオからは君の好きだった「Let It Be」が流れてきた。これも何かのめぐり合わせかな。

 「あるがままを受け入れなさい」

ふと君の声が聞こえたよ。君が異世界から転生してきたようだ。
こうやって助手席の君と沢山話しながら、ドライブしてもう50年が経つね。

異世界から転生してきた君と話ができてようやく決心がついたよ。
明日、免許の返納に行ってくるよ。

想い出のつまったこのクルマはしばらく車庫に置いたままにするけどね。


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