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顔について その3 ロボットと顔

顔について続けて書いてきて、思いはロボットへ。

ロボットに顔の連続性担保はできない

人間の顔が相手に与える印象がおおきく、その中でも連続性の担保に価値があると考えた。
となると、ロボットにおいて連続性の担保は行えるのか、が問題となる。

つまり、ロボットの顔の造形そのものが愛嬌を持てるか、はいずれ乗り越えられる問題としてみたときに(そもそもロボホンやaiboはそれらをクリアしてるともいえよう)、ロボットの顔に足りないものがあるのではないか、ということだ。

人間の顔は、
その顔1つしかない
その顔は年月を経て緩やかに変化して元に戻ることがない

ことが大きな特徴で、ロボットの顔はその2つを満たすことができない。工業製品ゆえに金型を変えることは容易ではない。この点は直接ユーザー心理にも影響を与えると思われる(こいつは同じものが何千と世界に存在する)。

結果、pepperなどは服を着せることで他機種との差別化を図ることとなっているが、完全に顔の役割を補完できているとは言い難いだろう。
また基本的に経年劣化はあっても変化と呼べるものではないため、長い年月を過ごすことで連続性の価値が上がる作用もない。

コミュニケーションロボットの最大の問題は「飽き」だと思われるが、その原因の1つに顔の同一性問題が横たわっているのではないか。

機械の顔を見分ける可能性

とはいえ、反証材料もある。第1世代のaiboユーザーは動きも含めて自分のaiboを見分けられるという話を聞いたことがある。人間が普段生活している民族の顔の違いはよく認識し、遠い民族の顔の違いはわからないように、ロボットが身の回りにたくさんいる世の中になれば、工業製品といえど見分けがつくようになるのかもしれない。

テレノイドの謎

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また、ここで大きな謎を呼び込むのがテレノイドだ。「誰にも似ていない」テレノイドとの会話は、嫌悪感や疎外感を生まず、むしろ他では体験したことのない、ある意味では人間以上の会話体験を生み出す。
完全な匿名性はそれだけで価値を生み、中途半端に固有性を持たせると嫌悪感をうむ、「不気味の谷」と同じような特性が顔から見える連続性にもあるのかもしれない。


神山晃男 株式会社こころみ 代表取締役社長 http://cocolomi.net/