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「おもしろい!」の作り方6 『ホットスタート』

こんにちは、神岡です。
久方ぶりの「おもしろい!」の作り方 第七回目です。
テーマは冒頭から一気に物語へ誘い込む手法=ホットスタート

今回は前半の例として「響け! ユーフォニアム」「翠星のガルガンティア」「プロメア」を、後半の例として「PSYCHO-PASS」「ペルソナ5」「アンチャーテッド2」をそれぞれ取り上げます。

多すぎてリンクは貼れませんが、是非冒頭だけでも見てください。
どの作品も一気に引き込まれますから。

というわけで、始めていきましょう。

概要

この記事では以下のことについて書きます。

・冒頭を一番面白くするつもりで作る!
・ホットスタート作成手引き「転起承転結」


ホットスタートとは何か?

ホットスタートとは読んで字のごとく、熱いシーンから物語をスタートさせる手法です。銃撃戦やらカーチェイスから始まるハリウッド映画だったり、冒頭で死体が転がってくるミステリが代表的ですね。

ホットスタートのメリット

ホットスタートは面白いシーンから始まるので、受け手を退屈させることなく物語に引き込むことができると言われています。
また、それに加えて「その後の説明シーンを退屈にさせない」効果もあると私は考えています。

物語における説明(世界観やキャラクター、これまでの経緯など)は
「作者がしたい」タイミングではなく「読者が知りたい」タイミングでするべきです
一方的に情報を押し付けては、退屈な授業や自慢話と同じになってしまいます。

それを避けるためには、物語の早い段階で受け手に「この物語についてもっと知りたい」という状態になってもらう必要があります。

この点、ホットスタートはとても優秀です。
なぜなら冒頭シーンはインパクトが強い一方情報的には不完全だからです。

これにより受け手は「このお話、面白そう」と期待する中、「でも、あれってどういうことなんだろう?」と能動的に物語と向き合ってくれます。
そうして初めて説明を挟むことで「あぁ、そういうことだったんだ!」と満足してもらえるわけです。

最初からクライマックスな例

ホットスタートの中でも、物語の最高潮から始まっている例を挙げておきます。

響け! ユーフォニアム
中学最後のコンクールの結果発表から始まります。
部活モノで(しかも審査型競技で動的シーンが入れづらいのに!)、一番気になる場面を最初に持ってきており一気に引き込まれます。

プロメア、ガルガンティア
どちらもそれぞれ人類の宿敵(マッドバーニッシュとヒディアーズ)がいるんですが……なんと冒頭でそいつらとの最終決戦があります
子分や幹部や四天王でもないんですよ。
開始五分で鬼舞辻無惨とやり合ってるのと同じ状況です!(唐突な鬼滅の刃)

ちなみにプロメアでは勝利し、ガルガンティアでは敗北します。
どっちにしても「これからどうなるんだ!?」ってなっちゃいますよね。

ホットスタートの作り方

上の例で優れたホットスタートを紹介しましたが、だからと言ってすぐにそれを意識して作れるかというとなかなか難しいです。
そこで、手軽にホットスタートを作る方法を紹介します。
それは「起承転結」のプロットを「転起承転結」へとリアレンジすることです。

新たに冒頭で転のシーンを作る必要はありません。
あらかじめ練っておいた起承転結のプロットの転のシーンを冒頭に持ってくるだけです。(だから、アレンジではなくリアレンジ)
冒頭だけ時間が逆転しているわけですね。

こちらの手法を採っている作品例を挙げておきます。

PSYCHO-PASS
1話冒頭は時系列的に16話のシーンで、主人公と宿敵が邂逅する場面から始まっています。
「この状況は何だ?」「この二人は誰だ?」と気になったところで時間は巻き戻り、1話~15話をかけてこの状況へとつながっていきます。

ペルソナ5
六章「ニイジマパレス」脱出から始まります。
スタイリッシュ逃走劇の末、主人公は警察に捕まり大ピンチ……となったところで時間は半年以上巻き戻ります。

アンチャーテッド2(この手法だと一番好きな作品)
冒頭はchapter 15のシーンです。
主人公が目覚めると断崖絶壁にぶら下がった電車に乗っており、今にも落ちそうな状況です。絶体絶命のお手本みたいなシーンですね。どうしてこんな状況になったのか回想したところで、時間が巻き戻ります。

まとめ

これまでをまとめます。

・冒頭を一番面白くして受け手の興味を惹きつける!
・転を最初に持っていけばホットスタートを作れる!

ホットスタートも説明パートも全ては受け手の面白さのためにあります。
それを意識していれば、この手法はあなたの物語をきっと面白くしてくれるはずです。

ここまでお付き合いくださり、ありがとうございます

ではでは、次回もお楽しみに。

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今回の記事が缶コーヒー程度には役立ったなと思われたら、是非読んでいただけると幸いです。


感謝です!