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スケール1/43のミニカー写真集「撮影道具編2」

背景シート その2

ミニカー撮影時に使う背景シートを色々試してます。そのインプレッション続編です。

何しろ簡単にカッコよく撮りたい

経年劣化したミニカーや、高価じゃないけど思い入れのあるミニカーをいかに素敵に見せるかをテーマに撮影してます。しかも、あまりお金をかけずにいきたいです。

ミニカー自体で良く見せようとしても、せいぜいホコリをブロワーではらう程度で大きな変化が期待できません。

よって、環境や設定で補っていきます。
撮影後の画像処理も時間がかかるので極力避けたいですね。

決める事

撮影を進める際にはこんな事を決めながら進めていきます。あくまでも私のやり方です。

・被写体:ミニカーを選定します。「この車を撮りたい」からスタートするので、既に決定してます。状況に応じてミニカーを追加する事もあります。

・背景:被写体の後ろ側(背景)と下側(座面)の色や材質をミニカーのカラーリング等との相性やアルバムの構成を考慮しながら決めていきます。特に重要な要素です。今回のテーマはここの道具についてです

・照明:撮影ブースに備え付けのLEDや自立型のライトなどを選びます。ポルシェ911の様なボディが曲面で構成されている車は色々な角度から照明を当てて光の反射具合を見ながら決めていきます。

・アングル:撮影しながら広角寄りか望遠寄りか決めていく感じです。自分が立って実車を眺めた時をイメージして撮ることが多いです。

・カメラ側設定:露出、ホワイトバランスなど決めます。RAWで撮って後で編集は、たまに実施する程度。どちらかというとAEBで3種撮って、良さそうな1枚を選ぶっていうやり方は多用します。

紙の上にアルミ蒸着PETフィルムを貼合した物

今回、使用するシートの一般的な表現です。相変わらず分かりにくい表現ですみません。PETフィルムにアルミを蒸着して、その蒸着面とキャストコート紙を貼り合わせているそうです。以下ペットシートと呼びます。

蒸着を利用する事で均質な膜厚や膜質をコントロールできるので色々な種類の製品ができます。キャストコート紙は強光沢で高平滑に仕上げられた紙なので、蒸着されたアルミの光沢感がよりアップします。だそうです。

超大雑把に言うと、高級な厚手の銀紙という感じです。
より詳しい製法や構造に関しては参考書や関連サイトでお調べください。

座と背景

ここから本題です。
今回使用するのはパッケージの紙等を製造されている五条製紙さんの「SPECIALITIES」というシリーズの中から、「No.317 25μ ペット シルバー」と「No.319-1 12μ ダルペット シルバー」を選びました。

No.317:五条製紙さんのラインナップの中で最高の反射率との事。かなり鏡に近いです。
No.319-1︰こちらもシルバーですが、つや感を抑えた明るい曇りガラスの様な仕様です。

左:317 右:319-1

いずれも反射が強いので背景の色に大きく影響を受けます。今回はこれを座(下側)に使用して、背景にはPVCの白と黒の2種を使用して違いを見ていきます。
撮影スタジオの様に広めの空間で撮影できる場合は別ですが、一般家庭のテーブルや机の上で撮影する場合、背景まで反射率の高いペットシートを使うとカメラや自分まで写ってしまうので、背景は反射しない材質のPVCを使い、斜め上方からペットシートだけ写るように撮影します。

手前(座)に今回のシルバーのペットシート 奥(背景)にPVC白

撮影開始

モデルは Tyrrell 001 J.スチュワート モナコGP(Quartzo 1/43)です。20年以上前に買ったミニカーにしては程度は悪くないです。

まずは光沢のある317から。
座:317 背景:白

背景の白が座に反射して白く見えます。ほぼ鏡です。
45mm f/20 1/40 ISO400 EXP+0.3 WB4500K

次は座だけ変更します。座:319-1 背景:白 

ミニカーの反射像は適度に曇っていい感じです。氷上っぽいですね。
45mm f/22 1/25 ISO400 EXP 0 WB4500K

ここで背景を黒に変更。座:319-1 背景:黒

背景の黒を反射して座のシルバーが黒くなります。

こんな感じで組み合わせを変えてミニカーにあった背景を作っていきます。
絞りはf20前後、WBは4500~5000kでほぼ固定、ピント合わせに一番時間がかかってます。

撮影後の画像処理は特にしません。キャノンのDPPでコントラストと明るさの微調整、ほこりがあったら消しゴム機能で消すくらいです。

今回、撮影時の照明は撮影ブースのLEDを使ってますが、明るさや位置調整ができないので、カメラ側の高輝度側階調優先をONにして白飛びを低減してます。

今回の使用機材

カメラ:キャノン70D
レンズ:シグマ17-70mm F2.8-4.0 DC MACRO OS HMS
撮影ブース・照明:サンワダイレクト撮影ボックス60cm


ここでペットシートのいい所を何点かあげてみます。
1. 光沢や平滑性がすごく高く、高級感を演出できる。
2. その割には低価格。例えば「317」はサイズ385mm×540mmで220円でした。
3. はさみで切れるので加工しやすい。
4. 薄いので反射像が二重にならない。ガラスの場合、表面反射と裏面反射があるので反射像が2重になることもあります。
5. バリエーションが豊富。豊富すぎて困るほどです。


撮影例

他の色のミニカーで撮影した例です。

フェラーリ312B3 シート:319-1 このシートは冷たい金属感がでますね
BMW Ⅿ3 シート:317 ちょっとショールーム的にしました。

背景の位置にモニターを置いて好みの色や模様を映して、それを座のペットシートに反射させたりする手法もあります。私はやったことがないですが。

今回は、WBCの時のダルちゃんの精神で(精神だけ。レベルは違います。)機材や設定も全部お伝えしたく、極力具体的に記載しました。お伝えする内容に不足があるかもしれないですが、今回はここまでとします。

撮影道具編は以降も続ける予定ですので、また読んで頂けることを期待してます。


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