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アルゼンチンでのこと

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2016/10-2017/8 ブエノスアイレス滞在(文化庁芸術家研修制度) 2019/8 「バルパライソの長い坂をくだる話」東京公演のリハーサルのためブエノスアイレスに2週間滞在
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2016年12月の記事一覧

某氏へのメッセージ④

12月7日

地下鉄によく乗る。ブエノスアイレスの地下鉄は、SUBTEと呼ばれている。
「SUBTE」なんだか奇妙な響きがする。
SUBTEや電車やバスに乗るのには、「SUBE」というカードが必要である。これも奇妙な響きの名前だ。意味はいつかわかるだろう。

この一年、スペイン語圏、フランス語圏、英語圏に行った。そのすべて、アルファベットの組み合わせでことばをつくっている。
それではバリエーション

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某氏へのメッセージ③

11月28日

今日28日は祝日でどこにも行かなかった。昨日の日曜日もどこにもいかなかった。
日曜日は、家族で過ごす日。おなじく祝日も。だからどこにもいかず、誰にも会わなかった。(ハウス)シェアメイトともほとんど会話せず過ごした。
そして、ASKA逮捕のニュースと「君の名は。」のことと投票の権利と義務について考えていた。今日は「国民主権の日」という休日らしい。

ここでは、中流階級と下層とホームレ

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某氏へのメッセージ②

11月21日

家の近くに、日系のレストランがあると知って、日本食が食べたいぼくは行ってみた。が、夕食を外でひとりで食べるのはさみしいな、なんて思ってた。

そこは日系会館併設のレストランで、入るか入らないか迷っていると、奥のほうから剣道の音が聞こえてきた。会場のドアがわずかに開いていたので、覗き見する。
すると10人くらいのアルゼンチン人が、コテ!とかメン!と元気よく竹刀を振っているので、時間も

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某氏へのメッセージ①

11月14日

あたらしい人たちと会うときはいつも、
彼たちはキスとハグをしてくれる。
ぼくはいつもわずかな期待と静けさと、貧しい言葉を持つ。

腹がへったときはいつも、
築116年のバルコニーで、アリが朝食に好む牛乳入りのタバコを吸う。
アリが寄ってくる。

夜になると、人妻たちがブラウンカラーの通りに出てくる。
叔父はばかみたいな言葉を吐くのをやめないので、
ぼくがじつはばかなんじゃないのかと

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