自分が知らないことは何かを知ること

自分が知らないことを意識するって、実は簡単じゃないかもしれません。
そもそも、ひとりの人間の知識なんてどんなに優秀な人でも限りはあるし、無限の「知らないこと」に立ち向かうこと自体、最初から無理だと思ってしまいますよね。

でも、何かをやりたいと思ったとき、起業したいとか、XXのような人になりたいとかって考えたとき、自分が知らないこと、自分にはできないことを知ることって大事なことだと思うわけです。

若い人たちと将来のプラン(キャリアプラン)の話をしていると、まず、どんな人になりたいかという目標設定をちゃんと持つことも簡単じゃないなと思うことがあるのですが、それよりも、そのなりたい自分を考えたときに、何が足りないかを考えるって意外と難しいことなんだと感じます。でも、これがうまく出来る人ほど、自分を伸ばすのがうまい人なのかもしれません。
なかなか客観的に自分の棚卸ができるかというと、他人のことは良く見えても、自分のことはいろんなフィルターがかかって見えにくいのかもしれません。
自分の知らないことを知ることは、目標に向かうためのスタート地点を知ることであり、目標到達のために何をすべきかを正確に意識することなのだと思います。

技術開発でも同じようなことが言えます。
トヨタのリーン製品開発、アジャイル開発、あるいは起業のノウハウとしても注目されているリーンスタートアップなど、いろいろな手法や考え方があるのですが、共通して言えるポイントとしては「顧客視点」ということなのです。顧客起点で到達すべき地点を決めることが目標設定になります。
でも、私はもっと重要な共通のメッセージがあると思っています。つまり、目標に向かっていくためにどこからスタートするか、目標到達までのギャップを正確に知るためには、「知らないこと」、「できないこと」をしっかりと正確に分析することであって、私はこの「知らないこと」を意識して知識ギャップを埋めていくことがイノベーションを起こすことではないかと考えています。

何を作るのか、お客様が何を求めているのかが、「なりたい自分」を設定することで、「知らないこと」を正確に把握するのがスタートポイントの設定だとすると、例えばリーン製品開発で教えているのは、この知識ギャップをひとつひとつ小さな実験で、短時間、効率的に埋めていきながら、新たな発見とともに目標を達成していくことだということです。

キャリアプランも製品開発も、目標設定は難しさはあっても比較的ブレないのですが、スタートポイント、つまり「知らないこと」の棚卸が不安定で、結果的に間違った計画、道筋を立てることがいろんなところで起こっている気がします。

リーンスタートアップも、間違った読み方をすると、お客さんが何でも教えてくれるって誤解する人がいるのですが、MVP(Minimum viable product)と言って、仮説を検証するための必要最低限の機能を評価する製品で、仮説を小さく回して確実に早く検証して一歩一歩前に進めて、ダメなものは早く撤退する、という、どちらかというと、自分の無知さ、駄目さを客観的に調べる方法であるように思います。

大企業にいると、いろんなインフラがほぼ完ぺきに揃っていて、自分の専門分野以外のことは黙っていても他の人がカバーしてくると考えてしまいます。それはその大企業の中では正しいのかもしれませんが、大企業で新規事業を起こす、あるいは大企業で数年過ごした人が起業家を目指すときに、意外に大きな落とし穴になります。

自分自身の棚卸は、年令がいくつになってもやっておきたいものですね。


この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

やったー!
5

kamonk

コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。