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定年後も稼ぎ続けるための助走方法

人生100年時代と言われ、高齢化社会で年金も先細っていくことが予想されていて、60才や65才で楽隠居という状況ではなくなっています。
定年延長などの動きも出始めてはいますが、それを待っていればいいというものではなさそうですね。
経済的な心配をすることなく、人生を長く楽しむためには、定年後も稼ぎ続けることを考えざるを得なくなっています。

企業で働き続けて、定年後も稼ぎ続けるには、雇用延長で会社に残るという方法もありますが、給与は減額され、しかも居られても5年程度が限界ということでは楽に長く楽しむということにはなりません。

体が動くうち、頭がしっかり回転しているうちは、社会の一員であり続け、社会に貢献しながらその対価を得ることで、人生を楽しむ土台を維持していたいというのが、多くの人が思うことではないでしょうか。

私の起業準備

私は、60才で大手企業を定年で退職すると同時に、コンサルタントとして独立・起業しました。起業してから丸3年になりますが、今までのところ順調に事業を継続させていただいています。

私が起業することを意識し始めたのは、50才になるちょっと前くらいだったと思います。
藤井孝一さんの「週末起業」という本を読んで、なんか自分でもできそう、というかやるべきなんじゃないかと思ったことが、今考えるときっかけだったかもしれません。

そしてさらに55才くらいのころ、かつて一緒の会社で働いていた先輩が、コンサルタントとして先に独立されていて、将来はいっしょにやろうと、冗談と本気が半分くらいで誘ってもらっていたことも、何をやっても何とかなるのではないかという裏付けのようになっていて、自分の中で支えになったのだと思います。

ただ、それですぐに行動を起こしたわけではありません。

私は日本人にしては珍しいと思うのですが、5回ほど転職しています。
40才のときにヘッドハンティングで外資系企業に転職し、その後も外資系企業を渡り歩いたりして、最後は日本の大手企業で技術系組織の管理職を務めました。

実際に定年後の起業に向けた準備を始めたのは、58才6か月のときで、役職定年でお役御免となったときからでした。
最後の大手企業では、それなりの責任あるポジションだったことと、57才の役職定年を延長するように要請されていたこともあって、役に立つうちは一生懸命やろうと思っていて、起業への意識はお預け状態が続いていたのですが、いよいよお役御免となったときは、迷わず1年半後の定年までに起業するぞと改めて決意して、それからは仕事そっちのけで(会社には残って、迷惑かけない程度に手抜きしてました)、自分のための時間の使い方をさせてもらいました。
まあ、言い訳としては、役定まではしっかり貢献したのだから、これくらいは自分へのご褒美だと自分に言い聞かせながら活動していました。

最初に始めたのは、Web制作の勉強です。まったく経験はありませんでしたが、これからはどんなビジネスをやるにしてもWeb制作やWebに関する知識がなければダメだと思って、一から独学で始めました。
一か月後には、ホームページの形くらいは出来るようになっていたのと、実は4年経って、今は自社のホームページやブログなど、すべて自分でホームページを作って運用しています。

勉強開始したと同時に、定年までの1年半でまずは週末起業で何かを始めようと考えたのですが、前述のように最後はコンサルタントになることを考えながら、まずは、もっと手軽に週末起業で収入を得ることを考えて、あまり深くは考えずにWebを使った英語通信教育事業をやることにしました。

準備を始めて1か月半後には、個人事業主としての届けを出していて、さらに事業のベースになるWebページは、当時はまだ自作は出来なかったので、友人の伝手を頼って、安く作ってくれる若いフリーランスの技術者に依頼を始めていました。

並行して、英語教育のコンテンツ作成に私は注力し、Web制作と合体してビジネスを実際に始めたのは準備開始から5か月後でした。

ただ、この英語通信事業は失敗に終わります。まったく売れませんでした。
結局、最初の一年で撤退するのですが、実は事業としては失敗だったものの、私自身の起業準備としてはとても大事な一年になりました。

集客やマーケティングに対する認識の甘さを身をもって理解し、次にやるべきことをしっかりと認識することができるようになったのは、本当に大きな収穫でした。

また、経済的にも、本業として大手企業に在籍したままでしたので、給与はフルにもらえていた上、個人事業の赤字(経費は100万もかかってない)を合算して確定申告したら、税金がたくさん返ってきたりもして、結果、経済的にも損出よりも見返りが大きかった気がします。

事業は失敗だったものの、かなり真剣に走り切った一年であって、この一年がなかったら今の自分もなかったように思います。

一年間、大手企業に在籍しながら、自分でお客さんに何かを買ってもらおうとして、それなりの努力をして世の中の洗礼を受け、自分自身を見直すことが出来たのは、起業ということだけに限らず、自分の人生にとってもとても有意義だったと思います。

大企業のぬるま湯から抜け出す

長い間、日本の大企業で働いてきた人の多くは、如何に自分が会社に守られていたかということに、麻痺しているかもしれません。
成果によって、賞与などで差がつくことはあっても、毎月必ずお給料がもらえて、少しくらい病気で休んでも有給休暇があって、収入が保証されています。

ただ、逆に大企業の中にいることで、危険な状態にあっていることもあるように思います。

私は、ずっと技術系の仕事をしてきたので、技術者、エンジニアという人たちを長い間見てきましたが、1980年代くらいまでのTQCに代表される日本の製造業のグローバルでの飛躍の時代から、2000年代からの日本製造業の衰退という変化のなかで、技術者一人ひとりの活力が失われ、会社が担う仕事の全体を見れない社員が増え、小さな領域だけしか知らないXXの専門家となり、すべてを知らない先輩から仕事を教わり、上司から言われたことだけをやっていればいいという毎日を送り、知らないうちに会社に人生を決められている人たちが、この20年くらいの間に激増しているように感じています。

すべての人がこのような状態でないにしても、周りにこのような人がいても、異常なことだと気づかない時点で、病んでいるのかもしれませんよ。

これを解決しようという話は、実は私のコンサルタントとしての仕事の一つなのですが、この記事のテーマとは直接関係しないので、定年後の自分を考えるというテーマに絞って考えるとき、とにかくこの状態から早く脱出することを強くお勧めします。

そのためには、自分という存在を客観的に見直すことが必要だと思います。

私の週末起業の経験と、そして大企業の中に潜むリスクを考えたときに、人生100年時代を生き抜くためには、「自分を徹底的に見直す」ことが一番大事なことだと申し上げたいと思います。

自分を徹底的に見直す一番確かな方法は、自分の棚卸しをすることです。
どうやって棚卸しをするか、そのヒントを紹介します。

自分の棚卸しの必要性

起業ばかりが定年後の選択肢ではないかもしれません。
ベテランの知識や経験を求めている企業に転職する道もあるし、最近流行っている顧問登録のような形で、フリーランスとして求められたときに働くという方法もあります。

しかし、私はどうせやるなら、一度きりの人生ですから、多くの人に起業を考えて欲しいし、また、その方法を理解すれば多くの人が成功できると思っています。

もちろん、正直に言って向いてない人もいることは確かです。
あなたには勧めない、という方も中にはいます。
大事なことは、自分で自分のことを客観的に評価することですが、実は自分のことって自分ではわからないものだと、長いサラリーマン時代の経験で感じています。

人間は、持って生まれたものというのもありますが、毎日の積み重ねが一枚一枚加わっていって、それが血肉となって今の自分があるのだと思います。

なので、過去の経験、ワクワクしたこと、熱中したこと、怒りを感じたこと、挫折を味わったこと、その挫折をどう乗り切ったか、どうしようもない悲しみを感じたこと、子供のころの夢、社会人に成りたてのころに抱いた豊富、他人との関係、他人に言われたこと、尊敬する人との出会い、それらすべてが、今の自分を作っているのだとしたら、過去の経験を出来るだけ多く、詳しく思い出して紙に書き出してみることで、自分でも気づいていなかった自分が見えてきます。

一度に全部を書き切ろうとしても無理があります。
一旦書き始めて、それを読み返してみると、記憶が蘇ってくるので、それを書き足していきます。きれにまとめる必要はありません。
どんどん追加していけばいいのです。
わたしの場合は、A4で25枚くらいにはなったと思います。(人生が長いので)

自分で何度も読み返しているだけでも、今まで自分で気が付かなかった“自分”にたくさんの気づきがあるはずです。

そして、この書き出した紙を、信頼できる友人や尊敬できる先輩などに見せて、意見をもらうことができれば、さらに気づきが増えて、自分がこれから進む道が今よりもはっきり見えるようになると思います。

自分の棚卸しの方法、自分が起業に向いているかのチェック方法などを含めて、シニア技術者向けに小冊子「シニア技術者再生の手引書」を書きました。

シニア手引書

起業のための無料オンラインセミナーとともに、ご希望の方には、PDFを無料で差し上げています。
https://futureship.biz/lp/consultant/

また、「技術者のキャリア設計法セミナー」を期間限定無料にて開催しています。こちらに参加いただくと、自分の棚卸しだけでなく、ポジショニングの取り方、キラーコンテンツの作り方などを解説していき、かつ、参加者には上記小冊子を差し上げています。
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よろしければ紹介ページを参照の上、ご参加ください。

すぐに行動を起こすことが成功の秘訣

さて、起業準備の一年目は、事業としては失敗したのですが、定年まで半年となってからは、コンサルタントとしての独立に向けて活動を始めます。
先輩コンサルタントの仕事に同行させてもらって、仕事のやり方やコンサルとしてのコンテンツの内容などを学ばせてもらいました。
先輩から顧客を紹介してもらい、先輩が請け負う場合の半額で仕事を受けさせていただき、まだ大手企業に在籍中だったので、有給休暇をとってコンサルとしてのデビューをさせてもらいました。
中国でトヨタのやっているリーン生産やリーン製品開発手法の布教をしている団体の代表者と関係を作って、中国のスタートアップ向けにセミナーを開催(無給、交通費のみ)させてもらったり、この団体の別のイベントで登壇させてもらったりして、場数をこなし、自分の持っているコンテンツをブラッシュアップしていきました。

そのような活動をしながら、大手企業では、大手企業のためにもなるし、自分のためにもなるような仕事(企業内のシニア人材をオープンイノベーション活動に活用する人事制度を作る仕事)を自分で提案してやっていたのですが、その仕事での人脈で、起業後のお客さんになった2社の企業幹部の方たちと出会うこともできました。

定年の3か月前に、法人を設立したのですが、設立手続きもすべて自分でやりました。

これも会社というものの意味、取締役の意味などを理解することや、経費の使い方、会社経営のための細かな知識などを取得できることに繋がったと思っています。

半年は、短いと感じるかもしれませんが、結構やれることはたくさんあります。

お陰様で、定年退職した次の月には、しっかりと売り上げがあがり、順調な滑り出しをすることができました。

トータル一年半の起業準備で様々なことを学んだのですが、とにかく、行動を起こすことがとても大事だと思います。

最初の一歩を踏み出せば、あとは何とかなるし、何か困ったことにぶち当たれば、そのときに、人間は本当の力を発揮できるのだと、これもこの一年半の間に学びました。

行動を起こさなければ何も起こりません。色んなことを考えれば、いくらでも考えられるし、考えることで何かやっていると錯覚してしまい、さらにあっという間に時間を使ってしまいます。

一歩を踏み出してみること、すぐに行動することを強く勧めます。

どんな人も稼ぐネタを必ず持っている

最後に申し上げたいのは、起業のために奔走した一年半での学びではなく、起業後3年経って思うことです。

10年、20年と会社で働いていれば、どんな人でも、他人に役立つモノを必ず一つは持っている、ということです。

私も、先輩からコンサルタントを一緒にやろうとは言われたものの、自分がそんな仕事を本当にできるのか、大いに不安を持っていました。
先輩に倣いながら進めるうちに、自分の個性を出すことが結果的に相手に役立つのだと気づいていきます。

さらに言うと、この3年間、コンサルタントとして活動してきて、お客様に役に立つコンテンツが何倍にも増えているのです。

自分の地を出しながらお客様と接していて、何気ない会話をしていると、こんなことも役に立つんだということが次々と出てくるのです。

自分にとっては当たり前と思っていることが、別の組織に行くと聞いたこともないことで、しかも、とても役立つものになるということです。

“暗黙知”といってもいいかもしれません。特に大企業の中で若いころに教えられて、それが世の中の常識だと思っていると、その企業の外では全く新しい情報だったりするのです。

これには私自身も驚きました。私は5回も転職しているので、会社の中での基礎知識や常識が企業間で差があることは、それなりに理解はしていましたが、ここまでとは思わなかったというのが正直な感想です。

どんな人でも、他人や他社に役立つコンテンツを必ず持っている。これはこの3年間で得た私の確信でもあります。

自分を徹底的に見直す、ということがこの記事の主テーマでもありますが、自分が持っている、自分でも気づかない暗黙知を掘り起こすことで社会貢献をすることが出来る、そして、その結果得られる報酬で、定年後も稼ぎ続けることが出来ることを、できるだけ多くの人に早く気付いて欲しいと切に願います。


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