売れてない芸人が1000冊本読んでみた結果

はじめに

僕のことを知らない人にも読んで欲しいので自己紹介から。知ってるよって人はここ飛ばしてもらって大丈夫です。
僕「カモシダせぶん」は、松竹芸能に所属してるピン芸人。
日々ネタライブで切磋琢磨してたりしてますが、お笑いだけでは生活ができないため、書店でも働いています。
【書店員芸人】という肩書を自ら作ってライブに出たり、ライブを開いたり、たまにテレビに出させてもらったりもしてます。
この記事はそんな僕が
2013年4月4日から、2022年12月15日までアメーバブログで
合計1000冊の本の感想を書いたことで「わかったこと」を書いてます。
1000件も書いたから、1件1円分くらいのお金は欲しい。そういう浅ましい気持ちもあります。この時点で1000円出してもいいよーって方、一番下の有料部分を早々にポチってください。

なぜ読んだ本の感想をブログにあげはじめたか

きっかけは2013年の2月ぐらいに、ある先輩と飲みの席で「何かネタ以外の発信もした方が後々得だよ、ブログに読んだ本の感想記録書いたら?」と親身になって言われたこと。
その先輩は当時お笑いシーンでネクストブレイクな注目をされてて、ネタをやって滑ってる所一切見ない。そんな状態でした。だからその先輩からネタじゃないこともやれって言われたのがめちゃくちゃ意外だったのを覚えています。余計なことせずネタだけに集中しろと言われても全然納得しましたし。
大事なのは、ネタ以外の発信「も」というポイント。その先輩曰く
「芸人にとってネタは【縦】ネタ以外でTVで使える能力は【横】だ。まず売れるフィールドに入るには縦の力が絶対必要、それまでいくら横のことをやっていても結局戦ってる所が、下の場所だから意味がない。ただ、縦の力でようやく売れる入口に入っても、今度横の力が無いとどんどんTVから消えていく。だから売れるには【縦】も【横】も両方やっとけ」
このアドバイスが響いたのはその先輩自体が元々書店員だったのもあるかもしれません。先輩自身も当時しっかりアメブロで趣味をアピールしていたのも大きい。この先輩、僕にアドバイスした年、あるコンテストで決勝に行きました。そこで優勝こそ逃したものの、その先輩が元々持ってる特技でめちゃくちゃTV出て完全売れっ子安泰コースに入りました。ちなみにその特技と言うのは元書店員なの全く表に出してません。た、多才だなぁ……。僕の中でこんなにわかりやすく有言実行した芸人もいません。あまりに売れすぎてその先輩とは疎遠気味になりましたが、今でも尊敬してます。
ともあれ、僕と言う人間は飽き性な性格で、芸人以外はろくに続いたことが無かったんですが読書はホント昔から好きだしこの時既に書店で働いたのもあったので、続くかもーと軽い気持ちで始めました。
最初の1冊目は『四畳半神話大系』

今見返すとこの時期は文末に☆つけてるブームみたい。昔の自分ダサッ、こわっ。
ここから週1(木曜)で上げていたのですが特技で速読が出来るのと、ほんの少しだけ、1ミリだけ強制力があった方が仕事感も出るだろうと思い、結構早い段階で週2(木、日)にしました。これのおかげで分厚い長編小説読んでて物理的に締め切り間に合わない時、絵本や電子書籍iBooksの無料短編小説(数ページから20ページくらいまでの)の感想をあげるという技を身に付けました。結果的に読む幅が広がった気がします。サボりではないです。
そんなこんなで「売れてない時間の合間に本を読んで感想をアメブロにあげる生活」が始まりました。いきなり黄金伝説みたいな言い方ですいません。


1000冊の感想をブログにあげてわかったこと(光)

この9年、感想をあげ続けることで書店員芸人という肩書のモチベーションは確実に上がりました。
おかげで本にまつわるお仕事を沢山やらせてもらいました。折角なのでまとめてみます。かき集めたお仕事のまとめなので、そんなつもりはないですが「自慢話はごめんだよっ!」って方は人の不幸でメシが美味い!メシウマ!な気分になる(暗部)の記事だけ読んでください。

TVやラジオ、Youtubeなどのメディア出演

【朝、お昼のTV番組で本や、マンガの紹介】
・スッキリ(直木賞や芥川賞、本屋大賞の受賞作の紹介で複数回出演)
・グッド!モーニング(Webマンガ雑誌、ジャンプ+の紹介)
・ヒルナンデス!(オススメマンガの紹介)
めちゃイケ育ちなので極楽とんぼ加藤さんの番組、ウリナリや笑う犬育ちなのでウッチャンナンチャン南原さんの番組に出れたのは胸アツでした。
グッド!モーニングの収録はたっぷりサシで安藤萌々アナウンサーと喋ったのが印象深い。
こういったプレゼンでのTV出演は時間がそこまで長いわけじゃないので正確に伝えて、ネットで炎上しないよう祈ってます。僕だけが叩かれる訳じゃなく、その紹介した本に関わる人たちに迷惑かけたくないので……。
どの番組も凄い優しいスタッフさんばかりで、例えばヒルナンデス!では当時連載が終わって数年経ってるマンガ『ビューティフルピープル・パーフェクトワールド』を僕のゴリ押しで紹介させてもらいましたし(基本僕以外のプレゼンターは連載中の作品でした)スッキリで直木賞の『テスカトリポカ』の紹介の時に結構ダーティな内容だったので、どうやって朝の情報に向いてるプレゼンになるか、しっかり編集されてオンエアになってたので感動しました。情報バラエティ番組は「広い層に向けて」作られてるんだと毎回実感します。また出たいです。

【ゴールデン特番の企画コーナーで優勝する】
・上田晋也の芸人トーク検定
フジテレビの特番、MCくりぃむしちゅー上田さん。売れっ子芸人さん達による通常トークパートとは別で「令和のうんちく王を探せ」のコーナーで出演、夜景や高校野球など様々なジャンルに詳しい芸人さんを集めて、誰が令和のうんちく王に相応しいか決めようという趣旨。
僕、出番がトップバッター、しかも最初に出したうんちくが上田さんに「それ知ってるよ!」とツッコまれる大逆風でしたが、負けじと次のうんちくで上田さん含め出演者の感心をゲット。更に他の人のうんちくが終わった後、上田さんが「他にこのテーマで喋れる人いるー?」というパスにも積極的に挙手して、そのテーマにまつわる本の話を披露。
いやお笑いライブやバラエティ番組でこんなに前出た事ない!!なのに急に「ええい!ままよ!」と特攻精神になってました。それが優勝に繋がったのかもしれません。こんないい番組でコーナー優勝できるなんて……本当に嬉しかったです。何せ僕はボキャブラ天国育ちなので……。
お前さっきからずっと言ってるけど何育ちだと思ったあなた。すいません、まとめると90年代&2000年代前半TV育ちなんです。
そこで見ていたTVの中のスターたちと共演できた。本はこんな夢を叶えるパワーも持ってるんですね……

【ネット番組とYoutube出演】
・AP SFcon(ビリビリ動画、PC推奨)

・大堀商事小島事業部新人バイトゆう歩(Pigoo TV)

https://ondemand.pigoo.jp/products/detail.php?product_id=39373


・2分59秒(AbemaTV)

・千原ジュニアYoutube

・NABE


全てここ1年での出演。個人的に時代の流れを物凄く感じました。メディアの出方の変化というか……特にこの5つのお仕事はエネルギーを大爆発させてそのまま流してもらいました。

中国最大のオンラインSF大会、AP SFcon。これは、まぁ僕の家が前に太陽光線が原因で火事になった時にたまたま持っていたのが、太陽光線で星が滅亡する中国のSF小説『三体』だったというエピソードが中国まで伝わったことで出れたんですが……でも毎週話題の本を読もうというアンテナがあったから三体を買った訳で。そう考えるとブログ書いてなかったらただ家燃えてただけかもしれません。悲惨すぎるだろ。ただ家燃えてるって……『三体』の著者や、映画「砂の惑星」の監督も出てたのもあって5万人以上に見られてました。規模でかすぎて未だにピンと来てません。

大堀商事小島事業部新人バイトゆう歩。担当の放送作家さんが昔からお世話になってる方だったんですが「山ほど本持ってきて」と頼まれたので雪が積もってる中、スーツケースに山ほど本を入れて現場入りしました。で、収録始まると出演者の皆さんが兎に角自由にやらせてくれる。台本の進行も大分早い段階で本の紹介まで繋げてくれました。大体今まで本を紹介するって1冊か多くて3冊とかだったんですが初めて10冊以上紹介しました。これは自分にとってかなり経験値が高いお仕事で後々凄い役に立ちました。今思うと日本にいる小島瑠璃子さんとご一緒できたのも貴重。

2分59秒。番組タイトルそのままに3分でスピーチする番組、MC千原ジュニアさん、佐々木久美さん。プレゼンターは僕以外はゾフィー上田さん、ティモンディ前田さん、東京ホテイソンのショーゴさんとグレープカンパニーの売れっ子ばかり。知名度のない自分は活躍できるだろうかと不安でしたが、最終的にMCお二人の心に残った本に選ばれて心底ホッとしました。プレゼンの数こなしてた甲斐があった……。
またこの共演がきっかけで千原ジュニアさんのYoutubeに出演、サシでの共演。本当にジュニアさんには頭が上がりません。しかもここでも大好きな本を大量に紹介させてもらいました。反響がとんでもなかったです、特に芸人さんからあんなに「見たよ!」と言われたのは初めて。ジュニアさんの凄さを改めて実感しました。コメントも好意的なものが多くて中には「喋りがうるさい」というコメントもありましたが、ジュニアさんの番組なのに僕の方が喋ってる時間が多いとんでもない回なので仰る通りとしか言いようがない……。今年一番緊張したお仕事だったなぁ。

NABE。Z世代の方々と共演。NHKのネット生配信1時間、更に5分に濃縮編集されて地上波に。かなり今どきな放送スタイル。1時間生で出っぱなしというのも良い経験でした。あとは全然読書の習慣のないZ世代の人達に、どう読書の良さを伝えるか。相手のリアクションを見ながらこちらも学習できた良い機会でもありましたね。僕は「ゆとり世代」と言われて若者ぶってましたが、Z世代とは10も離れている。すっかりおじさんだ……。NHKはこれまでラジオだけだったので地上波もネット放送も出たことで声以外のカモシダを16年目にしてお届けできました。

【ラジオ出演、主にプレゼン対決】
・NHKジャーナル
・ラジオDEビブリオバトル
・上地由真のワンダーユーマン
この後の【イベント】の章にも書いていますが、本のプレゼン対決ビブリオバトルのプレイヤーとして出演。ビブリオバトルで戦う時に、プレゼンの技術や選書は勿論「どの層のお客様に向けて」プレゼンするかが大事。
NHKの方では元ドラえもんの声優、大山のぶ代さんのエッセイを紹介。リスナーの方からの投票で敗北。「皆、水田わさびさん世代なのかな……」と思ったんですが視聴者メールを聞くとそもそものぶ代さん時代もTV見てないもっと上の方が多い番組でした。流石NHK……その世代にもしっかり刺さるプレゼンしたい。
長崎の放送局NBCラジオさんでのラジオDEビブリオバトル、こちらもご縁あって数年前から年1で出させてもらってます。あんまりない年1レギュラーの番組。こちらのビブリオバトルは長崎の学生さんたちに向けてリモート収録。如何に平成生まれ、令和育ちに刺さるかが勝負。一回優勝して「まだまだ自分も若者!」と調子づいたんですがその後は勝てず……もっと若い人に何が良いのか、研究せねば……
2番組で、両極の世代に対してのプレゼンになったので凄く参考になりました。ビブリオバトルもっと広まって全世代の人達が読みたい本に栞を入れて投票する番組「爆読みたい!ビブリオオンエアバトル」が始まってほしいです。500栞オーバーで優勝したい。
上地由真のワンダーユーマンに関しては、書店員芸人をがっつり掘り下げてくれたゲスト出演。エピソード全弾放出しました。優しい現場で良かった……。書店員のエプロンじゃなくて何故かご陽気なアロハシャツで収録したことが心残り。


書き物

ブログやTwitterを更新し続けたおかげか、執筆のお仕事もいくつかさせてもらいました。書店員芸人としてコラムを
・TVナビ増刊 Bananavi
・小説すばる
書店員「鴨志田道秋」名義で書評を
・プレシャス
・SPA!
・私のドゥマゴ文学賞
等で書かせてもらいました。ありがたい~。アメブロとは勿論勝手は違うのでそれぞれの文章の「固さ」にも早く慣れていきたい。
マンガの原作もやりました、ネットマンガ雑誌の老舗、ガンガンオンラインさんで。

『ディベートショーダウン』

これは1年以上かけた思い出深いお仕事……。載るまでに家全焼、コロナ禍突入を乗り越えた思い出深いお仕事……。連載目指してたんですがそこまで甘くはなかったですな。マンガ家の皆さんをより尊敬しました。

そして電子書籍でエッセイ出版。1冊丸々カモシダせぶん。僕に声かけてくださった出版社「代官山ブックス」さんは漢気が凄い。未だ絶賛発売中、ご興味あれば。2020年までの僕のこと全部書いてます。この記事もできるだけこのエッセイと文章被らないよう気を付けているので。

『書店員芸人~僕と本屋と本とのホントの話~』499円

大分久しぶりにレビュー見たら、つい最近☆5が付いてて嬉しい。ただレビュータイトル「不思議と泣けます」……芸人のエッセイなのに涙腺を刺激してしまったことの申し訳なさで嬉しかったんですがこっちも泣きそうになりました。感謝の気持ち100ですよ。

仕事では無いですが、読むのが楽しくなって思い切って小説を書いて出版社の章に応募しました、入選ならず最終選考。初投稿だったので名前があるだけラッキー。かなりショートな小説でもネタ書くより100倍パワーがいると知れました。小説家さんすげー!最終選考止まりですがこちらで読めます。


イベント

書店員芸人をやり続けたことで出会えた素敵な縁の一つに本のプレゼン対決【ビブリオバトル】があります。

松竹芸人の中でやったビブリオバトルで優勝したことで、ビブリオバトルの面白さに出会い、それがきっかけで他事務所の芸人さんを交えた本好き芸人の主催を始めました。秋葉原ZERO-Gの「読者たちの集い」を毎月開催。ライブハウスロフトグループの「読者たちの夜会」を不定期開催。
このライブのおかげで、今までネタライブで会っても昔から深い知り合いじゃないし、実力離れすぎて緊張していた芸人さんとフランクに本の話をすることが出来ました。(エル・カブキのエル上田さん、ヒコロヒー、ゾフィー上田さん、オジンオズボーン篠宮さん 等)芸人さんが好きな本はその芸人さんの芸風にも影響してるなという発見が毎回あります。今は読者たちの集いを一旦閉じて毎月ではなくリニューアルで色々やろうと考えています。

公式のビブリオバトル全国大会の司会もやらせてもらえるようになりました。(大学、高校の部)

ここで出会った学生さん、作家さんとは今も仲良くさせてもらってる人もいて、本当にビブリオバトルは縁を感じます。あと上記の高校生大会で起きてるハプニングは、この日ゲストに来てた岡崎琢磨先生が素晴らしいフィクションミステリーにしています。是非こちらも読んでほしい。僕もあとがきに名前載ってます。

今年は松竹の事務所ライブで僕仕切りの読書芸人ライブ【ブックブックこんにちわ】も開催。15年松竹にいて初主催、感慨深かったです。お客様も沢山来てもらって嬉しかったな……またやりたい……

いざまとめてみると、お仕事はやっぱり増えた気がします。実は僕、書店員芸人の前にも、ウクレレをやってたり、他の趣味のアピールもしていた時期もあったんですがここまで仕事にはなりませんでした。書店員芸人だけがこんなに仕事になったのは、ひとえに「習慣」の力だと思います。
週に2冊本の感想をあげる。これを本当に9年間以上、どんなことがあっても欠かさなかったです。
別にお仕事の関係者がアメブロを読んで僕にお仕事を振ってくれたことは実はないんです。だけど習慣が「本を読んでる自信」をつけて他のSNSやトークでアピールすることが出来て、それまでやれなかったお仕事ができた。それが大体100冊ぐらいの時期ですかね。著者の方や編集の方にも反応してもらえるようになりました。
そして今年、1000冊近くあげた、1冊の時よりも、100冊の時よりも、ちゃんと膨れ上がった潜在的な自信のおかげで、ゴールデン特番で優勝やジュニアさんとサシで喋る。これが成功したのかなと思います。ジュニアさんのYoutube見た後輩に「あんなに流暢に喋るカモシダさん初めて見ました!本のことだからバンバン言葉が出てくるんですね!お笑いライブで見た事無い!!」と驚かれたほどです。悲しい誉め言葉です。
習慣は自信。これが、わかったことの一つです。

1000冊の感想をブログにあげてわかったこと(暗部)

はじめに言っておきます。マジで暗いこと書きます。気落ちしたくない方はここ飛ばしてもらった方が良いです。

客観的に分析してるところでもあるのでシンプルに興味ある方、もしくは「自分も何か書き物とか片手間で続けれそうなの始めてみようかな~」「○○芸人になってみたいな〜」という若手芸人の方の得になる章になればと思います。

カモシダざまぁ民の方、お待たせしました。

この9年、ブログに本の感想を上げ続けましたが

【芸人として全く売れませんでした】

まぁ、それはそうですよね。別にブログに本の感想を載せるって

「面白いこと」ではないしな……ただ問題なのは

【殆どお金も稼げてない】

というところです。上述のメディア出演やコラムなどの書き仕事、勿論ギャラもありますが、まとまって入った月で10万もいかない。

前に面白いしめちゃ努力してる先輩から「そんな活動してたらご飯食えてるでしょ?」と素で聞かれたんですが、その月の僕のお笑い芸人としての収入は2000円でした。僕より何倍も何倍も面白いその先輩は8万でした。僕の収入は妥当だし、先輩はもっともらっててほしい。

ようするに書店員芸人として「食えたこと」は無かったです。更にライブも主催はしてましたが

黒字になったライブはこの4年あまりでほぼ0です。むしろ毎回赤字。あと普通にプレゼンで他の出演者に負けてる。

そして、これだけ1000冊紹介してるって大々的に書いているのに

ブログが全くアクセスされてない……

つい最近12月10日のアクセス数、10人……終わってる、マジで終わってる……

どうしてこうなってるか、自分なりに分析してみました。

まず〖アメブロのアクセス数が少ない〗ことに関しては

文才がない。僕は毎回「本の感想」と書いていて決して「書評」とは主張してないです。見返してもあまりにも文字数少ないし、芸人なのにボケてる頻度もかなり低いし……中途半端なものを週2であげてるなぁ。まぁそもそも文才だけがアクセス数に関係ある訳ではなく。

僕自体に興味をもつ人たちを数年かけて増やせてない。

ここが大きな問題だと思います。

これは〖プレゼンが他の芸人に比べて弱い〗という部分に繋がってくるんですが

そもそも僕は本の紹介をする時に「面白い本を紹介しよう」というのを芯に置いてます。

ここが実は芸人としては違くて「面白い本を紹介しよう」ではなく

「本を面白く紹介しよう」が芯なんですよね……これが正解なのはもうだいぶ前から分かってるんですが、できない。

どうしても本を読んで、紹介したい本は

この本、自分より圧倒的に面白いな……としか思えないんですよね。本に限らず芸人として負け犬根性が染みつきすぎてるんですよ。

だからきちんと自分自身もPRできてるプレゼンに負ける。

結果、本に興味を持ったとしても、僕自身に興味を持たれない。

僕、実はオンラインサロンのお仕事を去年からやらせてもらってまして、そこの運営の人が僕のTwitterのフォロワー数から、これぐらい入会してくれるでしょう!と期待した人数、蓋開けたらその10分の1もいってませんでした……つまりこれも僕ではなく、本の情報にしか興味を持たれてないってことなんですよね……

〖ライブにお客さん来ない問題〗4年間も続けた月1読書芸人トークライブ「読者たちの集い」は、ずーーっと集客に苦労してました。

これは僕の不人気も当然ありますが

そもそも、読書とお笑いライブは相性が悪い……というのも最近わかりました。ある雑誌に某有名番組のプロデューサーのインタビュー記事があって

「いつもお客さんをいれてたスタジオの収録、テーマが読書の時に、その番組史上1、2を争うぐらい盛り上がらなかった」

衝撃を受けました……えっ、テレビの超人気者が出てても皆、興味持てないの?……

お笑いは砕けてるもので、読書は固いもの、未だにそういうイメージが根強くあるのか……

それを若手だけでやって成功させる、それは本当に大変なことなんだと痛感してます。こんなこと不器用な自分には難しすぎる。

そう、不器用なんですよ。とにかくもし器用だったら、この時代、ネタが弱くても、縦がなくても、ブログやライブも上手くいって

【殆どお金も稼げてない】なんてことは無いんですよ。結局マンガ原作も連載までいかなかったし……ガンガンオンラインという看板は嬉しかったけど、1年半もかけて手にしたのは1か月のバイト代以下。
この前もテレビ朝日さんの番組「まんが未知」でマンガ原作連載オーディションなる企画出たけど結局ダメだったし……およよですわ。

「YouTube自分でやりなよ」これも良く言われました。だけど僕、別の企画で数年前編集のソフトを買って、動画をあげてたんですが

これがトコトン向いてない。時間はかかるし、他のメンバーからは毎日ダメ出し、涙流して低クオリティの動画を出す。なのでもう僕は上げない事に。

もう二度とやりたくない。なのでYouTubeを自分でやることは頑なに拒否してました。そうこうしてる内にジュニアさんのチャンネルに呼ばれる、この時もし自分のチャンネルがあったらご飯食べれるほど登録者数や再生数上がってたかもしれないのに。

書店員芸人なんて肩書、器用な人がやるべきだなぁ。とずっと思ってます。

本当に不器用で、不器用が故に笑ってくれる優しいお客様や僕よりずっと面白い仲間もいます。

ある日、ライブの打ち上げで尊敬してる後輩から皮肉でもなんでもなく真剣に言われました。

「カモシダさんの良さ、邪魔してるの、書店員芸人かもしれないですよ。その変に真面目な仮面剥がした方がいいですよ」

やるべきなの、こっちじゃなかったかな……いやブログは書きながらも絶対もっとネタも頑張れた気はする。

この9年、コンビを2回も解散してしました。芸歴15年、34歳。これでこの有様、崖っぷちすぎます。もう崖から落ちてるんじゃないかとすら思う日もあります。

こんなことになった原因の一つに、アメブロを上げる時「これも労力を使う仕事だ」と思っていた自分がいたのもあったと思います。ブログあげたから今日仕事したという達成感。先に書いた通り、そんなクオリティで更新してないんだからアメブロを書くのは息吸って吐く、これぐらいの気持ちでやるべきだった。そしたらもっとネタ作りに集中できてたんだろうな。不器用とサボり心が自分をダメにしていた。

結局、副業芸人がご飯食べれるようになったこの時代でも、不器用な自分は先輩の言う通りネタが上手くいってないと芸人としてピンとこない位置にしかいけてません。そりゃあ最初に【芸人として全く売れませんでした】ってクソださい宣言するよな……

昔はネタ以外のこともしてる芸人はヨゴレと言われたりもしました。今はそんなこともないですが、時代がまた昔の様にネタ至上主義になる可能性もあるだろうなとも思いますし、そうなっても全然嫌な気持ちはしません。ネタ、好きだし。ただそうなったら僕、結構ゲームオーバーだ……運を天に任せてます。

ブログに1000冊の感想あげたけど、もっと器用な芸人さんがやったらご飯が食えたんだろうな……これがわかったことの一つです。

特に思い出に残ってる3冊

折角なので自分のブログ見返して書いた時期が印象に残ってる記事を3つ紹介します。記事も見て、気になったら本も読んでいただければ。それぞれ、ミステリ、エッセイ、SFです。

『5A73』 詠坂雄二

一見関連性の無い自殺体、彼らには見慣れない漢字【暃】のタトゥーシールが貼ってあった。

この字は存在するが読みや出所が不明の「幽霊文字」

唯一の共通項であるこの一字に二人の刑事が翻弄され、そしてまた新たな自殺が……

といったお話。

今年出た詠坂雄二先生の新作。詠坂先生は、僕が胸を張って一番好きと言えるし

一番救われた小説家でもあります。と、いうのも僕がビブリオバトルで紹介したのが詠坂雄二先生のTVゲームミステリ「インサート・コイン(ズ)」

このプレゼンで優勝できたことで「書店員芸人」と名乗れたなという大きいターニングポイント、本当に感謝しきれません。

そこから幾年も経ち、ビブリオバトルを何十回もやったんですが、詠坂作品を紹介することはほぼありませんでした。

大好きだから、本当に大好きだから、これで1位以外取ったらマジで嫌だし申し訳ないなと……

ですが今年、千原ジュニアさんのYouTubeで「面白い本だったらなんでも紹介していいよ!」というリクエストだったので思い切って詠坂作品の最新作『5A73』を持っていきました。

20作近く紹介して、ジュニアさんが気になった4冊を選んでくださったんですが、その中に『5A73』が!!

嬉しかった、本当に嬉しかった。初めて『インサート・コイン(ズ)』で優勝した時のあの感覚を思い出しました。

詠坂雄二の小説が何故好きなのか。

一番は挑戦的なところ。それはこの小説でいう「幽霊文字」のような他の小説に無い設定、という意味もありますが、もっとマクロに「お前が読んでいるのは果たしてミステリなのか?」みたいなところも覆してくる。この読者に対しても、小説の常識に対しても鋭さが常にある。ハイパー尖っている小説なんです。

そして人間の暗い部分を無理に明るくせず、暗いまま肯定してくれるところ。インチキ臭いポジティブ自己啓発本よりも読後元気になります。根暗の味方。あとはデビュー年が僕と同じ2007年なのも勝手にシンパシー感じてます。

これからもずっと追い続けたい、同じ小説の単行本も文庫本も買いたい唯一の作家さんです。 

『変なおじさん 完全版』 志村けん

志村さんの、幼少期のすべらない話や、ドリフの裏話、ギャグや芸名のルーツなどが書いてあるかなり興味津々で読める本です。

僕がこの記事を上げたのはR-1ぐらんぷり三回戦に進んだ日。

最初のコンビで「面白くない方」と呼ばれて、解散したら案の定上手くいかない。芸人として本当に自信が無かった時期でした。

その時期に数年ぶりにR-1一回戦突破、さらに初めて三回戦に行けたことでかなり感傷にふけっていた日だったのを覚えています。

僕、ドリフさんがこの世で一番好きな芸人さんって訳ではないんですが(全DVD持ってるとかメンバー皆さんの舞台毎回見にいく、5分に1回ヒゲダンスをするほどの熱は無いですという意味)

でも僕もしっかりドリフさんがTVでドリフ大爆笑の新作をやってた世代で「バカ殿」は毎回めちゃくちゃ楽しみにしていました。

人生で一番最初に人前でやったネタ、志村さんのひとみ婆さんの完コピだったの覚えてます。小5かな。

世代じゃないけど8時だョ!全員集合のDVDボックス、お年玉で買ったな……

やっぱ周りの子どもよりはドリフや志村さん好きだったな自分。

養成所に入った時、当時の相方に「バカ殿で家臣候補に勢いある若手がやってくるネタあるじゃん、あれに出るのが目標」とよく言ってました。

そしてそれは口に出さなくなっても、ずっと目標でした。

売れる前に志村さん死んだら、辞めよう。本気でそう思ってました。

だってTVに映ってる志村けん、めちゃくちゃ元気そうだもん。そういう安心から来る甘えでした。遠い先だろうって。

志村さん、死んじゃったなぁ……ぶっちゃけ家で2日間ぐらい泣いてました。自分のお笑いの夢、もう絶対叶わないんだって。

でも、やっている。やっているなら、もう売れないと。僕はどちらかというとコントが、特にキャラコントを作るのが好きで、それはやっぱり関東で、志村さんで育ってるのもあるなぁと思います。

湿っぽい話になりましたが、とにかく、読んでほしい。ふざけ過ぎるエピソードも真面目過ぎるエピソードも、突き抜けてる。

このエッセイ、変なんです!

是非。

『know』 野崎まど


近未来、人類の脳には「電子葉」という機械臓器が皆手術で埋められてて

この電子葉が常にオンラインで、様々な情報を仕入れてくるという世界

その仕入れられる情報にはランクがあり、情報庁に勤めてる事でそのランクが高い主人公。

なんでも人や土地の個人情報を読める主人公が、自分の師である「電子葉」の作者の教授から紹介された1人の少女「知ル」

知ルは、主人公よりも何故か圧倒的に情報収集に長けてて…と言った話。

最近自分は「知る」ってことがとても好きなんじゃないかなと思っていて

「面白い」も「知る」の中に入る行為なんじゃないかなと。

ネタやトークでは「この状況や、この言葉の組み合わせのシーン、見た事無い!新鮮!」ってなると笑えたりします。これってつまりそのシーンを知ったことで生まれる感情じゃないのかなーと。

もしくはネタの中で「知ってる!確かにそう思うわー!」となる、いわゆるあるあるネタも面白いわけで、何かを楽しむには知識が必要なこともありますね。

知るって勉強が出来るとも違います、中学時代、僕の周りで一番勉強が出来なかった怖いヤンキーの友達はカニエウエストとか自転車のパフォーマンスのBMXとか、この地域で誰が少年刑務所に入ってるかとか、マンガの『クローズ』とか教えてくれました。彼は勉強が出来る友達より知識あったと思います。

話大分ずれましたが、僕は『know』の世界ではある程度の具体的な知識は特権制になってる、という設定が好きで

電脳世界なのでここでいう知識は普通の「見る、聞く」よりも脳に直接インストールすることで「体験」に近い経験になっている。

僕は子供の時から「TVで活躍するお笑いタレント」にハイパー憧れています。

この世界にいると、そんなTVの裏側の超面白ゴシップを聞いたりします。ゴシップも好きなんで面白がれますが(しかも芸人さんが面白く盛っているので事実より笑えたりする)

でも実際にその場を体験したいなーと強く思います。「売れてる」を知りたいんです。

嫌なこともいっぱい知りました。自分が好きだった先輩がしょうもないことをしてる。ってのもありましたし、もっときついのは

自分が尊敬してる芸人さんが自分のことを嫌い、もしくはクソつまんないと知ってしまった時。

当然ショック、ショックなんですが、ほんのちょっと、1ミリだけ

「知れた喜び」があったりします。

知らない方がいいこともある。という言葉がありますが

僕自身は「知って悪いこともあるけど同時に、知ること自体は別にいいこと」と思ってます。

そして上にも書きましたが見聞きするより、実際の体験のが知識の質は上

お客さんをしっかりほぼ100%笑わせる方法

毎日TV局に行く大変さ

早く知りたいです。「知識」で強大な相手に戦っていくこのSF小説を読めば。

あなたも「知りたいこと」ができるはずです。

終わりに

いかがでしたか?
いかがでしたか?って最後にくると、まとめブログっぽくて嫌ですね。僕みたいなもんですらTV出た後何回か不正確なまとめブログが立ち上がっててビビりました。

この書店、全部外してるよ!!

本題、芸人が売れてない時期に1000冊アメブロに感想あげてわかったこと
「芸人として」良かったか、悪かったか

わからないです。正直「売れてない」で1000冊来ちゃったか……のショックはめちゃくちゃ大きいです。数年前までブログ更新しながら
売れてないまま1000冊まで行ってしまったら引退してみじめでどうしようもない人生でも歩むか……と何回か思っていたので。
でも、いざ1000冊まで行くと、1000冊って書店員芸人としては普通に大きい名刺な気もするし。
お笑い芸人としてこの書店員芸人をかなぐり捨てる場面の時、1000冊も紹介してるのに!と叫んだ方がバカバカしく見える気がしてきました。
なので、芸人は続けます。少なくとも1000冊を振りかざして何かになるか見てみたいし、まだネタが出来る体力とメンタルは残っているので。それも長い期間ではないですが……ここからが本当の意味でのラストチャンス(byサムシングエルス)です。

あ、因みに(暗部)で少し書いてましたが頑なに拒否してたYoutubeチャンネル、実は準備中です。ただ、自分一人で編集ではなく、ある仲間と一緒に作ってます。縁に感謝。完全に期を逃しましたが開設した際はチャンネル登録、高評価、お願いしまーす(テンプレ)

「芸人として」ではなく、1000冊アメブロにあげてわかったことは

本って、めちゃくちゃ面白い。

本って、めちゃくちゃ味方してくれる。心の栄養。

本って、僕にとって出会えて良かった大切なもの。家火事になって3000冊燃えたって心の中にずっとあるもの。(つよがり)

それが、今、本当にこの記事を書いている今、わかりました。

売れたいなぁという気持ちと、皆さんにとっての「大切な1冊」が見つかればいいなぁという気持ちで1000冊の紹介書きました。良かったら覗いてみてください。

1000冊書いた、頑張ったなぁ。結果はどうあれ流石に色んな意味で頑張ったとは思う。

1000円欲しいなぁ、下記の有料部分買ってほしいなぁ。

諸事情で消した幻の感想ブログの話(有料)

あくまで、この記事全体に1000円の価値があったと判断してくれた人のための文で、この有料部分がめちゃんこ有益ということではないのでご了承ください。

さて、問題のブログで取り上げていた本ですが

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1,640字

¥ 1,000

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