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「今日は誰と食べようか」

食事をつくるようになってから、人を誘うことができるようになりました。
お隣さんへのお裾分け、もいいんだけど、できたてを一緒に食べるのがやっぱり幸福度が高い。

「今日は誰と食べようか」

「何を」に悩まない、こんな贅沢な悩み方ができる現代の豊かさにまず感謝せねばなりません。

食事の場がもつ健康へ寄与する力は計り知れません。
WHOが定義する「健康」には3つの要素があって、それぞれ肉体的健康、精神的健康、社会的健康とされています。
この3要素が満たされた状態を「健康」と定義します。
病気かどうかが「健康」を決めるわけではないのです。

肉体的健康は、食事と健康と言われたときに多くの人が真っ先に思い浮かべる「何を食べるか」に近い部分です。
睡眠や運動が身体の機能や筋肉にとってどのように作用するかもここに含まれます。

精神的健康は、文字通りこころの状態に左右されます。
気力やストレスによるということで、肉体的健康とも、後に述べる社会的健康にも大きく影響を受けるものです。

社会的健康は、その人が社会の中に居場所を感じられているかで決まります。
自己効力感(self-efficacy)、自分が力を発揮できていると認識することによる満足感や、自己有用感(self-usefulness)、他者との関係性において役に立った、喜んでもらえたという感情から得られる安心感などがあります。

精神的健康の部分で述べたように、それぞれの要素がそれぞれと影響し合っているのがポイントです。
気分が落ち込んでいる時は食べものを食べることすらできない。
1人で食べることが気持ちを落ち込ませる。
景色のいい場所で食べる食事はいつもより美味しい、などなど。

食事の「場」に関心を持つ私は、個人的には精神的健康と社会的健康に強く価値を感じて探求しています。
「何を」だけでは人の「健康」は達成できない。
一方で精神的健康や社会的健康は数値に反映しづらいから、分かりづらい。
禅的に申し上げれば経験こそ認識の基盤であり、数値に頼りがちな世の中に、厚みのある経験という名の土壌を敷いていくお手伝いが必要とされていると考えています。


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