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ペイシェントボイスカフェ(乳がん・再発あり)

【日程】
2023.1.7

【ゲスト】
篠崎 由紀子さん

【イベント紹介】
患者と医療を繋ぐ活動の一環である。
薬剤師他、医療関係者が患者さんの実際のお話しを聴くことで、患者視点や想いを知り、臨床における薬剤師の発想を広げてコミュニケーション能力向上へ繋げていただくことを目的にしている。
また、参加者同士の交流の場としても機能している。


(1)    自分のがん治療歴と治療と仕事を両立するための組織づくりについて

組織づくりについて
特別な配慮を必要とする労働者のための休暇制度を作ったものの企業のうち
ピックアップされたもの
>ケース01が私の職場に該当する

【乳がんの治療歴】

令和元年9月:浸潤性乳管がんルミナールA型
~令和2年3月;レトロゾール(術前ホルモン)
~令和4年5月:左乳房全摘、レトロゾール10年間で終わりだと言われた

がんは治療しながら働く時代というCMを思いだし、
自分の体験を元に、治療を続けながら職場づくり、自分は治療しながら働いていることを体現していこう
 ▽
がんで仕事が続けられなくて悩んでいる人達に
自分の知識を活かしていくことが「自分の天命」だ、と思った

【それぞれの立場で検証】

がん患者はどう思っているのだろう?
➀このまま仕事が続けられる?(退職させられる!?)
➁職場に迷惑が掛かるのではないか?(休み、遅刻、早退)
➂治療のための休暇、有給がほしい(既存の有給のみではカバーできない)

がん患者を抱えた事業主はどう思うのだろう?
事業者が知りたいこと
➀治療状況、就業に関する配慮、入院や治療の必要性と期間
➁業務内容と引き継ぎ
事業者の課題
➀業務の振り分けと偏りへの対応
➁安心して治療に専念できる有給休暇意外の休暇が必要

【検証結果を踏まえての対応策】

(1)     総務課職員に両立支援コーディネーター資格の取得
(2)     キャリアアップ助成金や、両立支援助成金を休職職員の社会保険料負担金、代替職員の人件費に充当
(3)     就業規則の改正:治療休暇(1年間に7日間有給)、失効年次有給休暇の積立(40日を限度として)
(4)     健康診断の追加検診(事業主全額負担):私が乳がんに罹患したことを伝えたことで、検診の必要性を訴えた(乳がんは女性職員全員、子宮癌は腫瘍マーカー)
(5)     両立支援体制の周知:就業規則、窓口案内、傷病手当金・高額療養費制度

【思ってもみなかった再発】

初めて「余命」宣告(目の前のシャッターが突然下りる感覚)
令和4年6月手術した側のリンパ節に転移(CT,MRIにて右肺にも5ミリのがん?)
医師から「乳がんの肺転移、原発の肺がんだと思う」と

手術の3日前に自分のお寺に行き相談
がん患者だからわかる仕事と治療の両立を考えることが天命だと思っていたけれど、
肺にも転移したし、そうじゃなかった
 ▽
結論を出すのはまだ早いのでは?
手術開始時間に合わせて成功と病気平癒を祈願するから、安心して

長く生きるだけが人生じゃない
人から感謝される生き方をしていきなさい
 ▽
令和4年7月21日
腋窩リンパ節郭清手術・胸腔鏡下肺部分切除手術
肺にあるものはがんではなく、細菌が壊死していたため、今後治療なしだった

【手術~退院、現在】
7月21日手術・当日ICU
7月23日病院廊下を825m歩く
7月29日の退院の日まで825m歩けた(通勤の目処だった)
翌日から通常通り仕事
連続月~金放射線治療始まり、
10月6日終わり

現在は分子標的薬とホルモン注射しながら通常通り勤務
リンパ浮腫を発症→弾性スリーブをつけて生活
荷物も手術した左で持たないようにしている

【薬剤師は何でも話せる相談仲間】

薬:分子標的薬を服用して1週間たちましたが、例えば食欲不振とか副作用ありますか?
患:食欲不振って何ですか?
薬:・・・
(となるくらいだった)

毎月採血結果を薬剤師に見せて、一緒に喜んでもらっている。また結果の見方を教えてもらいながら、暖かいことばを毎回かけてもらっている
>対応が丁寧だから1箇所の薬局で、やってもらっている

(2)    治療中の今、実感していること

がんは高額な医療費がかかる
医療者側、事業者が共通の認識をもつことが大切
医療の進歩により、社会のがんに対する認識のずれ、情報格差が大きい

がん治療はお金がかかる
抗がん剤治療をしていた人が、ある日から病院にこなくなって、しばらくして救急搬送されてがんがかなり進行しているケースがたくさんあることを知った

令和4年6月:検査代で6万ほか・・・
すべて限度額適用認定証を使用した上での金額
(分子標的薬でほぼいってしまう)

【薬剤師さんにお願いしたいこと】

がんと診断され、ショックを受けている患者に
>がんは治療しながら仕事ができる時代だと伝えて欲しい
>厚生労働省「企業、医療機関連携マニュアル」を薬剤師さんに全員に周知してほしい

「企業、医療機関連携マニュアル」

治療と仕事の両立支援:やり取りを行うためのマニュアル
>労働者からの申し出を起点とするが、医療機関などにおいて開始されることがある

高額薬剤がたくさんある
>一番よく知っているのが薬剤師
薬局で、患者が「この薬高いな」とこぼす人が居たら
セーフティーネットがあることを伝えてほしい

【質疑応答】

○令和4年の時、再発が分かったきっかけは何かあった?
 ▽
手術してから3~6ヶ月の通院で良いよと言われていたが、(安心するために)自分で毎月通院して触診してもらっていた。何だから脇のところがヒリヒリした。先生は、大丈夫だよと言ってくれたが、エコー掛けてくれて、半年前のレントゲンと比較してちょっと違ったようで、その場で徹底的に調べた結果。

○乳がんのカミングアウト時の周りの反応は?
 ▽
自分が総務課長であって、上司からはどのくらい休むの?とかは聞かれた。たいした事ないんでしょ?と。
半年間レトロゾールで薬が効くと思っていたから、自分で組織改革した。自分しかたぶんやらないだろうと思っていた。就業規則も制度もなかったから、次のなった人のために、乳がんとか何かなったときのためにやりました。

○検査項目に追加されたとあったが、それだけ女性多かったら会社負担も多いだろうから、上司から渋られたりとかはなかったのか?
 ▽
このときは1つは社会保険労務士という専門家であること、理事長が薬学博士でご実家が薬局もやっていた人。だから理事長が人のために、という人。組織を支えるものは上ではなく、従業員だと思っている人だった。
トップの考え方によって変わる。

○元々経済的余裕がない中で、分子標的薬が処方された時、患者さんと相談するのか?
 ▽
たぶん、初発の時にそういうケースがそういうことがあると思う。イブランスの時には、説明を受けた。がん保険に入っていたから、支払いができた。

【次回予告】

2月4日(19:00~20:30)
テーマ:高血圧・過活動膀胱
ゲスト:橋爪 博隆さん

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