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エッセイ#2 好きなものを好きだと言い続ける事

初めての1人飲み

初めて1人でバーへ行ったのは
飲み放題もある大きい店舗だった。

お酒について何も知らないのに
1人でカウンターに座ってた
訳のわからない私に、
バーテンダーさんは忙しくても
適当にあしらったりせず、
1から10まで教えてくださった。

それがどうしようもないくらい
楽しくて。

バーテンダーさんとは今でも
仲良くさせていただいている。
私にとってはキラキラした
お酒の世界の先生だ。

「バー開いてみない?」

学生専用のコワーキングスペースの
ような場所に行く機会があった。

統括している店長さんのおはなしを
聞くタイミングがあり
当時の私は、自分でお店を
開く気などさらさらなかったので
「みんなすごいなあ」くらいに
しか思っていなかった。

私は自分の話を促される度に
お酒が好きだと伝え続けた。
何が好きか、どこで飲むのか、
私にとってのお酒は何か。

すると店長さんから
思いもよらない言葉が出る。

「良かったらうちでバー開いてみない?」

実は1年前に似たような
間借り経営があったのだか、
学生の卒業により終了して
しまったらしい。
お酒を出せる企画を待っていたとの事。

"バーに行ってみたいけど
敷居高くて行けない"と思ってる人に
もっとお酒の広さと楽しさを
知って欲しいと思った。

私が見ているお酒の世界を
もっといろんな人に知って欲しかった。

私がキラキラしたお酒の先生と
出会えたように、誰かにとって
そんな場所になれたらいいと思った。
私の解答はYESだ。

Bar Glitter

お店を開くにあたって
決めなければならない事は
無数にある。
メニュー、コンセプト、SNS運用…
そして店名である。

私にとってバーは、酔って
騒いだりするのとは違い
キラキラしてて、自分が綺麗な
大人になれたように感じる場所だった。

だから煌めきや宝石という意味の
glitterを使った。

Bar  glitterの誕生である。


飲み放題時間無制限2000円。
お気軽に来れるようノーチャージ。
19:00-夜明けまで。

これが私のバーだ。経営面から言うと、
どこを切り取っても破綻している。
それでも良かった。
原価さえ回収出来れば利益は
いらなかった。

いやもちろん利益が出たら嬉しいのだけど。
お金を稼ぐことよりも
カクテルのある時間の楽しさを
知ってもらいたかった。

本番

そしてついに当日。こんなにも
不安が頭を占領したのはいつぶりだろう。

誰も来ないかもしれない、
美味しく作れないかもしれない、
原価回収すら出来ないかもしれない。
不安は尽きなかった。

しかし結果は大成功。
オープンからクローズまで、ほぼ満席状態。
私の大好きな人たちがみんな笑顔だった。
お酒楽しいとありったけの気持ちで
伝えてくれた。
自分がいかに人に恵まれているかを実感した。


間借りバーは、
好きなものを好きだと言い続ける事は、
幸せに繋がる。

次回はいつにしようか悩めることが
泣きたくなるほど幸せである。

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