見出し画像

華生ばかり #0037(無料)

 更新時間を考慮したうえで、おはようございます。吉川華生です。世間、不倫不倫とね。まぁーー連日すごいよね。シンプルに、何でそんなことすんの? 世間って言うか芸能界か。でも、こないだすごいニュース見たよ。PTAってあるじゃん。学校の。未だにPTAってものがどういう仕組みでどういう活動をしてるのかは知らないんだけど、友達の親とかが「PTAの役員になっちゃったよー、どうしよう、やだーー!」みたいに言ってたのは覚えてるな。で、そのPTAってのが、今や酒池肉林状態なんだってさ。(すべてのPTAがそうじゃないとは思うけど)その記事によれば「出会い系と違って相手の素性も分かってるから安心。(←何が?)乱交したりスワッピングすることで親睦が深まるし(←そんな方法でしか親睦深められないとしたら、その地域は色々破綻してるよ)仲良くなるきっかけにもなるんですよ(←だからさ)」みたいなこと言ってる人が何人もいるんだよ。

 いやもう、正気かと。こっちからしたら正気じゃないよ。完全にどうかしてるわ。ストレートに頭がおかしいと思う。相手の素性が分かってるからって、それがなんなの? それがもし安心材料なんだとしたら、そりゃ当人同士にとってだよね?(だとしても相手が一生墓場まで持ってく保証なんかないんだから、何が安心なのか本当に分かんないんだけど)子どものことは度外視してるってことでしょ? 相手の素性がばっちり分かってる方が子どもにとってはショックだろ。もしも子どもがそれを知ってしまった場合「出会い系で知り合った、正体不明のゆきずりの人」の方が絶対マシだよ。お隣に住んでるお友達のご両親と自分の両親が、PTAの集まりとかいう名目で夜な夜なスワッピングだ乱交だってやってたら、そんなもん男の子なら性に目覚める前にED、女の子なら性というものに一生拒絶反応出るわ。Twitterにこの記事を引用して「頭がおかしい」と呟く寸前まで行ったんだけど、何となくやめた。めんどくさくて。Twitterは不特定多数の人が見てるから、どこからどういうトゲ付きの鉄球がぶっ飛んで来るか分かんないじゃん。めんどくさいんだよ、昔そういうのの相手をせざるを得なくなったことが何度かあって、そのたびにゲンナリしてたしね。今思ったけど、この部分は無料公開するから同じようなもんだな。……まあいいや。あと関係ないけど、私に下ネタ系のリプ飛ばしてくんなよ。相手にするのがめんどくさいから触れないだけで、そういう人めっちゃ嫌いだわ。エロゲに出てた奴にはどんなこと言ってもいいと思ってんの? 思ってんの、つーか、思ってるんだろうね。他の人のことは分からないけど、私は不愉快だよ。仕事してないときの役者は普通の人間だし、成人向けの仕事してる人のことをラブドールみたいに思ってるなら、そりゃ大きな勘違いだと思うよ。

 私のファンの方は非常に良識的な方が大半を占めているので、そんなこと言ってくる人はものすごく限定されますけども。

■複雑なライン

 大問題だよね。本当に大問題。もう本気で考えないといけないでしょう。ファンの方との距離ってものを。すっごい理想論を言ってしまえば、私のように別に売れていない役者でも、本当にそれこそ物理的に「手の届かない存在」でいいと思うし、本来、それでも売れるのがガチのスターだとも思う。ただ、ほんとにそれは今の時代、理想論だよね。もっと言ったら時代錯誤かもしれないよね。もう多分、そういう時代じゃないもんね。光GENJIとか聖子ちゃんが売れていた時代と比較してしまうとね。

 あと私の場合は、どちらかと言うとファンの方のお顔をきちんと見てご意見を聞いたり、お話しするのが好きなのね。それは恐らく、私だけではないと思うんだけどね。面と向かって「ファンです」と言ってもらえたり、作品の感想を聞けるのは本当に心から嬉しいことだし。もしそういう風に言われて自分の周りに人が集まるのが心底嫌だという人がいるとしたら、そもそも芸能を仕事にしてないと思うよ。もしくは即やめてるよ。芸能を仕事にしている以上、どんな人であれ多少の承認欲求や自己顕示欲があるのは当然だと思うし、むしろ、それがなければ続かないって。

 でもやっぱ、大小の規模に関わらず、芸能業は危険だと思う。さっき言ったように、私とか和風曲芸のファンの方って、周りの人が感心するぐらい礼儀正しいちゃんとした人が多いんだけど、それでも危険なんだと自覚するしかない。常にそう思ってなきゃいけないんだよ。自意識過剰で結構、という気持ちでいないといけない。これはもう仕方ないよね。自分から進んでメディアに出ていれば、多少なりとも注目は集まるし(集まってもらわなきゃ困るし)。どんな人がイベントに来るのかなんて分かんないわけだから。でも私は「こいつやばい系だな」っていうのは大体覚えてて、該当の人物が来たら絶対にブースから離れるけどね(そのせいで、遠方から来て下さった方が結局私に会えないまま帰ってしまったということも何度かあったので、それは本当に申し訳なく思っています)

 私みたいに小さなところで活動してる人間でも、いや、だからこそかもしれないけど、それなりに恐ろしい思いをしたのは一回や二回じゃないしね。マジでこれは殺されるな、と思ったことも二回あって、そのうち一回は警察に相談したんだけど(これは何度かラジオで話したことがあるね)その頃はストーカー規制法とかも緩かったってのもあるのかな……とりあえず「いま昼休みなんだよねぇ。うーん。じゃあ、レイプされたらまた電話して下さい」って言われて終わったもん。ふざけんじゃねーぞ。世間話したくて警察に電話してんじゃねーんだよ。電話を切って、私は本気でこう思った。レイプされてる最中に電話したところで、お前等が来る頃にはもう全てが終わってんだろーが。レイプはまだいいとしても(全く良くはないけど)相手がナイフやら、殺傷能力のある武器持ってたらどうしてくれるわけ? 責任持って生き返らせてくれんのか。クリリンじゃねーんだよボケ、死んだらそれで終わりなんだよ!!!! と。↑ふざけたこと書いてるけど、ほんと冗談じゃないよ。

 確かその時、私、その日の仕事飛ばしてるからね。だって家から出られないんだよ。男の人が私の部屋のドアの前にずっといるんだから。当然その時、昼食に飢えたアホな警察官に「ドアの前にずっと立たれて、外に出られないんですよ」って言ったんだけど「じゃああんたさ、人の家のドアの前に立ったことないわけ? それで捕まったことあるわけ? それ何の罪なわけ??」みたいなこと言われて、もうマジでどうでもいいやと思ったよ。それで電話切って、当時のクライアントさんだかマネージャーに「こういう事情なので行けないです」と報告して、収録は別日に組まれたんだけどさ。でも、それでも全く解決した気にはならなかったよね。玄関前に立ってる男が私を駅から尾行してたのはその日いきなり始まったことじゃなかったし、ほぼ毎日ポストの中の郵便物開けられてるし。その郵便物の中には携帯の請求書とかもあって、当時確か、請求書に電話番号書いてあったと思うんだよ(記憶が定かではないんだけど、多分。それ以外に電話番号がバレた理由が思い当たらない)。のちのち気付いたことだけど、無言電話が余りにも多すぎて本当に参ってたから。「吉川さんですよね」と聞いたっきり黙るんだけど、いくらアホな私でも、違います的な「声」を出したら絶対ヤバイと瞬間的に思ったから、すぐ切ってたんだけどね。

 ああいう人って、すごい執念というか、ある種の根性が凄いんだよ。お前いつ寝てるんだよと思ってしまうほどの深夜の連続無言電話(こっちは、使ってる携帯に仕事関係者が数百人単位で入ってるからそうそう簡単には番号変えられないし、変えたところでまた郵便物開けられるんだから、正にいたちごっこ)に加えて、朝出ていけばアパートの下にいるし、電車で帰路につけば人の最寄り駅で待ってるし、休みの日にスーパー行こうとして、ふと気付いたら人の後ろ歩いてる。それが、どのくらい続いたんだっけな……。一ヶ月はなかったと思うけど、二週間ぐらいだったかな。ほんとに、買い物行く途中で尾行されてるって気付いた時はスーパーから出られなかったんだから。出たら終わりだと思って。お昼時のスーパーだったから店内が混んでて、少なくとも店を出て一人で家に帰るよりは、ダッシュしたとしても、やっぱりそこにいるのが安全なんじゃないかと思ってさ。会計が終わった後に商品を袋に入れるエリアがあるじゃん、あそこにずーーっといたわ。何時間そこにいたか分かんない。当時ヒットしてた「らいおんハート」を、あそこで何回聴いたんだろうな。聴きながら「そういえばSMAPの木村くんが結婚したなぁ」とか関係ないこと考えようと必死だったんだけど、あの数時間は怖かった。どこにいても、どっち向いてても怖いんだよ。その人ってのがまた、いつも忍者みたいに移動してたりする人で、気付いたら視界にいるっていうのが何日も何日も続いてたから。マジで私、「さかな・さかな・さかなー、魚を食べーるとー」っていうあの曲も、その時に覚えたからね。ヒット曲聴きながら「頼むから、頼むから、早く私に飽きてくれ!!!」と思ってたよ。(結局その人が飽きたのかどうかは知らないけど、とりあえずその件に関しては『いきなりの引っ越し』で落ち着きました。ギャラが安いことでは右に出る仕事がないんじゃないかという声優デビュー当時に50万近い出費。ほんとあいつ、やってくれたよね)あの時期、本当に一度だけ「一体何のお仕事されてるんですか?」って聞きかけたよ。あまりにも私に張り付いてるもんだから。よく聞かずに耐えたな、私。好奇心が服着て歩いてるような人間なのに。話しかけてたらどうなってたんだろうな。

 今思うことは、自分がライブ活動とかを主体にしてる人間じゃないってのは運がよかったなってことと、事務所に所属してないフリーランスっていうのが逆にいいのかもしれないなぁと……うーん。でも、そのへん難しいね。事務所にいないと、マネージャーとかデスクの子とか、そういうクッションが一気に減るからな……。

 いや、つまりね。あの時のストーカーが、一体何故、どうやって私の自宅を突き止めたのかと考えると、通常当たり前なんだろうけど、所属事務所の場所なんてネットで調べりゃ簡単に分かるってことに尽きると思うんだよね。しかも(今はおそらく廃止されてるだろうけど)当時は、仕事が決まった場合、役者が事務所に出向いて台本取りに行くってのが当たり前だったんだよね。そもそも映りのタレントさんと違って(凄まじい売れっ子でもない限り)普通の声優には事務所の送り迎えなんてないわけで。それ以外の用事でも事務所ってのは頻繁に行くところだったりするから、本気で誰かを見つけることを目的として朝から晩まで何日も張ってれば、目当てのタレントの姿を見ることぐらいは可能なんじゃないかと思う。

実際私は、好きな格闘家に会いたくて(その方の試合を見て、どうしても思うところがあり、伝えたい事ができたので会いに行こうと衝動的に思い立った)その人のジムの前で3日(午後イチから19時ぐらいまで)張ってたら会えたし、しばらく友達だったことがあるんだよ。私なんかでも出来ちゃうことなんだよ。だから「何故突き止められたのか」と考えたら、それだろうとしか思えない。私も私で、まさか私みたいな無名声優を尾行する物好きがいるなんて全く思ってなかったわけで、事務所に行く時も出る時も警戒心なんて一切なかったから。

※これ読んで「その手があったか!」とか思ってる頭のおかしい方、もう無理です。これを読んだ声優及びタレントさんは全員「そこ絶対気をつけよう!」と決意固めたから。読んでない人にも絶対気をつけて頂きたいので、今回のコラムは是非、アキバの住人に限らず様々な方々に拡散して頂きたく思います。

 そういう意味で「考え方によっては、フリーの方が逆に安全」かな、とも思うんだよね。収録スタジオなんて、簡易的なところも換算してしまえば都内近郊だけでも軽く何百も何千もあるわけで、基本的には仕事によって全部違うスタジオだから、それが仕事関係者ではなく「いちファン」であるとすれば、事前に特定するのはほぼ不可能だと思うから。芸能事務所は、もう住所掲載するのも、ご丁寧に地図載っけるのもやめたほうがいいんじゃないかと思うよね。付き合いのある業界関係者には場所をその都度教えればいいだけのことで。それがいちいち面倒くさいというなら、一体ぜんたい、何を優先してるわけ? って話だよ。タレントの安全なんかどうでもいいと思ってるスタッフなんて、全員やめちまえばいいと思うよ。

 ライブハウスに出てるとか言うのは、自分が一切やってないからよく分からない世界ではあるんだけど、同じ会場に出続けるみたいなのをやめるとか……まぁでも、どういう場所でやるにせよ、告知しないわけにも行かないんだろうなぁ。とりあえず今のところ、関係者専用の出入り口がないようなライブに出るのをやめる、ぐらいしか対処のしようがないよなぁ。それでも、その出入り口で出待ち入り待ちされない保証はないんだよね。自らそういう活動の場を選んでいる以上、私も含めて、もう自衛するしかないんだろうね。警備にも限界があると思う。いくら出入り口で警備員さんに睨みを利かせて頂いたとしても、駅まで送って頂いたとしても、ふとした瞬間に絶対に隙は出来るだろうし。それこそ、その場所から尾行されて自宅まで来られたら、あの時の私と同じだし。警報ブザー程度じゃ相手ぶちのめせないから、スタンガンとかを持ち歩くしかなくなるよね。私はイベントの時、絶対に10cm近くあるヒールで行くことにしてるんだけど、そこに「お洒落」という意味合いはあんまりないんだよね。そもそも声優は小さいほうがウケるんだから。ああいう靴はいざという時、正当防衛のために必要な武器なんだよ。

 日本は治安がいいと言うけど、他の国と比較した場合、相対的にってことでしかないよね。どこの国にも頭がおかしい奴は絶対いる。頭がおかしい奴にとっては、何処の国だろうと秩序なんかないよ。私達の仕事って、エンターテインメントを提供して、みんな幸せな気持ちになって「楽しかったね!」って、笑顔で帰る。それが本来の姿だろうに、ある一定層のために常にピリピリした気持ちを持っていなければならないって、こんな悲しい話はない。少なくとも私は、ファンという存在を疑いの目で見るのが本当に嫌だ。私はファンの人たちが好きなんだよ。だからもう、悲しいを通り越して頭来るよね。「あの人なんか変じゃないか」とか「あの人ずっと見てるな」とか。ファンの方と直接対峙する機会があるたび、そういう疑いの目で見ざるを得ないというのは、やりきれないにも程がある。でも「それが嫌だから、私は全員信じます」っていうポリシーでやってて結果的に命が危険に晒されたとしたら? 実際、ずっと柱の辺りとか、何となく人に隠れるようにして近づいて来ないで、でも長時間チラチラ私を見ているような人は毎回いるよ。特定の人とかじゃなくて、その都度いるよ。あれは怖い。こっち側の意見としては、その人が「応援してるんだけど、勇気がなくて話しかけられない」のか「何かしら企んでいて、タイミングを見計らっている」のか、区別がつかないのよ。そういう色々なことを含めて、私はこれからもヒールを履く。

履く。けど、応援して下さっていたり、私に興味のある方は、是非遠慮なく話しかけて下さい。じっと見られているよりもそのほうがずっと嬉しいし、お互いに思い出も出来るだろうし。今後は是非、そうして下さい。

 話がちょっと飛んだけど。とりあえず私ぐらいのランクの役者が現場から自宅までの往復のために運転手さん雇うわけにもいかないから、この仕事続けていくなら、自己防衛はずっとやっていかなきゃいけないだろうね。自衛するしかないんだっていう自覚を持っていないとやっていけない。きっとこれは今に始まったことではないんだろうな。最近表面化してきただけなんじゃないかなと思う。

 冒頭に出した光GENJIも、当時は何人の影武者がいたか分からないと言うし。私も、今無事に生きてることは当たり前じゃないのかもしれないよね。ラッキーだったんだろうなと思う。いや、今現在もラッキーだろうな。仕事柄すごく帰宅が遅くなることは頻繁にあるし、帰り道で訳の分かんない人に声かけられるのも、慣れているといえば慣れてるから。「手の届かない存在でいいと思う」とは書いたけど、ここ数年、立て続けに似たような事件があったみたいだし、こうなってくるともはや、そんなお伽話を語ってる場合じゃないし、そういう時代でもないんだなと感じた。もしもあなたが応援している誰かが危険に晒されていると少しでも気付いたなら、正当な気持ちを持ったファンとして、その誰かを出来る範囲で守ってほしい。決して感情的にならず、冷静に対処法を考えて、その大切なタレントさんを守ってあげて欲しいと思う。そういう時に役立ってこそ「SNSでタレントとファンが繋がっている」ということが意味を持つのだと思う。本人が気付いていないケースもあるだろうし、それもまた非常に怖い話。Twitterとかで鍵かけてない状態なら、危険な状況にも気付けるかもしれないじゃん。応援しているタレントさんが何かしら危険な状態にあるのかもしれないということを知り得る可能性が高いのは、勿論周囲の人達もそうだろうけど、そのタレントさんに注目しているファンの方々だと私は思う。

 重ねて言うけど、タレントを守れるのは、タレント本人と、そのファンだけなのかもしれないから。「見守る」のではなく、「守って」ほしいと願います。

■編集後記

 毎回、このコラムの最後に「作業中BGM」を載せていますが、実際には「作業中」ではないです。ややこしいので「作業中」という記載の仕方をしていましたが、大体はその時の内容に沿ったものや、関連性のあるもの、コラムとともに聴いてほしいもの、つまりは、その時の私からの推薦曲のようなものです。今回、ラストにどの曲を持ってこようか非常に迷ったのですが、散々思案した末、下記の楽曲にしました。

 というわけで、次回は明るい話題でお会いしましょう。時には真剣に考えなければならないこともこの世界にはたくさんありますので、この場をお借りして真面目に書かせて頂きました。拙い意見ですが。応援してくれるはずのファンを恐れるという理不尽なことが、もうこれ以上起こってほしくないと祈りつつ、今回は以上です。では、また次回のカナバカで。

本日の一曲「これはただの例え話じゃない/槙原敬之」

吉川華生

お布施歓迎。そのお金はこのコラムを書いている電子機器や和風曲芸の制作費に遣わせていただきます!