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華生ばかり #0003

 そろそろ同じ喫茶店の同じ珈琲を飲み続けることに飽きてきてしまい、徐々に作業場をサイゼリヤに変えつつある吉川華生です。やっぱ、ドリンクバーって色んなもの飲めるじゃん。コーヒーに飽きたらジャスミンティーとかに切り替えられるから、脳味噌が活性化しやすいよね。

 さて。そんなことはともかく、有料コラムの一本目がこちらになります。有料だと思うといきなり緊張するんだけど!! と冒頭からキレ愚痴を書き殴りつつも、いつものように書いていきます。私の場合、緊張して何か変わったことをすると絶対に失敗するので。オーディションとかも全部そうだったもん。何か準備していくと落ちるんだよね。やべ、オーディションだってこと忘れてた! ぐらいの方が受かってたな。

■水道止まった事件 scene.2003

私、吉川華生の「極端な性格」というのを実によく現しているのが、タイトルの「水道を止められた時」の出来事だと思うんだ。(上の画像は、その当時のもの)

 そもそも何故そんなことになったかと言うと、声優事務所に所属が決まった時に「声優以外の仕事をすることを全てやめた」からなんだけど。これに関して言えば、寧ろ高邁な志だと褒めてもらいたいぐらいだよ。つまりプロとは、その腕だけで飯を食ってこそプロ。……と、異常なまでの「プロ」への執着を胸に、当時していたバイトをいきなり辞めた私。最初から食えるほどの仕事が入ってこないことなど誰が考えても分かることなんだけど、私はあくまでも「声で食う」ことにこだわった。

 普通は、実家暮らしか結婚してる人でもない限り、こういう極端なことはしないと思う。理由は簡単。食えないから。でも、だからこそ燃える仕事への闘志。声で食うということだけを日々考え貫き、自分の声を研究しボイスサンプルの案を練り、綾瀬のアパートで一人、どうやったら仕事が来るのか試行錯誤したもんだ。

 生活は当然貧困を極めた。どのくらい貧困かというとね、家中のジャケットのポケットやカーペットの裏を狂ったように探索し、モノをひっくり返し「あと5円! あと5円あればお弁当が買えるんだ!!」と絶叫したほど、と言えば分かりやすいかな。切り詰められるところは何でも切り詰めてたんだけど、食費だけはある程度かかってしまう。何せ食べなきゃ仕事もできないし。

 そうそう、この当時一番困ったのが「電車賃が足りなくて仕事に行けなかった」こと。「あと140円」という涙なくしては語れない金額が足りずに現場に行けないと気付き、考えあぐねた私は、数ヶ月家賃を滞納している私に対してカンカンに怒らせてしまっている大家さんの部屋のドアを叩いて(ちなみに近所で会っても無視されていた)「すいません、500円貸してもらえませんか?」と笑顔で頼むという暴挙に出た。

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