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社会教育士の活躍の場を広げたい!社会教育士による社会教育士のためのマッチングイベントを開催しました。

2023年8月5日(土)、埼玉県社会教育人財プラットフォームのキックオフ交流会が行われ、企業、NPO、行政、学校、高校生、大学生…など、さまざまな立場の方が50名以上集まり、大盛況の会となりました。

この記事は、開催に至った経緯や当日の様子の記録です。
※社会教育士ってなに?と思った方は、次の記事を読んでみてください。


日本青年会議所と社会教育士の出会いから始まった企画

様々な地域づくり活動に取り組む日本青年会議所が、学びを通じた地域づくりに取り組む社会教育士たちの活動に興味を持ち、どうしたら社会教育士がもっと活躍していけるのかと考えてくれたことがそもそものきっかけでした。

日本青年会議所において中心となって社会教育士の普及について考えていた平野さんが、全国の社会教育士を訪ねてまわる中で、近所に住む社会教育士の市川さんと出会い、2人の住む埼玉県川口市の近隣の思いを同じくする社会教育士たちが集まり始めました。

社会教育士の活躍の場がもっと広がり、社会教育士の仕掛ける「学び」があふれる豊かな社会にしたい。

そんな思いを持って集まった私たちが、社会教育士の活躍を後押しする上で、問題意識を持っていたのは次のことでした。

  • 社会教育士制度が令和2年度から始まり、社会教育主事講習の門戸がNPOや企業にも開かれたけれど、多くの企業には社会教育士が知られていないのではないか。また、そのことで、社会教育士の活躍の場が企業にはまだ拡がっていないのではないか。

  • 社会教育士になった人たちが地域の中で活動して行く際には、地域のネットワークが必要になるが、ネットワークを築くのが自助努力になっていて、苦労するのではないか。

では、何をするか?

そこで何をするか、オンラインミーティングで話し合いました。

「社会教育士たちのネットワークを作るのであれば、FacebookやメッセンジャーなどのSNSを使ってグループを作るのはどうか。」
「それってすでにいくつかのグループが出来てるけど、なかなか社会教育士の新しい活動に繋がったりするような活発な動きはないよね。」
「やっぱりSNSだと全国ネットワークになりがちで、一緒に活動できるご近所さんを見つけるのは難しいのではないか。」
「あと結局、社会教育界隈の集まりになりがちで、なかなか社会教育の外の企業やNPOに繋がっていかないよね。」

「では、私たちの住む埼玉県の社会教育士たちの活動地域や専門領域が分かるリストを作るのはどうか。」
「各教育委員会が昔から”生涯学習人材バンク”などの名称で、住民の『〇〇教えられます!』というような得意分野を掲載したリストを作っているけど、そのリストにアクセスしてマッチするケースってどのくらいあるのかな。」
「リストを作るのってかなり労力がかかるけど、リターンは期待できないよね。」

「社会教育士同士や、社会教育士と地域の企業・NPOをつなげることが目的なら、マッチングイベント、しちゃう?」

…というような流れで、マッチングイベントの開催が決まりました。(考えすぎず、とりあえずやってみよう!というマインドのメンバーが集まりました笑)

マッチングイベントの開催に向けて

マッチングイベントを開催することが決まり、4月から月1ペースで、仕事終わりや家事・育児終わりの夜の時間帯に運営メンバーミーティングを行い、開催に向けた準備を進めていきました。

運営メンバーミーティングでの構想が絵になり…

イベントの企画が固まってきたところで、発表者募集のためのチラシができ…

発表者募集用チラシ

運営メンバーも徐々に増えていきました。

運営メンバーはただのご近所の社会教育士たちであり、何かの団体ではありませんでしたが、誰が主催しているのか分からない、主催者名無しのイベントでは参加者も不安に思うのではないかという意見が出て、私たちの集まりに「埼玉県社会教育人財プラットフォーム」という名前がつき、情報発信用にFacebookのグループページを立ち上げました。

8月5日に向けて参加者を募集するにあたっては、まず、5月から社会教育士などの実践発表者の募集を行い、6月頃から企業やNPOを含む発表者以外の参加者を募集していきました。

そして、どんなイベントなのかイメージを持ってもらいやすくなるように、6月から週1ペースで、各実践発表者の発表内容をFacebookグループ上で告知していってもらいました。

また、日本青年会議所にも協力いただき、会場費は日本青年会議所が出してくれることになりました。

埼玉県社会教育人財プラットフォーム キックオフ交流会の固有性

イベントを開催するにあたって意識した今回のイベントの固有性は次の2つです。

  • 社会教育士が企業やNPOをはじめとする社会教育士以外と出会う場にすること

  • エリアを限定的にすること

埼玉県内にはもともと、社会教育主事有資格者たちの集まりである「社会教育主事等研究会」や「まなびぃカフェ」というコミュニティがありました。
それらの既存のコミュニティと今回のイベントの違いは、埼玉県社会教育人財プラットフォームが、社会教育界隈に閉じずに、社会教育を知らない企業やNPOとの交流を図った所にあります。

企業やNPOからの参加を募るにあたっては、「社会教育」という言葉を知らない人が興味を持ってくれるように、数パターンのチラシを用意しました。

企業の立場の参加者募集にあたっては、日本青年会議所のネットワークで地元の若手経営者の方達も参加表明をしてくれました。

また、日常的に共に活動できるご近所さん同士がつながれるように、あえて参加者を埼玉県に活動拠点がある人や埼玉県近郊の人に限定しました。
オンライン参加枠を設けるかどうかは悩みましたが、対面イベントで浦和駅近くの会場に集まれる人に参加者をしぼったのは、当初の目的に照らして考えると良かったと思います。

イベント当日の流れ

12:30 事務局集合、13:00 会場設営開始

14時の第1部の実践交流会開始に向けて、13時から会場設営を開始しました。オンラインでしか会ったことのなかった運営メンバーや発表者もいたのですが、会場に入るや否や、誰が指揮を取るでもなく、各々が主体的に動き、あっという間に会場設営が終わりました。さすが、社会教育などの現場で数々の企画を運営してきた運営メンバーや発表者のみなさんです。

グラレコが得意な運営メンバーは、イベントの看板や会場図を描いてくれました。

13:30 受付開始

事前の参加申込の際に、参加者同士の交流を進める手段として、「自分のハッシュタグ」を入力してもらっており、「どんな活動をしている人なのか」「どんな人と繋がりたいと思っているのか」をハッシュタグを使って表現してもらっていました。
申込フォームに入力してもらったハッシュタグをどのように参加者同士で見れるようにするか検討した結果、超アナログな方法ですが、ハッシュタグを書いたボードを首から下げてもらうことにしました。

受付で自分のハッシュタグを書く参加者
事前に作ってきてくれた参加者も

14:00 第1部実践交流会オープニング

県内の高校の放送部が司会を買って出てくれ、プロのアナウンサーかと思うようなオープニングの挨拶が始まりました。
大人たちの手作り感溢れる会場の中、高校生司会がイベントの雰囲気を格上げしてくれました。ありがたい…!

今回のイベントの発起人の1人である日本青年会議所の平野さんからイベントの趣旨説明があり、

発表者から1人1分で各ブースのPRをしてもらいました。

イベントやWSで使える色んなアイスブレイクを紹介するブースをPR
社会教育士の専門性を高校教諭として生かしている実践を紹介するブースをPR
指定管理者としての実践を紹介するブースをPR
会場内の参加者同士で事業を企画するブースをPR

14:15 ブース巡りスタート

発表者の各ブースのPRタイムが終わった後は、いよいよ参加者が自由にブースをまわる時間です。

各ブースの紹介付きの会場図
各ブースをまわる参加者たち

▽ブース1 ワーママ向けの学び

▽ブース2 事業を企画してみよう! 

▽ブース3 アイスブレイクの小ネタ

▽ブース4 高校教諭×社会教育士

▽ブース5 社会教育 Start UP Lab

▽ブース6 子どもの居場所作り・トコろん自習室

▽ブース7 自転車文化センター×社会教育

▽ブース8 指定管理者としての社会教育士の役割

▽ブース9 DJブース

▽ブース10 ワークショップって何だろう?

▽ブース11 地域住民として生かす社会教育士のスキル

15:50 第1部クロージング

もともとは、参加者に各ブースの感想や交流をとおしての気づきなどを、壁に貼った「つぶやきフォーム」のQRコードからリアルタイムで入力してもらい、参加者同士の気づきや学びを最後に総括する予定でした。
しかし実際は、2時間のブース巡りの時間では足りないほど、発表者と参加者の交流は盛り上がり、つぶやきを入力する暇もないほどでした。そのため、15時半時点でつぶやきゼロ(笑)

機能しなかったつぶやきフォーム(笑)

そこで、アナログな方法ですが、私が各ブースをまわって耳で拾った参加者や発表者の声を、クロージングで全体に共有させてもらいました。

16:00 第2部情報交換会開始

第2部は飲み物や軽食を持ち寄って懇親会を行いました。

第1部では、発表者も他のブースをまわれるようにという意図でもともと約2時間のブース巡りの時間を取っていたのですが、各ブースともひっきりなしに参加者が訪れて、発表者同士の交流の時間があまり持てませんでした。

そのため、第2部は、発表者同士が交流する時間としても意味がありました。

最後に集合写真をパシャリ

会場は17:00に完全撤収だったため、16:50頃に集合写真を取って急いで撤収となりましたが、ここもさすが歴戦の社会教育士が集うイベントだけあり、会場設営同様、あっという間に作業が終わりました。

17:00 第3部交流会開始

もともとは第2部で閉じる予定でしたが、参加者の熱が冷めないことを見越した運営メンバーが、会場の隣の部屋を押さえ、第3部という名の二次会に突入。

各々アルコールを片手に、今後の埼玉県社会教育人財プラットフォームをどうしたいかについて話し合いました。

  • 企業にブースを設けてもらって、そこに社会教育士が回るかたちでも良かったのでは?

  • 今回のような交流会は、やはり社会教育を知らない人からしたら参加するハードルが高いから、企業と社会教育士のコラボを期待するのであれば、企業の課題解決をするプロジェクト型の企画があっても良いのでは?プラットフォームは課題を抱える企業を募集して、その課題解決にぴったりな社会教育士をマッチングする役割。

などなど、プラットフォームの今後につながるアイディアも出てきました。

しかし、やっぱり酔っ払いなので、社会教育士って風のようなものだよね、と言いながらThe BOOMの「風になりたい」のギター演奏&合唱が突然始まる一場面も(笑)

風に〜なり〜たい〜

総括すると、最後まで盛り上がった、最高に楽しい会でした!

キックオフ交流会の成果と反省

今回のキックオフ交流会の成果としては、何より、参加者同士の交流の中で、「今度うちの市でもその企画やってみます」「うちの学校に出前授業に来てください」といった、今後につながるような出会いが生まれたことだと思います。
第1部から第2部にかけては3時間にわたる長丁場でしたが、あっという間に感じるくらい、会場内のあちらこちらで参加者同士の議論が白熱し、参加者の熱量にあふれた会場となりました。(3時間って長すぎるかな…、盛り上がるかな…といった運営メンバーの心配は杞憂に終わりました。)

一方で反省点としては、今回のマッチングイベントは、社会教育士と企業やNPOをはじめとする社会教育の外をつなぐことを目的の1つにしていましたが、そもそも企業やNPOからの参加が少なく、結果として社会教育関係者や学校関係者、行政職員の集まりになってしまったことが挙げられます。運営メンバーもそれぞれのツテを使って、企業やNPOからの参加者募集に全力を尽くしたのですが、学校や行政で働く運営メンバーが多かったので、各々が持っているネットワークにも限界がありました。
また、地元企業の立場の参加者が、他の参加者に比べて、各ブースに入りにくそうにしている様子が見受けられたので、もっと企業からの参加者が交流しやすくなるような仕掛けが必要だったと思います。

※今回の参加者の内訳
▶︎令和元年度以前の社会教育主事講習受講者である:30.6%
▶︎社会教育士の称号を持っている:32.7%
▶︎上記のどちらにも該当しない:36.7%

今後の埼玉県社会教育人財プラットフォームについて

とりあえずキックオフ交流会やってみよう!という勢いでここまで来ましたが、正直にいうと、第2回の交流会をするのか、それとも他の何かをするのかといったような今後のことは何も決まっていません。

「こんなことをやってほしい」といったことや、「企業やNPOとの連携、こんなことやったら良いのでは?」といったアイディアなどがあればぜひコメントお願いします!

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