見出し画像

なぜピルを飲んでいても、出血するの?月経がくるの?

低用量ピルを飲んでいるときに起きる出血は、“月経”なんだろうか。
自然な、卵子の排卵によっておこる出血を、生理とか月経というなら、
低用量ピルを飲んでいるときに起きる出血とは、いったいなんなんだ。

私は低用量ピルを飲み始めて4年になる。
月経困難症の治療のために飲み始めて、劇的に月経痛、大量の出血、イライラ、貧血はなくなった。
4年間にピルの種類を何度か変えていて、今はヤーズフレックスを使用している。

ヤーズフレックスは、日本国内で初めて連続服用が可能となった低用量ピルで、最長120日間、つまり3か月間月経がおきないといわれている。
一般的なピルは、通常の月経と同じように、1か月に1回は出血がくるようになっている。
最初に産婦人科の先生に勧めてもらったときには、思わず
「3か月も月経がこなくて大丈夫なんですか」と聞いてしまった。
先生は「月経が1か月に1回じゃなきゃいけないことはないし、症状が軽くなる上に、回数が減ったらすごく楽でしょう」と言ってくれた。

画像1

普通の”月経が1か月に1回あるものだとして、
低用量ピルを飲んで、それでも1か月に1回は出血がくるのが、一般的なピル。
それがヤーズフレックスは3か月に1回の出血でも、いい。
でも、そうやって出血がくる期間を延ばせるのなら、
いっそ、低用量ピルを飲んだら、全く出血がなくなってもいいんじゃないか。

そう思ったとき、ふと疑問が湧いた。
低用量ピルを飲んでいるときに起きる出血は、“月経”なんだろうか。
自然な、卵子の排卵によっておこる出血を、生理とか月経というなら、
低用量ピルを飲んでいるときに起きる出血とは、いったいなんなんだ。

というのも、絶賛今日私は出血している。
久しぶりの、前よりは軽めの生理痛と、パットにドロッと出た出血を、そして汚してしまった下着を眺めて、ため息をついている。

ピルを飲んでいる女性を「ビッチだ」と揶揄する風潮があるという。
それはつまり、ピルを飲んでいれば性行為をしても妊娠しない、ということで、
妊娠しないということはつまり、卵巣から卵子の排卵がないということで、
排卵がないということはつまり、“月経”がこないということじゃないのか。

低用量ピルを飲んでいて、休薬をして、もしくは私みたいに
本当は120日間出血がこなくても大丈夫と言われるヤーズフレックスを内服しながらも、
2か月、早いと1か月に1回できてしまう出血は、なんなのか。

こんがらがった頭を整理するために、まず、低用量ピルの作用について、もう一度調べてみた。

低用量ピル(LEP)と、経口避妊薬(OC)は同じ種類の薬だが、
目的によって呼び方が違う。
低用量ピルのLEPはLow dose estrogen progestinつまり少ない量のエストロゲンとプロゲステロンだよ、という意味の略で
経口避妊薬のOCはOral contraceptive、言葉の通り経口避妊の略。
エストロゲンとプロゲステロンは月経の仕組みにすごく大事な作用をするホルモンで、
そのホルモンを薬として内服することによって、自分自身のエストロゲンとプロゲステロンが分泌が低下、その結果排卵が抑制される。
エストロゲンとプロゲステロンというホルモンは、排卵以外にも、分泌の増加によって子宮内膜の増殖を、そしてホルモン量の低下によって、子宮内膜をはがす(つまり月経の出血)とか、いろんな作用を持っている。
だから、低用量ピルを飲んでいると、避妊効果があるし、月経による症状も改善するという仕組みになっている。

自然な月経は、そもそも卵子の排卵があって、でもその卵子が受精しないまま時間が経って、ホルモン、とくにプロゲステロンの分泌が低下して、受精卵を迎えるために用意していた増殖した子宮内膜がはがれることで出血するもの。
自然な月経による出血は【消退出血】といわれる。

でも、婦人科的には出血もいろいろ種類がある。
排卵があって、エストロゲンは分泌されるのだけど、プロゲステロンの分泌が少ないために、増殖した子宮内膜が維持できずに出血する【破綻出血】というものがあるという。

そして、なんと、低用量ピルを飲んでいるときに起きる出血は、
【消退出血】らしいのだ。
排卵していないけれど!!

低用量ピルは、ある一定期間服用することで子宮内膜を排卵後に近い状態にし、
故意に休薬期間をつくる、もしくはホルモンが入っていない偽薬を服用することで
体内のエストロゲン・プロゲステロンの濃度を低下させ、【消退出血】を起こさせる。

ヤーズフレックスは、最長120日間可能、という意味で新しいのであり、
内服していても3日間出血があれば、それは体内で消退出血が起きているとして、いったん休薬してよい、という飲み方をしてよい、と公式ホームページに記載されている。

だから、低用量ピルの内服方法によっては、毎月出血させることもできるし、
ヤーズフレックスみたいに、3ヶ月ごとに月経を来させる、ということも可能。

低用量ピルを飲んで、休薬期間に、または体の中のなんらかのホルモンバランスの変化で起こる出血は、つまり、
“排卵のない月経”ということだ。

これが結論で、ここまでくるのに長くなってしまった。
でも、すっきりした。
下腹部の生理痛はすっきりはしてくれないけれど。

でもそれならいっそ、低用量ピルを飲んでいたら、ずっと
月経、つまり消退出血がないようにはできないんだろうか。
そんな期待をしてしまう。

参考文献
病気がみえる vol.9 婦人科・乳腺外科 第4版 MEDIC MEDIA 平成30年初版
バイエルベターライフナビ バイエルウィメンズヘルス ヤーズフレックス配合錠
https://betterl.bayer.jp/whc/yazflex/about
CLINIC FOR 2020.03.24
低用量ピルの服用方法とは?休薬期間ってなに?正しいピルの飲み方や仕組みについて、医師が解説します。https://www.clinicfor.life/articles/b-026/ (2021.5.13閲覧)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?